世界を変える5G

「5G」でクルマ、コミュニケーション、スポーツ観戦が変わる――ドコモの最先端技術イベント(2/2 ページ)

» 2017年11月10日 07時30分 公開
[佐野正弘ITmedia]
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さまざまな視点でスポーツ観戦できる「ジオスタ」

 5Gの利用を想定したコンテンツの形として注目されるのが、フジテレビジョンと共同で実証実験している「ジオスタ」である。これは新しいスタイルのスポーツ観戦を提案する研究となるようだ。

 具体的には、テーブル状のディスプレイに表示された鈴鹿サーキットのコース映像に専用の端末をかざすと、レーシングコースが立体で表示されるとともに、その上でレースが繰り広げられている様子を見られる。従来のスポーツ中継は、決められた一方向の視点からしか見ることができなかった。そこでARを活用することにより、任意の視点でレースを観戦できるようになるのが、大きなポイントとなるようだ。

ドコモ5G 5Gの利用に向けたコンテンツとして実証実験を進めている「ジオスタ」。ARを活用した新しいスポーツ観戦を提案するものになるとのこと
ドコモ5G レースコースに専用の端末をかざすことで、ARでレースの様子を確認できる

低遅延で音楽セッションやロボット操作も快適に

 5Gの低遅延をアピールする展示の1つが、ヤマハが実験協力している、5Gを活用したオンラインでの音楽セッションだ。ヤマハは現在、オンラインで離れた人同士による音楽セッションをする「NETDUETTO」を展開しているが、ネットワークの遅延で音が伝わるタイミングにずれが生じると、それがそのまま演奏のずれにつながり、セッションが難しくなってしまう。そこで従来、NETDUETTOを利用する場合は有線での接続が求められていた。

 そこで遅延が非常に少ない5Gを活用することで、ケーブルに縛られることなく離れた人同士でセッションできるようにするというのが、この実験の目的となるようだ。会場では離れた場所で、キーボードとボーカルの2人が5Gを通じ、オンラインでセッションしている様子を披露。ずれが生じることなくスムーズな演奏で、遅延が少ないことを実感できた。

ドコモ5G ヤマハの「NETDUETTO」に5Gを活用したデモ。キーボードと、離れた場所にいるボーカルの音情報が遅延なく送られ、音がずれることなく遠隔地でのセッションできていた

 そしてもう1つ、低遅延を生かした展示が、新日鉄住金ソリューションズと共同で開発している「5G FACTORY III」だ。人間の手や体にセンサーを取り付けて動くと、5Gを通じてその情報がロボットに送られ、ロボットが人間と同じ動きをするというものだ。

 専用のゴーグルを装着することで、ロボットからの映像を見られるほか、ロボットが何かに触れた時は、その触感も再現する仕組みが用意されている。それゆえロボットが背面にある時は、自分の背中を見ながら、ロボットを通じて自分の肩をもむこともできるそうだ。

ドコモ5G 人間の手や体にセンサーを取り付けて動くことで、同じ動きを遠隔地のロボットが再現してくれる「5G FACTORY III」
ドコモ5G ロボットに搭載されたカメラからの映像をゴーグルで確認できるので、自分の背中を見ながらロボットに肩をもませる、といった操作も可能だという

 こうしたロボットの遠隔操作は、人間が入れない場所などでの作業をすることが期待されている。だが遅延があると人間とロボットの作業タイミングにずれが生じ、それがミスへとつながってしまう可能性がある。そうしたことから実用的な遠隔操作の実現には、遅延が少ない5Gのネットワークが欠かせないのである。


 これまでSFや夢物語として語られていたモノやコトが、新しい技術によって現実のものになりつつある。そんな様子を実感できるイベントだったといえる。

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