「新しいiPad」 国内版の“中身”を分解して知る:バラして見ずにはいられない(2/3 ページ)

» 2012年05月24日 00時00分 公開
[柏尾南壮(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ),ITmedia]

ディスプレイから分解

 タブレット端末やスマートフォンの分解は、使用されている専用ネジに対応するドライバーを必要とする場合もあるが、その他はほとんど身近な道具で行える。分解のみを目的とする場合は、身の周りの道具で事足りる。なお、再度組み立てて使用すると電波法上問題がある可能性があるので、分解した製品は使用しない方がいいだろう。その点は留意しておきたい。

 さて、歴代のiPadの構造は、四角い皿のような筐体にタッチパネルでフタをし、その中にすべての部品を搭載するというスタイルだ。新しいiPadを分解する際、最初に手を付けるのはタッチパネルである。タッチパネルはその下の筐体と両面テープで接着されている。そこで家庭用ヘアドライヤーの温風を最大風量にし、タッチパネルに近付けて周縁部に吹き付けて熱して接着剤を柔らかくする。タッチパネルの角を加熱して少し経つと、この部分にステンレスの定規(鉄尺)を差し込む隙間が生じる。定規を差込み、ドライヤーを当てる場所を少しずつずらしていき、定規をヘラのようにしてタッチパネルの加熱された部分を下からグイと押し上げる。時々横から内部を確認し、タッチパネルと基板を接続するケーブルを切断しないように注意しながら作業を進める。5分程あれば、タッチパネルを割らずに取り外すことができる。

 次は液晶ユニットの除去であるが、これはタッチパネルと筐体の間のスペースにはまるように設置されているだけなので、逆さますると簡単に取り外せる。液晶ユニットは周囲が黒いテープで覆われており、ユニットを分解するにはまずこのテープを剥がす。テープを剥がすと液晶ユニットを底部から箱のように覆う金属のフタの外周が見えてくる。このフタは液晶パネルのガラス部と接しているので、ガラスを破損しないよう、マイナスドライバーなどで少しずつ金属のフタの淵を外側に曲げてゆく。1つの角の金属の縁を両側から外に曲げていくと、液晶ユニットのガラス部が金属のフタから浮き上がるようになるので、ステンレスの定規(鉄尺)を差し込んで全体を浮き上がらせ、液晶ユニットのガラス部を金属のフタから取り外す。

PhotoPhoto タッチパネル裏側は周縁部に両面テープが貼ってあり、筐体に固定している。この部分はヘアドライヤーで温めることで簡単に柔らかくなる

 この時点で液晶ユニットの底部付近から大部分を箱のように覆う金属のフタの中には、液晶ユニットを構成する反射板・導光板・拡散板・コリメーターなどがガラス部から分離して残っている。この時点でLCDユニットのガラス部には、偏光板が液晶ガラスを上下に挟んだ状態で残っており、これを除去すると画素の写真撮影や採寸ができるようになる。偏光板の除去にはカミソリを使い、角の部分から偏光板とガラスの間に刃を慎重に滑らせ、角から数センチ進んだところで偏光板をハサミなどで切り取る。手が滑れば大惨事になるので注意が必要だ。

 次は基板である。基板にはさまざまな部品が接続されているので、コネクター類をまず取り外す。また基板はネジ止めされた多くの部品により筐体に固定されているため、まず目につくプラスネジをすべて外して部品を除去し、その後基板を取り外す。基板には電磁ノイズ対策として金属シールドが部品を覆うように配置されている。金属シールドは、基板に支柱を立て、それを覆うように設置されている場合が多く、まず天井のシールドを取り外し、次に支柱をプライヤーなどで基板からはがすようにして取り外す。この時点で、基板に実装されている各種部品を観察することが可能となる。

PhotoPhoto 基板は金属シールドで覆われているため、まずはこれを1つ1つ取り外す
PhotoPhoto iPad 2は片面実装だったが、新しいiPadでは両面実装となった。DRAMはプロセッサの裏側に実装されている
PhotoPhoto ベースバンドチップはQualcommのRTR8600。このチップ1つで世界中の通信規格に対応する
PhotoPhoto カメラは5Mピクセルの裏面照射型CMOSセンサーを搭載。iPad 2の720p(0.92Mピクセル)から大幅に強化されている

 バッテリーは両面テープで筐体に固定されている。バッテリーを制御する部品を実装した小型基板も搭載されており、ステンレス製定規をバッテリーと筐体の間に差し込むなどして取り外す。この際に注意が必要な点は、リチウムイオンポリマー電池の外装がレトルトパックなどと同じ材料で作られているため、傷が付いたり破損したりしやすい点だ。これはiPadに限らず、この種の電池を搭載するすべての端末に共通する。

 iPadの筐体はアルミニウムの板を削り出し加工したもので、カマボコ板のように切り出された板を上から削り、ネジ山などを形成する。これは「タッピングマシン」という機械が行っており、ブラザーが主要サプライヤである。タッピングマシンを並べて流れ作業で処理するが、加工には長時間を要し、マシン1台に換算すると24時間駆動させてもiPhoneの筐体で20台程度しか生産できない。大きいiPadは加工に更に時間がかかると思われる。なお筐体の製造を請け負っている中国の可成科技(Catcher Technology)蘇州工場では2011年秋に異臭騒ぎがあり、一時生産が停止したと報じられた。

Photo iPadはタッチパネル、液晶ディスプレイ、基板、バッテリー/リアカバーという大きく4つのブロックで構成されている

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