KDDIが、グランフロント大阪の開業に合わせ、同施設の「ナレッジキャピタル」3階に、関西初となる直営店「au OSAKA」を4月26日にオープンする。梅田貨物駅の跡地(うめきた)の再開発事業として建設されたグランフロント大阪は、オフィス、商業施設、分譲住宅などで構成される。“知的エンターテインメント大空間”と称されたナレッジキャピタルでは、新しい発見をして最先端なモノに触れられる……といった施策を各店舗が行う。
オープン直前の22日には、店舗を構える各社がメディア向けに記者発表を実施。KDDI コンシューマ関西支社長 理事の高橋正明氏は「au OSAKAは、関西初の直営店。関西のブランド力と訴求力アップの情報発信拠点にしていきたい。発売前のスマートフォンや新しいラインアップをいち早く体験できる拠点としても、活用いただきたいと考えている。ケータイ教室やイベントなどを通じて、『au OSAKAに来れば、何か面白い出会いがある』と言ってもらえるお店にしていきたい」と抱負を語った。
au OSAKAは、東京の「KDDIデザイニングスタジオ」と、2010年12月に名古屋オープンした「au NAGOYA」に続く、KDDIの直営店。1階にショールーム、2階に各種手続きが可能な専用カウンターを備えたau NAGOYAの方が総面積は大きいが、1フロアのみのauショップの中では、最大の面積(657平方メートル)を誇る。営業時間は10時〜21時。スタッフは全員で30人おり、シフト体制で常時18〜20人ほどが稼働するという。
入口付近には、138インチの巨大なモニターを使った体験コーナーを用意。ここでは、auのスマートフォンで写真を撮り、タブレット(AQUOS PAD)に転送。これにユーザーがタッチペンで書き込み、タブレットをモニターに向かってシェイクすると、他のユーザーが転送した写真と一緒に、写真が動きながらモニターに表示される。ここで作成した写真はau OSAKAのWebサイト(http://au-osaka.kddi.com/)で展開するネットCMにも使用される予定だ。ナレッジキャピタルに設置されるショップということもあり、auのサービスやスマートフォンの楽しさを体験できる場を積極的に設けていく。この写真を使ったサービスは期間限定になりそうだが、KDDI コンシューマ関西支社 コンシューマ営業部 au OSAKA運営室 室長の松田博文氏によると、こうした施策は今後も続けていきたいとのこと。
内装でこだわったのが、スマートフォンを展示する什器だ。各スマートフォンの横には、機種の特長や動画を把握できるタブレットが設置されている。これはau NAGOYAでも実施していない、初めての取り組みだという。松田氏によると、このタブレットは現在は24台だが、夏モデルの発表後には32台に増やすとのこと。タブレットでスペースを取られてしまう分、各機種のカラーバリエーションすべてを置けないので、什器の引き出しの中には全色のモックを収納し、ユーザーが手に取って確認できるようにした。
au純正のアクセサリーブランド「au +1 collection」は、全国最大級のアイテムをau OSAKAで販売する。「去年の夏以降のモデルはすべて置いている」(松田氏)というほど充実させた。「TAKTIK EXTREME 5」や「LIFEPROOF」など、他メーカー製のアクセサリーも販売しており、auポイントで購入することも可能だ。
au NAGOYAでは、メーカー担当者が最新機種の魅力を説明する「開発担当者直伝!オススメポイントセミナー」を何度か開催してきたが、au OSAKAでもこうしたセミナーや、主にシニアユーザーを対象としたスマートフォン講座などを積極的に開催していく構えだ。au OSAKAには、10数人を収容するセミナールームを用意しており、これらのイベントに活用していく。さらに「138インチの巨大モニターで直伝セミナーをやることも考えている」(松田氏)そうだ。
ナレッジキャピタルの2階には、NTTドコモとソフトバンクモバイルの旗艦店が並び、3キャリアが同じビル内で火花を散らすことになる。他キャリアとの競争について松田氏は「ここ(au OSAKA)に来たら『何か楽しいことをやっている』と思われるようにしたい。(巨大モニターに写真を転送する)このイベントも、auを訴求するというよりは、スマートフォンの楽しさを伝えるためのもの。それが差別化につながれば」と話していた。グランフロント大阪のすぐ近くにはヨドバシ梅田もあり、こちらもライバルとなるが、「端末修理などの対応はauショップ(au OSAKA)に来ていただいた方がスムーズなのでは」と松田氏は利便性を説明した。
au OSAKAとau NAGOYAは同じ直営店(auショップ)という枠の中にあるので、地域に根ざした違いを特段出していくことは考えていないそうだが、KDDI コンシューマ関西支社 コンシューマ営業部長の齊藤裕弘氏によると、「関西、名古屋、東京は同じ大都市圏ではあるが、関西の方が接客を重んじる(スマートフォンについて丁寧に説明してほしいと思う)市場性が高い」という。それを示すのが、関西圏におけるauショップの占有率が全体の7割に上ること。その反面、首都圏や名古屋は量販店の構成比率が高い。高橋氏は「ここ最近、スマートフォンの40〜60代への普及率が伸びていて、より詳しい説明を聞くために、購入してからもう1度来店されるお客様が多い。お客様のリテラシーに合わせて、どこまで説明するかの判断力が重要になってくる」と話す。関西では特に、丁寧な接客をするほどリピーターが増える土壌が整っているといえそうだ。
関西では値段にシビアな人が多いこともあり、auひかりなど対象の固定通信サービスに加入すると、毎月の利用料金が1480円割り引かれる「auスマートバリュー」が好調だ。2012年6月の説明では、関西におけるauスマートバリューの加入率(スマートフォンに占めるauスマートバリュー適用回線の割合)は全国の約1.8倍だった。現在は全国での加入率がキャッチアップしつつあるが、それでも関西の方が約1.6倍全国よりも多いという。この点について齊藤氏は「関西の方は『いいもので安く』ではなく『安くていいもの』を重んじる。順番が違う」と説明する。まず価格ありきで、それからサービスや商品の質を見極めるということなのだろう。加えて、関西ではKDDIとケーブルテレビ各社の連携が進んでいることも、auスマートバリューの浸透を後押しした。「関西の方にとって、ナショナルブランドよりも地域のブランドの方が、親近感や応援しようという気持ちが強い」(齊藤氏)
一方、auスマートパスやビデオパスなどコンテンツの普及率は、東名阪で変わらないという。「コンテンツは20〜30代の購入者が高い割合を占めているので、今後は40代後半〜60代に向けて力を入れたい。音楽関連のイベントも(auショップで)行い、音楽に強いauを想起させたい」と齊藤氏は力を込めた。
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