使い方によってはこれもアリ――2段階制プランや低速プランを理解するはじめての格安SIM&SIMフリースマホ 第3回

» 2014年02月21日 18時55分 公開
[石野純也,ITmedia]

 ドコモやKDDI、ソフトバンクといった大手キャリアとは異なる、小回りの効いた料金プランを打ち出しているMVNO。前回紹介したように、データ量が細かく設定されており、4社を見ただけでも選択肢は豊富にあることが分かる。一方で、先に紹介した4社のプランは、あくまでMVNOとしての代表的なプラン。いわば“王道”とも呼べるものだ。

 そのような料金プランとはやや異なる考え方で、サービスを提供する事業者も存在する。「2段階制プラン」はその1つ。フィーチャーフォン時代におなじみだったスタイルで、一定量までは定額、その後は利用料に応じて料金が上がっていく。当然天井もあり、それ以上の料金もかからない。料金の下限と上限があるということで、2段階制プランと呼ばれている。こうした料金プランは大手キャリア(MNO)もスマートフォン向けとして取り入れているが、現在の主流ではない。

 2段階制プランのメリットが出るのは、使う月と使わない月の差が激しいときだ。例えば長期休暇が取れたときは旅行にタブレットを持っていき、PC代わりにフル活用するが、そうでない月は月1回〜2回外で使う程度というのであれば、こうした2段階制プランが安くつくこともある。フィーチャーフォンやスマートフォンとは異なり、2台目として位置づけられるタブレット向きのプランともいえるだろう。それでは、2段階制プランの具体的な内容を見ていこう。

NTTぷららは月380円からの2段階制プランを提供

 NTTグループのプロバイダーであるぷららが用意しているのが、「ぷららモバイルLTE」。この中に、月380円(税込)から2480円(税込)の「二段階制定額プラン」がある。25万パケットまでは380円(税込)、それ以上使うと2480円(税込)になるという設定だ。徐々に料金が上がっていくのではなく、25万1パケット目からいきなり2480円になるため注意は必要だが、最低380円で維持できるのはお得だ。オプションでSMSにも対応している。

 25万パケットというとやや分かりにくいが、より一般的な単位に改めると、約31Mバイトになる。使い方にもよるが、30Mバイトあれば1日分の通信はまかなえるという人もいるだろう。一方で、確実に毎月通信することが分かっていれば、このプランを選ぶ必然性はない。前回紹介した会社のプランを選んでもいいし、ぷらら自身も3Gバイトまでで月1980円(税込)の「定額プラン」を用意している。

photo ぷららの料金プランは、「定額プラン」と「二段階制プラン」の2つ。25万パケット(約31Mバイト)まで380円(税込)なのはお得だが、そこを超えると料金が跳ね上がってしまう。また、2段階制プランの場合、1日100Mバイトまでという制限がある点にも注意

 同様のプランは、動画配信などを手がけるU-NEXTにもある。同社のドコモ回線を使ったサービスは「U-Mobile*d」と呼ばれ、この中に「ダブルフィックスプラン」が2段階制のものとなる。料金は月714円か2079円(税込)。ぷららより下限の金額は高いが、その分、通信可能なデータ量も1Gバイトとなっている。

 1Gバイトを超えると2079円(税込)になるが、きちんとデータ量を抑えることができれば、他社より割安な料金設定といえるだろう。なお、3Gバイトを超えると通信速度が制限される。

 U-Mobile*dには3Gバイトで1764円(税込)の「スタンダードプラン」もあるので、最初から通信をたくさんすると分かっているときは、そちらの方がいい。ダブルフィックスプランも、毎月の通信料に波がある人向けといえるだろう。

photo 1Gバイトまで月714円(税込)で通信できるU-NEXTの「ダブルフィックスプラン」は、1Gバイトを超えた瞬間に料金が上がる。最初からたくさん使うことを想定しているなら、「スタンダードプラン」の方がお得だ。なお、3Gバイトを超えると、通信速度は128Kbpsに制限される
各社の料金プラン(2〜3Gバイト)
会社名 プラン名 データ量 料金
BIGLOBE ライトSプラン 2Gバイト 1580円
ライトMプラン 3Gバイト 2980円
OCN OCNモバイルONE(2GB) 2Gバイト 1580円
IIJ ライトスタートプラン 2Gバイト 1596円
ぷらら 定額プラン 3Gバイト 1980円
U-NEXT スタンダードプラン 3Gバイト 1764円
2〜3Gバイト前後のプランを比較すると、U-NEXTの「スタンダードプラン」は、データ量と料金のバランスがいいことが分かる。料金は税込

月490円で150Kbpsの通信サービスもある

 データ量ではなく、速度を抑えて格安を実現しているMVNOもある。例えば、DTIの「ServersMan SIM LTE」は、150Kbpsに速度が最初から制限されているが、料金は月490円(税込)と低額に設定されている。高速化するためのチャージもあり、考え方は前回紹介したIIJのプランに近い。

 ただし、IIJは945円(税込)からで、945円のプランもあくまで500Mバイト分のクーポンを使うことが前提だ。一方で低速のままで構わないというのであれば、490円のServersMan SIM LTEの優位性が際立つ。動画や一部アプリのダンロードは厳しいかもしれないが、SNSやメールといったテキスト中心の使い方であれば、こうしたプランでも十分だろう。

ServersMan SIM LTE
基本料 月額料 490円
オプション ServersMan 050(IP電話) 315円
SMS 150円
高速化(100Mバイト) 262円
高速化(500Mバイト) 1312円
高速化(1Gバイト) 2625円
「ServersMan SIM LTE」の料金プランはシンプルだ。通信速度は150Kbpsに制限される。料金は税込

 ここまで見てきたように、一口に格安SIMと言っても料金プランはさまざま。格安の実現方法で、各社が工夫を凝らしている。それぞれのユーザーの使い方に合った会社やプランを選択することが、節約には欠かせない。MVNOやプランを選び、端末を用意したら、あとは通信をするだけだ。

 ただし、端末と回線が一体となった大手キャリアとは異なり、購入後の設定は原則としてユーザー自身が行う形となる。次回はMVNOの格安SIMを使うには、どのような設定が必要になるのかを具体的に紹介していきたい。

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