外付けHDDからの移行を考えている場合は、ここでファイルのコピーを行うことになる。TS-110はeSATAとUSBをサポートしているので、ほとんどの外付けHDDと直接接続ができる。USBは速度は遅いがTS-110本体のみで移行が可能、eSATAはPCからの操作が必要だが高速、という違いがある。eSATA/USB両対応の外付けHDDデータの場合はそのメリットとデメリットを考えて選択すればいいだろう。
ここではまず、USB接続での移行について説明する。USB接続の場合、最も簡単なのはTS-110前面のUSBポートに接続し、その上にあるUSBコピーボタンでワンタッチコピーバックアップを行うことだ。容量が大きい場合にはそれなりに時間がかかるものの、PCからの操作は不要。コピー先は初期状態ではQusb以下に作成された日付フォルダの下となるが、変更することもできる。ただし、選択できるフォルダは共有フォルダのトップであり、その下に作成したサブフォルダをコピー先にすることはできない。
eSATAの場合はワンタッチコピーボタンは使えないのでWindowsエクスプローラからコピーするか、管理画面からWebファイルマネージャを使用してコピーを行う。だが、コピーが完了するまでWindowsやWebブラウザを終了できないという問題がある。容量によっては一晩では完了しないほどの時間がかかる。
そこで今回はリモートレプリケーションを使ったテクニックを紹介する。リモートレプリケーションは本来、物理的に離れたところにあるQNAP製品間でインターネットなどを経由してデータを複製し、災害などの障害に備えるものだ。だが、そのリモート先を自分自身にすることで外付けHDDを含めたTS-110内のデータ移行を本体だけで行うことができる。
TS-110は内蔵ドライブ数が1台しかないため、一見冗長構成を取ることができないように見える。しかし、実はQNAP独自のQ-RAID 1を使うことで内蔵ドライブと外付けHDDの間でミラーリングを行うことが可能だ。rsyncによるミラーリングだが、内蔵ドライブに障害が発生したときには外付けHDDデータを取り外し、内蔵するだけで復旧できる。ほかにもリモートレプリケーションや外付けHDDデータへのバックアップ機能など、データの保護については複数のアプローチが用意されている。
重要なのは内蔵できるドライブは1台であっても、3つのUSBポート、1つのeSATAポートが搭載されているため、複数ドライブをハンドルすることが可能になっているということだ。TS-110の場合はほかの複数台内蔵可能なモデル以上にUSB/eSATAポートを活用した運用をしていくことになるだろう。
今回はNASとしてTS-110を導入するまでを紹介した。次回はTS-110にとどまらず、NASを超えた機能について紹介していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.