RRCが確立すると、スマホはeNodeBとの接続が確立したメッセージを返すが、それと同時にコアネットワークへの接続要求となるAttach Requestも出す。Attach RequestはeNodeBを通過し、MMEという設備に送られる。
他社のスマホの電波でもここまでは進めるが、MMEはSIMカードが接続可能かどうかを認証する設備で、HSSにアクセスする。認証や暗号化のためのパラメータが順次戻っていき、最終的に、このSIMカードが契約的に問題なく使えるSIMカードだとなると、端末とMMEまでの暗号化のトンネル、さらにインターネットに抜けるための暗号化のトンネルのようなものが作られていく。これでようやく圏内になる。
そして、ここまできてやっと、どのAPNに接続するかの確認が行われ、最終的にインターネットに接続できるようになる。
なお、MMEは国境を超えて、SIMカード発行事業者のHLR/HSSに問い合わせをかけるケースがある。「IPX」といわれる中継事業者を経由して、世界中の携帯電話事業者のHSSがネットワークにつながっており、MMEはSIMカードのHPLMNを見ながら各事業者に問い合わせる。これが国際ローミング接続だ。
これまでIIJを始めとするMVNOは、携帯電話のコアネットワークのうちPGW周りしか運用してこなかったので、「それ以前の接続については、正直、ドコモさんやKDDIさんがちゃんとやってくれる」(佐々木氏)という前提だったという。しかし、SIMロックフリースマホのトラブルシューティングや緊急地震速報の問題検証などで、無線アクセスやコアネットワークの挙動を知らないと困ることが増えたそうだ。
IIJは2017年度以降、「フルMVNO」となってHLR/HSSを運営するようになるので、「特にコアネットワークの技術は他人ごとではなく、より深く関わらなくてはいけないようになってくる」(佐々木氏)。日本のMVNOにとっては前人未到の領域となり、「正直、よく分かっていない」が、「ユーザーに迷惑を掛けず、しっかり安定運用するために、エンジニアは技術の習得が課題になっている」と語った。また、HLR/HSSは新しいサービスを作っていくことも大きな目的だ。「新しいサービスを提供するためにも、自分たちの血肉にしていかないといけない」と、佐々木氏は気を引き締めていた。
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