トリのセッションをつとめたのは、“兄貴”こと日本AMDの土居氏。「兄貴の24時」と題して、土居氏自身の1日のPC利用法を時間帯ごとに説明した。
朝はWindows Live Meshのリモートデスクトップ機能を使って会社で作成した資料を自宅のマシンと共有し、昼から夕方にかけては社内で資料作成やプレゼンテーショントレーニングにAMDプラットフォームを活用しているという。
土居氏は「最新のPowerPointではGPGPUのアクセラレーションが利用できるようになっています。また、ノートPCでトレーニングの資料を作ったり、作成した資料をHDMIケーブル経由でテレビに表示させるといったことも可能です。ノートPCにもハイスペックなグラフィックス環境が使えることで、いろいろな利便性が出てくるんですよね」と解説。なお、「Catalyst 9.11」以降のGPUドライバを導入すると、「ビデオデモモード」が使えるようになり、Windows Media PlayerやYouTubeなどで解像度を引き上げた精細な映像が楽しめることもアピールした。
そして、夜は趣味にPCを使う。ここでもDirectX 11が使えるRadeon HD 5000ファミリーが活躍すると語り、DirectX 11にフル対応したレーシングゲーム「DIRT 2」のデモを披露した。土居氏は「DirectX 11では、頂点以外の描画を補間するテッセレーションが使えるので、特に水面や風になびく旗の表現で差がはっきりと分かります。また、マシンへの負担も少なくので、私が家で使っているRadeon HD 5870搭載マシンでも、フルHD画質60フレームで快適にプレイできました」と語る。
DirectX 11に対応する環境が整ったことについて、前のセッションでマイクロソフトの鵜木氏は「涙が出るほどうれしかったです。Windows 7が登場したとき、唯一残念に思ったのはDirectX 11環境が整っていなかったこと。Windows 7のフルパワーはDirectX 11環境でこそ発揮されるんですよ」と熱く話していた。DirectX 11は、前述のテッセレーションだけでなく、暗号解読や物理シミュレーションといったGPGPU的な応用、GPUのマルチスレッド対応などの特徴があり、今後は「それらを活用できるシーンが広がっていくように提案していきたいと思っています」と話している。
土居氏も今後のAMDの進路については「DirectX 11やOpen CLといった技術が、仕事の場ならPowerPointなど、家なら3D Blu-rayなどに活用できるように進めていきたいですね。CPUやGPUの個別の性能というより、今後はプラットフォームとしてのトータルのバランスが重要になってくるんだと思います」とまとめていた。
最後は、恒例の「兄貴のロードマップ」。土居氏は11月に行われた「Financial Analyst Day」での資料をまとめ、端的なプレゼンシートで解説した。それによると、2010年には、6コアのデスクトップPC向けCPU「Thuban」が投入されるという。
すでにある6コアのOpteronとは別のダイを使うことのことで、「真新しい製品になる可能性が高いですが、技術的には既存のAM3プラットフォームで使える仕様になると思います」と説明。また、ノートPCでは、TDP 35ワットの3コアと4コアのCPUが投入されるとのことで、土居氏は「これは他社さんには出せないと思いますね」と自信をのぞかせていた。
さらに2011年には、8コアCPUと目されている「Bulldozer」が登場する見込みだ。「一部で“4コアのデザインでは”とも言われていますが、私は8コアだと信じています。K7世代から続いているアーキテクチャがついに一新されるという点からも、かなり期待できるものになると思っています」と語る。
また、GPUとCPUを組み込んだ新チップ「Fusion」も同時期に登場する見込みがあり、土居氏は「ゆくゆくはGPUとCPUが混ざり合っていくでしょう。FusionでPCのあり方が劇的に変化すると思います」と展望を語り、セッションを締めくくった。
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