「iPhone 5」通信速度はどっちが速い? au vs. ソフトバンク 武蔵野線編「iPhone 5」徹底レビュー

» 2012年09月27日 00時00分 公開
[園部修,ITmedia]

 山手線で東京都心部、南武線で神奈川県東部において、KDDIとソフトバンクモバイルの2.1GHz帯のLTEエリアがどれくらい広がっているかを概観してみた。その結果、山手線沿線はKDDIのLTEエリアが広がっており、通信速度もかなり速いことが確認できたが、東京から少し離れると、ソフトバンクモバイルのLTEエリアの方が広いという傾向が見られた。

 では埼玉県、千葉県ではどうなのかを確認するべく、今度は武蔵野線沿線でテストをしてみた。9月26日の10時から15時にかけて、武蔵野線の主要駅(主に他社と接続している駅と、それらの駅の中間にある駅)で、「RBB TODAY SPEED TEST」を使用して通信速度を計測してみた。

PhotoPhoto au版とソフトバンク版のiPhone 5を使って計測。今回は武蔵野線でテストした

 テストは、駅ホームの端に近い部分、空が見える場所で行っている。電車が入線すると通信速度が低下する傾向が見られたので、駅に電車がいないとき(ターミナル駅では電車が少ないタイミング)を狙ってテストした。テストは5回実施し、その中から極端に高い値を除いて上位3回分のテスト結果の平均を求めている。

通信速度
武蔵野線
府中本町
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(2本) LTE(4本)
下り 8.46Mbps 16.86Mbps
上り 2.41Mbps 9.18Mbps
西国分寺
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(4本) LTE(3本)
下り 13.40Mbps 6.27Mbps
上り 7.04Mbps 5.39Mbps
新秋津
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) 3G(5本) 3G(5本)
下り 7.60Mbps 7.01Mbps
上り 2.56Mbps 1.38Mbps
北朝霞
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(5本) LTE(4本)
下り 17.23Mbps 7.80Mbps
上り 7.62Mbps 8.33Mbps
武蔵浦和
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(5本) LTE(5本)
下り 15.14Mbps 17.77Mbps
上り 7.80Mbps 9.59Mbps
南浦和
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(3本) LTE(3本)
下り 8.63Mbps 10.30Mbps
上り 4.48Mbps 2.30Mbps
南越谷
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(2本) 3G(5本)
下り 5.84Mbps 5.06Mbps
上り 2.83Mbps 0.06Mbps
新三郷
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) 3G(5本) LTE(4本)
下り 0.33Mbps 13.19Mbps
上り 0.99Mbps 5.99Mbps
新松戸
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) 3G(5本) 3G(5本)
下り 3.28Mbps 7.40Mbps
上り 1.91Mbps 1.26Mbps
西船橋
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(4本) LTE(4本)
下り 7.67Mbps 7.32Mbps
上り 7.56Mbps 5.38Mbps
新浦安
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) 3G(5本) 3G(5本)
下り 5.50Mbps 4.31Mbps
上り 2.24Mbps 1.02Mbps
舞浜
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(3本) LTE(4本)
下り 7.44Mbps 11.18Mbps
上り 6.72Mbps 9.79Mbps
新木場
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(5本) LTE(5本)
下り 11.15Mbps 13.25Mbps
上り 6.01Mbps 9.76Mbps
東京(京葉線ホーム)
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) 3G(5本) 3G(5本)
下り 6.05Mbps 10.46Mbps
上り 1.81Mbps 2.29Mbps

 しつこく言うが、この結果はあくまでも「9月26日時点の武蔵野線での結果」であり、いつテストしても常に同じ結果になるというわけではない。天候や周りの人が何をしているかなどによっても変わってくる。駅の中でも、場所によって電波の状態は変わること、結果は日々変わる可能性があることは覚えておいてほしい。通信速度は時間・場所・タイミング(そのときの基地局利用者の多寡、他のユーザーが何をしているか)などでも変わるので、これは参考値でしかない。もちろんLTEエリアは拡大していくので、今回はLTEではなく3Gのエリアだった場所でも、LTEが使えるようになっていく。

 実際、25日には府中本町駅でKDDIのLTEは入らなかったが、26日には微弱ながらLTEの電波をつかむことができた。またソフトバンクモバイルのLTEの通信速度も26日の方が速かった。

25日と26日の通信速度の変化
府中本町駅
9月25日15時
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) 3G(5本) LTE(4本)
下り 3.43Mbps 13.34Mbps
上り 0.91Mbps 5.18Mbps
9月26日10時
キャリア au ソフトバンク
通信回線(アンテナ) LTE(2本) LTE(4本)
下り 8.46Mbps 16.86Mbps
上り 2.41Mbps 9.18Mbps

 こんなこともあるので、すでにiPhone 5を入手したものの、自分の行動範囲でLTEエリアが少ない人は、期待と共にエリアの拡大を待つのがいいだろう。

 さて、今回のテスト結果を見ると、埼玉県南部はKDDIもソフトバンクモバイルもLTEのエリアが広がっていることが分かる。千葉県西部でもLTEが利用できる地域は多かった。KDDIは西国分寺、北朝霞、西船橋など、他の路線との乗り換え駅でかなり優秀な結果を記録している。こうした人が多く集まる場所を重点的にカバーしているのだろう。ソフトバンクモバイルも、基地局数の多さをアピールしているだけあって、かなりの場所でLTEが利用できた。

 ただ、一部のエリアではまだ電波が不安定なところもあった。例えば西船橋駅では、ソフトバンクモバイルのLTEはアンテナが4本立っていたにもかかわらず、頻繁に3Gに切り替わり、テストするのに難儀した。まだ調整を続けているところなのだろう。

 今回、改めて東京近郊でエリアと通信速度の検証をしてみて感じたのは、東京では単純な優劣は付け難いということだ。LTEに限って言えば、確かにソフトバンクモバイルの方がエリアは広いように感じるが、KDDIも急ピッチでエリア整備をしており、特に利用者が多くソフトバンクモバイルが手薄の山手線内を重点的にエリア化している点は、東京在住の身としてはありがたい。

 関東以外の地域に目を向けると、KDDIの2.1GHz帯を利用するLTEネットワークはまだまだ構築途上であることは間違いないだろう。KDDIが公開している情報によると、2012年10月までにLTEエリア化される地域として、ごく限られた場所しか挙げられていないところがけっこうある。例えば岩手県では盛岡市しかない。秋田県は秋田市のみ、山形県は山形市のみ、岐阜県でも岐阜市のみ、富山県も富山市のみ、石川県も金沢市のみ、福井県も福井市のみ、滋賀県も大津市のみ、和歌山県は和歌山市のみ、鳥取県は鳥取市のみ、島根県は松江市のみ、香川県も高松市のみ、高知県も高知市のみと、心もとない状況だ。徳島県や愛媛県には2.1GHz帯のLTEエリアがない。

 ソフトバンクモバイルでは、2012年10月までに拡大予定の2.1GHz帯LTEエリアをマップで公開しているが、こちらは全国の大きめの都市の中心部は比較的カバーされるという印象だ。全国のエリアという観点では、ソフトバンクモバイルに分がある。

 iPhone 5の大きな魅力の1つがLTE対応であることは間違いない。しかし、日本全国に2.1GHz帯のLTEネットワークが張り巡らされるまでには、まだ時間がかかる。その点では、3Gでのカバレッジも合わせてキャリア選びをするべきだろう。KDDI、ソフトバンクモバイル両陣営とも、寸暇を惜しんで基地局開設に奔走していると聞く。今後のエリア拡大には大いに期待したいところだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年