防災週間に「格安SIM」と「緊急地震速報」の関係を知ろうMVNOの深イイ話

» 2015年09月01日 10時11分 公開
[堂前清隆ITmedia]

 「ぐらっ」と揺れが来る直前に鳴り響く不安を誘うメロディー。緊急地震速報は何度聞いても慣れることがありません。緊急地震速報はテレビや街角の防災無線でも放送されていますが、皆さんが最も身近に感じているのはスマートフォンや携帯電話から聞こえる緊急地震速報ではないでしょうか。

 ドコモ、au、ソフトバンクでは「エリアメール」や「緊急速報メール」という名前で配信が行われており、対応のスマホを持っていれば警報音と画面表示で地震の情報を受け取ることができます。

 ここで気になるのは、「SIMロックフリースマホ」や、MVNOの「格安SIM」でも緊急地震速報が受信できるのか? ということです。これに答えるためには緊急地震速報の仕組みを説明しなければなりません。

緊急地震速報の仕組みとMVNO

 緊急地震速報自体は、気象庁が各地に設置した地震計の情報をもとに発信しています。また、地震情報だけでなく、J-ALERTと呼ばれる火山噴火・ミサイル発射・テロ発生などの緊急情報や、自治体の情報も関係各機関から発信されています。これらの情報を受け取った携帯電話事業者(MNO)は、携帯電話網の中にある特別な設備を使って、スマートフォンへ情報を送信します。

 通常、データ通信にしろ音声通話にしろ、スマートフォンが通信を行う際には、携帯電話基地局は個々のスマートフォンを識別して、個別に通信を行っています。ところが、緊急地震速報では極めて限られた時間内に大量のスマートフォンに情報を届けなければならず、個別に通信を行っている暇はありません。そこで、宛先を指定せず、電波が届く範囲のスマートフォン全員に一斉に情報を送りつけるという特別な仕組みが用意されています。この仕組みのことを「ETWS(Earthquake Tsunami Warning System:地震・津波警報システム)」と呼びます。

※auはLTE網でETWSを、3G網(CDMA2000)ではBC-SMS(BroadCast SMS)という異なる方式を使用しています。

 ETWSでは宛先を指定せずに電波が届く範囲のスマートフォンに一斉に情報を送ります。電波を受け取るスマートフォンが、携帯電話会社(MNO)の契約であろうが、MVNOの契約であろうが、お構いなしです。つまり、MVNOの「格安SIM」を取り付けたスマートフォンであっても、MNOのSIMを取り付けたスマートフォンと同じように、MNOが送信したETWS情報を受信することができるのです。

photo 「ETWS」の仕組み

SIMロックフリースマホは?

 このETWSの仕組みは、もともとはドコモが独自に開発したものですが、現在は3G(W-CDMA)やLTEの通信規格をとりまとめている3GPPという国際的な団体によって標準規格として採用されています。

 このように書くと、SIMロックフリースマホでもETWSによる緊急地震速報が利用できそうに思えますが、残念ながらそうと言い切ることはできません。ETWSは情報の送信方法を規定してはいますが、その情報をどのように表示したり、警報音を鳴らしたりするかは、端末メーカーの判断に委ねられているためです。

 実は、多数の地点に地震計を設置して、揺れが来る前に地震情報を配信できるような高度な観測システムを持った国は、そもそも日本ぐらいなのです。このため、日本以外の国では日本ほど緊急地震速報が重要視されていません。そのため、世界中で販売されるSIMロックフリースマホの中には、ETWS情報を表示する機能が搭載されていないものも含まれているのです。

 最近は多数のSIMロックフリースマホが日本でも発売されています。いくつかの機種で実際に緊急地震速報を受信し、警報が画面に表示されたというお話を聞くことはあるのですが、SIMロックフリースマホのカタログやWebページにETWS対応を明記しているというケースは見かけません。実際に購入してみないと状況が分からないというのは、少し残念です。

 なお、iPhoneは4s以降の世代でETWSに対応していますが、ドコモ MVNOのSIMカードを取り付けた状態でETWSを受信できるのは5c/5s以降の世代です。ドコモ MVNOであるIIJmioのSIMカードを取り付けたiPhone 5cで、写真のように緊急地震速報が表示されました。

photophoto

防災週間にテスト配信も

 長々と説明しましたが、結論をまとめると『「格安SIM」でも緊急地震速報の受信は可能。ただし、警報音が鳴るかどうかはスマートフォンの機種による』ということになります。

 自分の持っているスマートフォンで緊急地震速報が受信できるかどうか分からないのは、少し不安かもしれません。実は、それを試す良い機会があります。

 2015年の8月30日から9月5日は「防災週間」です。いくつかの自治体では、この期間に緊急地震速報のテスト配信を行います(※)。本当の地震や災害が起こる前に緊急地震速報の受信を確認できる珍しい機会ですので、実施自治体にお住まいの方は緊急地震速報の受信状況を確認してみてはいかがでしょうか。(配信タイミング、内容は自治体のお知らせをご覧ください)

※:確認した限り、掲載日以降では9月4日11時に大阪府、9月6日7〜11時に埼玉県川島町で実施予定です。

著者プロフィール

photo

堂前清隆

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) 広報部 技術広報担当課長

「IIJmioの中の人」の1人として、IIJ公式技術ブログ「てくろぐ」の執筆や、イベント「IIJmio meeting」を開催しています。エンジニアとしてコンテナ型データセンターの開発やケータイサイトのシステム運用、スマホの挙動調査まで、インターネットのさまざまなことを手がけてきました。


基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月10日 更新
  1. 「iPhoneの調子が悪いです」の文言、なぜアイホンのFAQに? 実はAppleと深く関係 (2026年02月08日)
  2. 総務省有識者会議が「手のひら返し」な我が国への示唆――日本を国際標準から遅れさせたのは自らの愚策のせい (2026年02月08日)
  3. ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は? (2026年02月09日)
  4. 「東京アプリ」で1.1万円分をゲット、お得な交換先はどこ? dポイント10%増量+楽天ペイ抽選が狙い目か (2026年02月05日)
  5. KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及 (2026年02月06日)
  6. 楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に (2026年02月07日)
  7. Googleが台湾のPixel開発拠点を公開 「10 Pro Fold」ヒンジ開発の裏側、“7年サポート”を支える耐久テスト (2026年02月09日)
  8. 東京アプリ、PayPayがポイント交換先に追加される可能性は? 広報に確認した (2026年02月05日)
  9. 東京アプリ、PayPayとWAON POINTをポイント交換先に追加 交換時期は「決まり次第案内」 (2026年02月09日)
  10. 「小型iPhone SEを復活させて」──手放せない理由SNSで話題 どこが“ちょうどいい”と評価されるのか (2025年11月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年