「追加で1GBを購入しても、全然、速くならないんです」
先日、17年近くNTTドコモを使っているという、32歳女性からこんな相談を受けた。速度がちっとも改善しないため「NTTドコモからソフトバンクに乗り換えようかと思っている」という。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年4月23日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
ただ、仮に容量を使いすぎて速度が遅くなっているから言って、1GBの容量を購入しても、速くならないというのは理解できない。そこで、いろいろと聞き取り調査をすることにした。
すると「職場でWi-Fiを使っているが、遅いので追加で1GBを購入したが速くならない。職場を出ると速くなるのでなんとかしたい」とのことだった。
ここで思わずアゴが外れそうになった。
スマホやネットワークの知識が全くない人からすると、Wi-FiもLTEも違いが全く理解されていないということだ。彼女は「とにかくスマホが遅い」ということで、速度制限がかかっていると思って追加で1GBを購入しているのだが、実は、そもそも遅いWi-Fiにつないでいるとのことだった。
恐る恐るWi-Fiの接続先を見てみると、「e-mobile」の文字を発見。どうやら、職場にはe-mobile時代のモバイルWi-Fiルーターが置いてあり、そこと接続しているようだった。彼女は、職場が設置した激遅なe-mobileのモバイルWi-Fiルーターにスマホを接続し、「遅いから不満」といって、ドコモのスマホで1GBを購入。しかし、一向に改善しないことから、17年契約し続けてきたNTTドコモを解約し、ソフトバンクに移行しようとしていたのだった。
これほどまで、一般的なユーザーが誤解をしながら使っていること自体に驚きを隠せなかったし、キャリアとしてはもっとユーザーに通信に関する知識を教えてあげるだけでも、状況を改善できるのではないかと思った次第だ。
実際、スマホ初心者から「Wi-FiとLTEの違い」について問い合わせを受けることも多い。そもそも、Wi-Fiに対しての知識がないために、無駄な支払いをしていることも多く
、「遅くて追加料金を支払わされている」という誤解をまねいているのかも知れない。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、街中には今後もフリーWi-Fiスポットが増えてくると思われる。キャリアが提供するWi-Fiスポットもあり、スマホを持ち歩いていると勝手にWi-Fiにつないでいることも多い。とはいえ、Wi-Fiスポットが必ずしも速いとは限らず、LTEのほうが高速で快適と言うことが多かったりもする。
キャリアとしてはWi-Fiスポットにつながっても快適で高速な環境にしておかないと、彼女のような初心者によって「この携帯電話会社は遅くて使い物にならない」と誤解によるレッテルを貼られてしまうこともあり得そうだ。
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