ベンチマークテストの結果は下のグラフに示した通りだ。Atom Z520+US15Wのシステムなので、PCMark05のGraphicsスコアと総合スコアが算出されず、3DMark06もエラーで実行できなかった。また、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も実行できたのはLowのみで、高解像度のHighは動作しなかった。
取得できたスコアからすると、Atom Z520+US15Wの組み合わせのPCとしては、ごく普通のスコアといえる。CrystalDiskMark 2.2では内蔵SSDのパフォーマンスを測定したが、ライト性能が低く、廉価版のSSDといった印象だ。Viliv X70のような携帯型デバイスとしては、性能よりも機械部品がないことによる衝撃・振動に強い安心感や静音性のメリットが大きいといえる。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「120秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「20秒間隔でのキーストローク」にセットした。無線LANで常時接続し、電源オプションは「ポータブル・ラップトップ」で、ディスプレイ輝度の設定は51%にして測定した。結果は320分(5時間20分)と実に優秀だ。Viliv S5ほどの長時間駆動は行えないが、モバイルシーンで安心して利用できるといえる。
Viliv X70はファンレス設計なので、動作音はほとんど無音で、ボディの温度もそれほど高くはならない。室温26度の室内でYouTubeにアクセスして動画再生を40分ほど連続で行っても40度を超える部分はなく、ボディ表面が35度前後、裏面の左側が38度前後、右側が37.5度前後だった。熱を帯びてくるのがはっきり分かるという程度で、本体を持つのに困るほどの発熱はない。
ブルレーの直販価格は6万9800円と、よくあるNetbookより少し高い程度で、コストパフォーマンスはなかなかのものだ。さらに9月14日までは発売記念キャンペーンにより、標準バッテリーとレザーケース、カーキットがもらえる特典がある。これらのオプションの合計価格は1万9400円だ。バッテリーの予備はもちろん、カーキット、レザーケースともかなり実用的なオプションなので、この特典はとてもありがたい。
ちなみに、上位モデルの「X70-P-64」はSSDが64Gバイトに、OSがWindows Vista Home Premium(SP1)になって8万2800円だ。Windows 7への無料アップグレード権も付与され、上記のキャンペーンも同様に実施されている。また、5万9800円で販売される下位モデル「X70-E」のスペックは、CPUがAtom Z515(1.2GHz)、SSDが16Gバイトとなるが、キャンペーン中は無料でCPUがAtom Z520にアップグレードされ、上位機と同様にレザーケースとカーキットの特典もある。
タッチパネルと操作ボタンだけで実用的に扱える操作系統は秀逸で、静音性や放熱性、バッテリーの駆動時間も合わせて、この手の小型PCとしての完成度はかなりのものといえる。細かい部分ではいくつか指摘もしたが、どれも欲をいえばという話で、致命的なものではない。Viliv S5より大きく視認性の高い液晶ディスプレイを備えるため、カーキットを利用した車載用PCには適しているし、カーキットを応用して室内でデジタルフォトフレームのように使うのも面白そうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.