「おまかせ作成」メニューは、作品名を入力してデザインを選択するだけの簡単設定なので、基本的にはバックアップ用途と考えたほうがよい。複数のテープを1本にまとめたり、HDDに保存しておいた動画を読み込んでBlu-ray Discへ記録したいときは「編集コース」を利用する。簡単なビデオ編集機能やオープニングムービーの作成機能も備えているので、人に見せるディスクを作るなら、こちらを利用するほうが多くなるはずだ。
「編集コース」でのBlu-ray Discオーサリングは直感的に行なえる。ウィンドウ上部にある「ムービーを集める」「写真を集める」「メニュー画面を作る」「プレビュー・ディスク作成」のナビゲーション用ボタンを利用して、順番に作業していけば完成する仕組みだ。映像はIEEE1394接続で取り込めるほか、ファイルからの読み込みに対応している。
編集機能は簡単だが、必要十分の内容だ。クリップの並び替えや結合/分割の機能を持ち、不要な部分を削除したり、クリップを結合してチャプターを整理できる。また、シンプルなタイトル作成機能もある。全体的にクイックなレスポンスで、ストレスを感じることはあまりない。


HDVカメラから映像を取り込む方法は、おまかせ作成メニューとほぼ同じだ。IEEE1394で接続して「取り込み開始」をクリックするとHDDへキャプチャされる(写真=左)。キャプチャ方法は「まるごと取り込む」と「手動で取り込む」のどちらかを選べる。編集機能では、クリップの並べ替えや、結合/分割が行えるほか、ムービーフォルダを作成し、複数の作品を収録することが可能だ(写真=中央)。タイトル文字の挿入方法は、「クリップを重ねる」「クリップの前に挿入」「クリップの後ろに挿入」の3種類から選べる(写真=右)。文字にはフェードイン/フェードアウト、ライトイン/アウトなどの簡単なアニメーションが付けられるメニュー画面は、同社のソフトらしく高品位なデザインがそろっている。あらかじめ用意されているデザインを選ぶのが基本だが、ユーザーが背景やBGMを変更できる「BD スペシャル」を利用して、オリジナルのメニュー画面も作成可能だ。デザインテンプレートは通常の動画や静止画を利用したメニューが13種類、取り込んだ映像を背景の一部に入れて再生する「スペシャルメニュー」が3種類と決して多くないが、どれも完成度が高く使いやすい。


メニュー画面の作成では、テンプレートデザインを選んでタイトルとなる作品名を入力する(写真=左)。メニュー画面の編集では、テキストや文字の大きさ、BGMなどを変更できる(写真=中央)。「BD スペシャル」を選んだ場合は、ユーザーが指定した映像をメニューに表示できる(写真=右)

「オープニングの設定」にある「ダイジェスト」機能では、素材となる映像や写真をランダムに使用してオープニングムービーを作成してくれる(写真=左)。オープニングムービーの映像はランダムに生成されるが、プレビューを見て作り直すことが可能だ(写真=中央)。写真などの静止画を取り込み、スライドショーを作成することもできる(写真=右)。動画といっしょに静止画を記録したい場合、1枚のディスクへまとめられるので便利だディスクの作成時間は、ヘルプによると1時間の映像で3時間程度とある。しかし、実際に約30分間の映像を作成してBD-REに書き込んだところ、書き終えるまで5時間50分かかった。エンコード中のCPU負荷率は50%程度だが、メモリ消費量が900Mバイト近くになり(VGC-LA83DBが搭載するメインメモリは標準1Gバイト)、ほかの作業を並行して行うことは難しい。Blu-ray Discの書き込み速度が1倍速(DVDの3倍速程度)という点もディスク作成に時間がかかる一因となっている。
映像の編集後は、およそ一晩かけてディスクを作成するというイメージになる。寝る前に書き込みを開始し、朝起きて書き込まれたディスクを確認するというのが現実的な利用法だ。もっとも、今回試用したClick to DVD BDは製品発売前のバージョンのため、実際の製品では作成時間がもっと短くなる可能性もある。
Click to DVD BDは、インタラクティブ技術のBD-Jに対応していないため、「これぞ次世代DVD」という驚きこそなかったが、BDMVになってもDVD-Videoと同様の手順でオーサリング可能なことが確認できた。映像はもちろん、メニュー自体もハイビジョンの高精細で表示されるため、大画面の薄型TVで再生するにはもってこいだ。
大きな課題として挙げられるのは、膨大なオーサリング時間とBlu-ray Discドライブ搭載モデルの高額な価格設定だが、今後それらが改善されれば、DVDと同じようにBlu-ray Discを利用したオーサリング環境は着実に普及していきそうだ。
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