右の画面は、Windows Anytime Upgradeを起動したところ。オンラインで購入するか、直販や店頭で購入したパッケージに収録されているアップグレードキーを入力するかの選択を行う。その右側にマウスの右ボタンをクリックしたときに表示されるプロパティメニューを表示しておいたが、Gadgetsの下に個人設定のメニューがない。Starterの制限の1つは、壁紙やウィンドウの表示色を変更したり、スクリーンセーバーを設定する、といった個人設定ができないことだ。唯一、イベント発生時に鳴らすサウンドだけはカスタマイズ可能で、上位SKUで利用できる各種テーマ用のサウンドも一通り入っている。
さらにその下、タスクバーの右端にマウスカーソルがある。ここでマウスをクリックすると、すべてのアプリケーションウィンドウが最小化され、デスクトップとその上のアイコン、およびガジェットが表示される。Aeroをサポートした上位SKUであれば、ここでクリックしなくてもマウスカーソルを乗せただけで、アプリケーションウィンドウの下のデスクトップが透けて見えるAero Peekが利用できるのだが、Starterでは当然利用できない。こうしたAeroの視覚効果は使えないものの、アプリケーションウィンドウを画面の上端に持って行くとウィンドウが最大化されたり、左右に寄せると画面の半分の大きさに表示されるといった効果そのものはStarterでも利用可能だ。
画面4は、HP Mini 1000の1024×576ドットのデスクトップ上で、複数(5つ)のアプリケーションを起動したところだ。当初、Windows Vista Starterには同時に起動できるアプリケーションは3つまでという制約があったが、公約通りWindows 7 Starterではその制約は撤廃された。
画面5は、標準添付されるゲームの一覧で、ここには上位SKUとの差が見られる。インターネット対戦が可能なスペード、チェッカー、バックギャモンの3種と、Chess Titans、Mahjong Titansの計5本は、プレミアムゲームということでStarterには含まれない。このほか、上位SKUと異なり付属のWindows Media PlayerがDVD-Videoの再生をサポートしていない、という違いもあるが、その一方でWindows 7から追加されたH.264のデコーダはこのStarterでも利用できる。どれくらいの再生ができるかは、ムービーの解像度やビットレートに依存するが、ほとんどが1スピンドルのNetbookを考えたら、MPEG-2のデコーダがついてくるより、H.264のデコーダがついてくるほうがよいと考える人も少なくないだろう。

画面4:Windows 7 Starterでは同時起動アプリケーション数に関する制約は撤廃された(画面=左)。画面5:Windows 7 Starterにバンドルされるゲーム(画面=右)。Mahjong Titanなど5本のゲームが省略されている。これだけで1000円分くらいの価値はあるかもしれないというわけで、個人的にはStarterも思ったより使える印象だ。今回テストしたNetbookが、外部ディスプレイに接続のできないHP Mini 1000だったこともあり、こちらの制約については分からないが、XGA解像度(1024×768ドット)の外部出力をサポートしていないということは考えにくい。ならば、CPUの能力を考えても、Netbook用のOSとしてはStarterでよいのではないかと思う。壁紙さえ変えられない、ということに抵抗を持つ人もいるかもしれないが、それくらいは何とかするオンラインソフトウェアが登場しそうな気もする。
もちろん、Aeroが使えるフルスペックのWindows 7のほうがよいには決まっている。しかし、仮にAtomベースのNetbookを3万円で購入したとして、Home Premiumとの機能差のために、追加で8000円出すかといわれたら、筆者の答えはノーだ。
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