MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大150Mbps」「下り最大225Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。
そこで、本企画では各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介している。前回は2016年5月編のドコモ系MVNOの通信速度をリポートしたが、今回はau系MVNOだ。本企画がMVNOサービスを選択する際の一助になると幸いだ。
今回、テストを行ったのは以下のau回線を使った3サービス。
いずれも高速通信に対応したものを使っている。このうちauのLTE NETは、MVNOではなく、auのスマホに通常提供されているインターネット接続サービスで、いわば“本家”あるいは“純正”の通信速度ということになる。計測に使用したのは「URBANO L03」で、下り最大150Mbps(4G LTEのキャリアアグリゲーション利用時の理論時)までの対応となる。
主な調査条件は以下の通り。
通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再測定とした。本企画で紹介する通信速度は、時間帯や場所によって大きく変化するので、記事で紹介されている数値を100%うのみにせず、あくまで参考値としてご覧いただきたい。
au回線の測定は1台のURBANO L03を使って順番に行ったため、測定時間は分単位では異なる。測定時はドコモのMVNOを含めた3台同時になり、やや各SIMの測定間隔は広がっている。というわけで、全てのサービスを同時に測定したわけではないことをご理解いただきたい。
今回の測定は6月22日(水)と同23日(木)にJR横浜駅西口前で行った。今回はスケジュール上の都合からアイティメディア本社での計測は行っていない。
まずは23日の横浜駅西口前での午前中の測定結果をお伝えする。
ドコモのMVNOサービスでの計測結果では、下り平均20Mbps以上のサービスが複数出て、速度向上の傾向が見られたが、au系MVNOも同様の結果となった。au系ではMVNOの数が少ないせいか速度が出やすいようで、トップは「UQ mobile」の下り平均63Mbps以上で純正のLTE NETを上回った。2位の「mineo」も下り平均で58.83Mbpsで純正超えかつ十分過ぎる速度となった。au回線を利用するMVNOは数も少なく、速度が出やすいのかもしれない。
とはいえ、純正のLTE NETも下り平均56Mbps台で、何の不満もない、十分すぎる速度が出ている。
上りの速度でもUQ mobileがトップで、mineo、LTE NETと続き下り速度と同じ順位となった。ただし、利用する電波帯域などの事情もあり、au回線を使う通信サービスは純正・MVNOを問わず数Mbpsとなってしまう。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 8:55 | 63.47 | 5.28 |
mineo | 9:00 | 58.83 | 4.27 |
au(LTE NET) | 8:50 | 56.83 | 3.62 |
引き続き23日に測定した横浜駅前。ドコモ系MVNOは軒並み速度が低下しており、au系もランチタイムは同様の傾向が見られる。
トップはau純正のLTE NETで、下り51Mbps台と午前中とほとんど変わらない。混雑時でも安心の速度だ。
一方、MVNOはUQ mobileがかろうじて下り平均1.1Mbps台。上りでは相変わらずトップの5Mbps台だが……。mineoは下り平均0.41Mbpsでドコモ系MVNOほぼ同じような速度低下ぶりだ。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 12:29 | 1.1 | 5.24 |
mineo | 12:24 | 0.41 | 4.15 |
au(LTE NET) | 12:20 | 51.17 | 4.78 |
夕方の測定は22日に行った。au系MVNOの場合、同じ混雑時間帯でも夕方はランチタイムよりやや良くなるのが毎回の傾向だ。
6月もやはり同じでUQ mobileが下り平均20Mbps台と好調だ。もっとも5月は37Mbpsでトップを獲っているので、やや物足りないと感じなくもない。十分過ぎる速度ではあるが。
mineoはギリギリ下り平均1.02Mbpsと、底堅くはあるが速度が出ない。4月は2.67Mbps、5月は1.88Mbpsだったので、下りの速度が落ち続けていることになる。なんとか踏ん張ってほしいが……。
純正のLTE NETは下り平均26.86Mbpsで余裕のトップ。上りも平均3.36Mbpsで1位と夕方でも安定している。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 18:10 | 20.28 | 3.17 |
mineo | 18:04 | 1.02 | 2.77 |
au(LTE NET) | 18:00 | 26.86 | 3.36 |
6月はLTE NETが全3回のテスト2回で勝利と、いつものように圧倒はしている。しかし、UQ mobileの追撃も目立つ結果となった。
横浜駅前での午前中の計測結果を見てみると、ほとんど測定値は同じとはいえ純正よりもMVNOサービスの方が速いことがあるのは良いことだろう。
横浜駅のランチタイムは、MVNOサービスに良いところは無かったものの、横浜駅前での夕方の測定ではUQ mobileが下り平均10〜20Mbpsと良い数字が出ており、ドコモ系と比べても速度が出ている。
一方のmineoは苦戦が続き、5月よりも低速化してしまった。上りの速度はさほど大きく変動しないので、低速の時はアップロードが多いサービスを活用するのが良いようだ。
6月のau系MVNOの傾向を簡単にまとめると以下のようになる。
UQ mobileもmineoも新機種、新サービス投入が相次いでいる。合わせて、通信速度が上昇してくれるとうれしいが……。
今回の測定結果はあくまで参考データの1つとして役立てていただき、他のさまざまな情報も踏まえて、より良いMVNOを選んでほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.