形状、使い回し、SIMロック――SIMにまつわるアレコレを調べてみた(2/2 ページ)

» 2012年04月11日 11時07分 公開
[田中聡,ITmedia]
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auとソフトバンクで扱いが異なるiPhone用SIMの扱い

photo 左がau、右がソフトバンク版iPhone 4S

 iPhoneのSIMの扱いは、auとソフトバンクで異なる。au版iPhone 4Sにはキャリア内ロックがかかっておらず、同じくmicro au ICカードを採用するARROWS ESなどのSIMをiPhone 4Sに挿しても利用できる。一方、ソフトバンクのiPhone 4Sには実質的にキャリア内ロックがかけられており、ソフトバンク向けAndroidのmicroSIMをiPhone 4Sに挿しても利用できない。試しに102SHのmicroSIMをiPhone 4Sに挿入して起動したところ、アクティベーションができず、「iPhoneに付属のSIMカード」を使う必要がある旨のメッセージが出た。

 逆もしかりで、ソフトバンク版iPhone 4SのSIMをソフトバンクのAndroidに挿入しても利用できない。104SHにiPhone 4SのSIMを入れたところ、ロック画面に「UIMエラー」と表示され、ホーム画面にはアクセスできたが、3G通信や電話発信はできなかった。APN設定を変更すれば使えそうな気もするが、先述のとおり、ソフトバンク端末は料金体系が異なるとSIMを使い回せない。

 au/ソフトバンク版iPhone 4Sは同じ端末ではあるが、SIMロックがかかっているので、当然ながらSIMを使い回すことはできない。試しにソフトバンク版iPhone 4SのSIMをau版iPhone 4Sに入れたところ、やはりアクティベーションができなかった。

photophotophotophoto iPhone 4SのSIMを104SHに挿入して電源を入れたら「UIMエラー」と表示され(写真=左端)、電話番号も認識されなかった(写真=左中)。ソフトバンク版iPhone 4SのSIMをau版iPhone 4Sに入れたが、アクティベートはできない(写真=右中)。逆もしかり(写真=右端)

SIMロック:イー・モバイルのみが完全フリー

 他キャリアのSIMを利用できない「SIMロック」についてはキャリアによって扱いが異なる。国内でSIMロックフリーであるメリットはあまりなさそうだが、海外で現地のSIMを購入して使うのならSIMロックフリーが望ましいだろう。ただ、端末とSIMカードで通信方式や周波数帯が異なると、SIMフリー端末でも通信できない場合があるので注意したい。例えばイー・モバイルのスマートフォン「HTC Aria」はW-CDMAが1.7GHz帯の通信しか対応していないので、ドコモやソフトバンクの2.1GHz帯では通信できない。ドコモの「東名阪バンド」と呼ばれる1.7GHz帯で使える可能性はあるが、実質的には使えないと考えた方がいいだろう。また、他社ネットワークでの動作や、他社の携帯電話にSIMを挿した際の動作は保証されない。

 ドコモ端末については、2011年4月以降に発売された機種はショップに持ち込むことでSIMロックを解除してもらえる。SIMロック解除の事務手数料は3150円。他社(ソフトバンクとイー・モバイル)のSIMをドコモのSIMロック解除済み端末に挿して、音声通話とSMSを確認した結果は、ドコモのWebサイト(外部リンク)で公開されている。

 ドコモは他社のSIMロック解除済み携帯電話ユーザー向けに、ドコモUIMカードとドコモminiUIMカードを提供している。ドコモの回線契約がない場合、3150円の手数料がかかる。ドコモの回線契約がある場合は12カ月に1回に限り無料。ドコモSIMを他社のスマートフォンなどで利用すると、原則としてPCなどの外部機器と接続した際の通信料が適用され、上限は月額8190円となる。ただしドコモがテザリング非対応と確認した機種については、ドコモのAPNを設定することで月額5460円(パケ・ホーダイ フラット契約時)または月額最大5985円(パケ・ホーダイ ダブル、パケ・ホーダイ シンプル、パケ・ホーダイ ダブル2契約時)で利用できる。現時点でテザリング非対応の確認が取れている機種は、ソフトバンクの「008Z」と「STAR7 009Z」の2機種のみ。APN情報はこちら(外部リンク)に公開されている。

 auケータイやスマートフォンではSIMロック解除はできない。

 ソフトバンク端末は008Zと009Zのみ店頭でSIMロックの解除が可能。それ以外の機種は店頭での解除もサポートしておらず、どっちつかずの印象を受ける。ロック解除の手数料は3150円。また同社も他社のSIMロック解除済み携帯電話の利用者向けに、SIMカードを提供している。こちらも手数料は3150円。ただし提供しているのは通常サイズのSIMのみで、現在microSIMは提供していない。ソフトバンクのパケット定額サービスに加入している際の上限は月額5985円。パケット通信の利用にはAPN(アクセスインターネットプラス)の設定が必要になるが、アクセスインターネットプラスではテザリング機能の利用は禁止されている。APNの詳細はこちら(外部リンク)。

 イー・モバイルのスマートフォンやデータ端末はSIMロックフリーの状態で販売されている。以前は海外のSIMは使えるものの、国内他社のSIMカードは利用できないようロックがかけられていた機種もあったが、2011年5月以降は国内外問わず、同社の端末はすべてSIMフリーとなっている。なお、イー・アクセスは他社のSIMロック解除済み端末を持ち込んでSIM(EM chip)を単体で発行するサービスは提供していない(フレッツ光サービスとイー・モバイルの通信サービスをセットで提供する「EMOBILE 光」を除く)。

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