加熱しない3万円前後グラボ競争を尻目に、低消費電力版のGeForce 9600 GT搭載カードがブレイクした。カードベンダー各社が、標準のGeForce 9600 GTをダウンクロックし、補助電源を省いたり基板を短くするなどして、独自の省エネタイプが複数出回っている。
3月末に登場したギャラクシー「GF P96GT-LP/512D3/LOW POWER」は標準仕様から40%の電力をカットし、補助電力を省くとともにロープロファイル仕様を実現。1万1000円前後で出回り、「4月上旬にかけてブレイクしました。単なるバリエーションモデルとは一線を画す売れ行きです」(クレバリー1号店)と言わしめている。
その後、補助電源とクーラーファンを省いたZOTACの「GeForce 9600 GT Eco」が1万円以下で、2スロット占有型の大型クーラーを搭載しながらも6ピン補助電源をカットして性能ダウンを最小限に抑えたエルザ「GLADIAC 796 GT SS 512MB」が1万4000円以下でデビューし、それぞれ好調に売れている。
これらの人気の背景について、BLESS秋葉原本店は「補助電源が省かれるというのは省エネを意識するうえで重要なポイントになりますね。400ワット台の電源を使っていると、少しハイスペックなグラフィックスカードに変えるだけで電力不足の不安がつきまといます。そこで安心感からパフォーマンスが高い9600 GTが手軽に使えるというこれらの製品が買われていくという側面があるでしょう。価格も1万円前後に集中しているので、値ごろ感もありますし」と語る。
この流れを後押しするように、4月末にはAMD陣営からも消費電力の低さに定評がある「Radeon HD 4770」搭載カードも登場した。詳細は後日のアキバPick UP!でお伝えしたい。
売れ行きの途中結果はどうあれ、4月はどのジャンルもハイエンドクラスの高性能パーツと電力控えめの省エネパーツが脚光を浴びることが多かった。それをよく反映しているのが、CPUクーラーの新モデルだ。
4月中旬に登場したのは、高さ5センチを切る薄型のクーラー2モデルだ。サーマルティクの「MeOrb」は高さ47ミリで、LGA775/Socket AM2/939に対応する。ザルマンの「VF2000 LED」はさらに低い45ミリで、LGA775/Socket AM2に対応するほか、アタッチメントを変えることでRADEON HD 4870やGeForce 9800 GTカードにも装着可能となる。価格はMeOrbが4000円弱で、VF2000 LEDは6000円弱。
ソフマップ秋葉原本館は「mini-ITX関連パーツが1ジャンルとして定着して、スリムタイプのPCケースも再評価されています。そこで薄型のCPUクーラーの需要が高まっている背景がありますね。薄いながらもそこそこ冷えるモデルが今後もヒットしていくと思います」という。
ハイスペックタイプの注目株は、4月末に登場したクーラーマスターの「V10」。メモリスロットを覆う延長フィンを搭載するLGA 1366/775とSocket AM2/940/939/754対応のクーラーで、筐体の長さは236.5ミリに及ぶ。CPUヒートシンク部にペルチェ素子を内蔵しており、冷却性能の高さが評判を呼んでいる。価格は1万8000円前後だ。
PCパーツショップ・CUSTOMは「CPUクーラーとしてはありえない値段ですが、冷却性能もありえないほど高いです。200ワットクラスのCPUにも対応するというくらいなので、オーバークロックを楽しみたい人に人気があるようです。ただ、規格外のサイズなので、奥行きの狭いケースでは搭載できないでしょう。オーバークロックも含めて、自己責任でお楽しみください」と語る。
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