ITmedia Mobile 20周年特集

発表! 2014年を代表するスマートフォンは?スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2014(後編)(1/3 ページ)

» 2014年12月27日 00時20分 公開

 2014年に発売されたスマートフォンの中からベストなモデルを決める「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー」。12月上旬に実施した審査会では、審査員の石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐野正弘氏、島徹氏、すずまり氏、西田宗千佳氏に、2014年のスマートフォン事情について、ざっくばらんに振り返ってもらった。

 今回ノミネートされたのは「AQUOS CRYSTAL」「AQUOS ZETA SH-01G」(シャープ製)、「Ascend Mate7」(Huawei製)、「GALAXY Note Edge」(サムスン電子製)、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」(Apple製)、「isai FL」(LGエレクトロニクス製)、「Xperia Z3」「Xperia Z3 Compact」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)、ZenFone 5(ASUS製)(アルファベット順)。これら10ベストに対し、選考委員はそれぞれ持ち点25点からベスト1と思うものに10点、残り15点をその他の機種に配分。合計点でベスト1が決定する。

 2014年をひと通り振り返った後、選ばれた10ベストに各審査委員が配点した。審査員が選んだモデルは?

photo 10ベストに選ばれたスマートフォン。上段左から「AQUOS CRYSTAL」「AQUOS ZETA SH-01G」「Ascend Mate7」「GALAXY Note Edge」「iPhone 6」、下段左から「iPhone 6 Plus」「isai FL」「Xperia Z3」「Xperia Z3 Compact」「ZenFone 5」

石川氏:AQUOS CRYSTALは日本メーカーの意地を見せてくれた

石川氏 「AQUOS CRYSTAL」に10点を入れました。スピーカーはさておき、日本メーカーの技術力の意地を見せてくれたような気がしますし、世界で認められそうな感じもある。今回の話でも出ていましたが、自分としてはWQHDがいいなと思いつつも、使い勝手の面でまだまだ足りないところがある。その意味で、バランス的にもAQUOS CRYSTALはよくできていたと思います。

photo AQUOS CRYSTAL

佐野氏:iPhone 6はバランスが取れていて評価も高い

佐野氏 「iPhone 6」に10点を入れました。バランスが取れていて、ユーザの評価も高く、売れている端末として外せないモデルです。次点としてAQUOS CRYSTALと「GALAXY Note Edge」に入れました。今後の端末の方向性に期待ということで、各社のがんばりやインパクトを評価して5点ずつです。「Xperia Z3」に3点、「Ascend Mate7」に2点を入れた理由は先ほど説明した通りですが、同点にはできないので配分したという感じです。

太田氏:Xperia Z3を推したいが、ずば抜けて良かったわけではない

太田氏 迷ったのですが、Xperia Z3に10点を入れました。ずば抜けてよかったと評価したわけでは決してありません。人に勧める場合に、AndroidだとXperia Z3だし、iPhoneだったらiPhone 6を勧めるかなというところで選びました。Xperia Z3はデザイン的にこなれているし、機能面でもソニーらしさを感じます。「Lifelog」アプリも、世界観とUI(ユーザーインタフェース)ともよくできていると思いました。ただ、10点を入れた理由の大部分は、ソニーを応援したいという気持ちからです。

photo Xperia Z3

 iPhone 6は先ほど言った通り、iPhone 6 Plusのインパクトが大きかったので、両方合わせた評価です(iPhone 6が5点、iPhone 6 Plusが2点)。GALAXY Note Edgeは最初のワクワク感と使用感がマッチしないけれど、ワクワクを与えてくれた点は大きいと思います(3点)。Ascend Mate7と「ZenFone 5」は2014年のトレンドを作った2機種。甲乙付けがたいので同点(2点)です。AQUOS CRYSTALは、Xperia Z3が3キャリア展開しているのに対し、まだキャリアに縛られている印象が強いです。もっと世界に挑戦していってほしい、がんばってほしいという思いで1点を入れています。

すずまり氏:大画面端末が気に入っているのでiPhone 6 Plus

すずまり氏 10点は自分が使っているiPhone 6 Plusに入れました。ほかは自分がノミネートしていない端末にも入れています。ZenFone 5は触ったときに感じがよかったのと、これからに期待したいので1点を入れました。自分自身は大画面端末が気に入っているんですが、小型端末もなくならないでほしいという思いもあって「Xperia Z3 Compact」に1点を入れました。あとは順当に配点しましたが、点を入れていないものについては、持ち上げにくいとか、自分の中で端末の印象が残っていないものという感じです。

島氏:いちユーザーとして選ぶならXperia Z3 Compact

島氏 自分がいち消費者ならと選ぶということと、通話も情報も素早く扱えるものということで、ハイエンドを凝縮したXperia Z3 Compactに10点を入れました。ZenFone 5は、もし(ライターではなくいち)消費者だったら次にこれを選ぶだろうなと思いました(4点)。日本向けSIMロックフリー端末として、カラーやUIがちゃんと作りこまれているので高評価です。

photo Xperia Z3 Compact

 AQUOS CRYSTALはUIが好みではなく、スピーカーも最悪ですけれど、シャープがこれから先、スマートフォンで魅力的な端末を出すにはという観点で見るといい回答だと思います。ハードだけならどの端末よりも一番使いたいので、本当はもっと高得点を入れてもよかった(3点)。iPhone 6/6 Plusは、正直、好みでサイズを選べばいいんじゃないかと思います(各3点)。iOSの安定性と周りにユーザーが多いというのは財産なので3点ずつです。GALAXY Note EdgeはUIの向上、isai FLもタッチでロック解除できるUIを評価しています(各1点)。ただ、isaiはVoLTEの使える「isai VL」の方がお勧めです。

西田氏:Xperia Z3はソツがなさすぎる

西田氏 みなさんそうだと思うんですが、1位の端末とほかの端末に10点の差はないです。僕は結局、iPhone 6 Plusに10点を入れましたが、iPhone 6(4点)とiPhone 6 Plusで自分が好きなのは6 Plusだから1位になっているというだけです。大きな差があるとは思っていません。じゃあ、どこを評価して点を付けたかというと、新しいことをやっていることに対して。そういう意味で、GALAXY Note Edgeはいろいろといびつですが、間違いなくほかになかったといえます(4点)。完成度が高ければ1位になっていたかもしれません。

 AQUOS CRYSTALは、素材的にも作り方的にも新しいし、ビジネススタイルも日本のメーカーとしては新しい。その点も含めて評価しました。新しさでいうと、実はNote Edgeより好みなんですが、評価としてはNote Edgeの方が上だろうということで1点下げて3点にしています。

 Xperia Z3は間違いなく完成度が高く、iPhone 6と同様に勧められる端末だと思うんですが、あまりにもソツがなさすぎです。新しい機能のほとんどはソフトウェアアップデートでXperia Z2にも実装してあげればいいじゃないか、というものばかり。ということで2点です。ZenFone 5は、これが出てきた全体の状況を勘案して点を入れました。Ascend Mate7ではなくZenFone 5に入っているのは、コストパフォーマンスを考えると、今のMVNOのムーブメントを起こしたのはZenFone 5なんじゃないかなという理由です。

石野氏:Xperia Z Ultraだったら心おきなく10点を付けた

石野氏 心情としては、持ち点の25点を10機種で割って、全部2.5点といっていいくらい一長一短、どんぐりの背比べという感じですが、その中でAQUOS CRYSTALに10点を入れました。国内中心に展開するドメスティックなメーカーだったのが、うまくソフトバンクグループを使って海外展開したシャープの戦略や、iPhoneと同じくらい大切に扱っているソフトバンクの姿勢がすごくいい。また、フレームレスのディスプレイは未来感があって、映像が浮かび上がるような感じも、まさにシャープがディスプレイで目指していた世界で、ぱっと見のインパクトもありました。

 ただ一方で、みなさんおっしゃるように、UIや背面デザインなど欠点も目に付きます。最大の欠点は日本だとスピーカーとセットで売られていること。本当はこれに10点は付けたくなかった。だけど、この中でどれか1つ、10点を入れろといわれたら、これかなあという感じです。

 仮に僕がノミネートしたXperia Z Ultraがあれば、心置きなく10点を付けました。スマートフォンとしてサイズが突き抜けていましたし、いろいろな提案もあったし、あれだけのサイズで薄型というのもよかった。機能的には2013年のXperiaがベースですが、僕の中では評価が高い。これからソニーがプレミアムをやっていくなら、数は売れないのは当然としても、こういうモデルでユーザーの利用シーンを開拓していくことが必要だと思います。

 3点にしたGALAXY Note Edgeは10点候補ではあったのですが、いかんせん、完成度が低い。サムスン端末がこんなにもっさりでどうする、バッテリーがこんなにすぐなくなるなんて、という気持ちです。あとNoteシリーズはフリップカバーを含めてのシリーズだと思っているので、日本先行で出たせいもあるんですが、フリップカバーが2色しか出ていないのは残念。世界のサムスンらしからぬ失態です。これも心情的に10点は付けられないという端末でした。

photo GALAXY Note Edge

 iPhoneは、カメラの出っ張りが気に食わないの一言です。こんな処理をしながらデザインの話をしないでほしいというくらい、この出っ張りが気に入りません。ソフト面もハード面も、昔よりディテールの詰めが甘くなっている気がします。だから、iPhone 6はいい機種ですが、10点は付けづらい。ということで3点にしました。ZenFone 5とAscend Mate7はSIMロックフリー市場を切り開くミッドレンジ端末と、ハイエンドだけど5万円以下で出してきた端末ということで、それぞれ2点です。Ascend Mate7に関しては対応周波数が非常に広いので、出張に便利かなと思っています。

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