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» 2010年02月24日 11時00分 公開

直販、店頭、旧機種の3台をガッツリ比較:“豪華すぎる”モバイルノート「VAIO Z」を徹底検証する(後編) (2/4)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 まずは、パフォーマンステストの結果からチェックする。VAIO Zには描画性能を切り替えるダイナミック・ハイブリッドグラフィックス機能があるため、テストは外部GPUのNVIDIA GeForce GT 330Mを使用した場合(AUTOモード/ACアダプタ接続時 ※SPEEDモードと同等)と、CPU統合グラフィックス機能のIntel HD Graphicsを使用した場合(AUTOモード/バッテリー駆動時 ※STAMINAモードと同等)の両方で行った。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Windowsエクスペリエンスインデックスの結果を見ると、プライマリハードディスクのスコアでSSDのパフォーマンスが高く評価されているのが分かる。合計128GバイトのデュアルSSDを内蔵したVPCZ119FJ/Sでは7.3、合計256GバイトのクアッドSSD構成を内蔵したVPCZ11AFJに至っては7.6と、スコア上限の7.9に近い高い値が得られた。500GバイトHDD(5400rpm)を搭載するVGN-Z73FBのスコアも5.9と悪くはないが、新モデルの2台とは大きく差が開いている。

 次に高い値が出たプロセッサのスコアは、CPUのグレードが素直に現れた。Core i7-620M(2.66GHz/最大3.33GHz)を装備したVPCZ11AFJは6.9、Core i5-520M(2.4GHz/最大2.93GHz)採用のVPCZ119FJ/Sは6.7を獲得しているが、VGN-Z73FBも2.8GHzと高クロックのCore 2 Duo P9700を備えているため、スコアは6.4と新モデルに引き離されていない。

 グラフィックス関連のスコアは、ダイナミック・ハイブリッドグラフィックス機能の設定によって大きな差が生じる部分だ。NVIDIA GeForce GT 330Mと1Gバイトの専用グラフィックスメモリを採用したVPCZ11AFJとVPCZ119FJ/Sは、モバイルノートPCでありながら、グラフィックスとゲーム用グラフィックスの両方で6.3とかなり高いスコアが出た。従来のVAIO Zは、外部GPUのNVIDIA GeForce 9300M GSがほかのコンポーネントに比べて少し見劣りする印象だったが、新モデルでは描画性能がしっかり改善されている。

 新モデルのCPU統合グラフィックス機能であるIntel HD Graphicsについても注目したい。旧モデルのチップセット内蔵グラフィックス機能であるIntel GMA 4500HMDと比較して、3D描画性能や動画の再生支援機能が底上げされ、特にゲーム用グラフィックスのスコアは大差が付いた。もちろん、外部GPUを使わなくてもWindows 7の基本操作は快適にこなせる。

PCMark05、PCMark Vantage(x64)のスコア

 次にアプリケーションベースの定番ベンチマークテストであるPCMark05とPCMark Vantage(x64)を実行し、システム全体のパフォーマンスを確認した。

PCMark05のスコア。OSが64ビット版Windows 7なので、総合スコアは算出されない
PCMark Vantage(x64)のスコア

 PCMark05は旧世代のテストで、最新CPUに追加された機能などがスコアに直結しにくく、その多くがシングルスレッドで行われることもあり、CPUやMemoryのスコアは新旧モデルでそれほど大きな差が見られない。しかし、Graphicsのスコアは2倍近く、HDDのスコアでは4.5倍以上も新モデル2台が旧モデルを上回り、明暗が分かれた。VPCZ11AFJとVPCZ119FJ/SのHDDスコアは、2万6000以上という驚異的な値をたたき出しており、RAID 0によるデュアルSSD/クアッドSSDの高速性を見せつけている。デュアルSSDはクアッドSSDと同レベルのスコアを獲得しており、健闘が目立つ。

 世代が新しいテストのPCMark Vantage(x64)では、新旧モデルの差がより開いた。グラフィックスとデータストレージの性能が大きく作用するGamingでは約2.5倍、データストレージのみを評価するHDDでは4.5倍以上も新モデル2台が旧モデルに勝っている。また、MusicやProductivityについてもデータストレージの性能が反映され、新モデル2台が旧モデルを圧倒した。PCMark Vantageではマルチスレッドへの最適化も進んでいるが、それよりもデータストレージの違いが最も結果に影響したといえる。

 さらに、総合スコアのPCMarkやCommunicationsでは、Core i5/i7(開発コード名:Arrandale)で追加された新命令であるAES-NI(Advanced Encryption Standard-New Instruction)が有効なAESのデータ暗号化/複合化処理も含まれるため、やはり新モデル2台が飛び抜けている。

CrystalDiskMark 2.2、PCMark05/PCMark Vantage HDDテストのスコア

 以上のテスト結果を大きく左右したデータストレージの性能については、CrystalDiskMark 2.2(ひよひよ氏作)と、PCMark05およびPCMark VantageのHDD関連テストを実行し、より詳しく調べた。

CrystalDiskMark 2.2のテスト結果
PCMark05におけるHDD関連テストの結果
PCMark VantageにおけるHDD関連テストの結果

 データストレージのリード/ライト性能を調べるCrystalDiskMark 2.2は、VPCZ11AFJが突出したスコアを記録した。RAID 0構成のクアッドSSDによって、シーケンシャルリードで578.4Mバイト/秒、シーケンシャルライトで418.2Mバイト/秒とSerial ATA(転送速度300Mバイト/秒)の壁を越えた速さを発揮したことに加えて、ランダムリード/ライトも抜群に速い。それに続くデュアルSSDのVPCZ119FJ/Sも、モバイルノートPCとしては抜きん出たパフォーマンスを実現しているのが分かる。もはやHDDとは段違いの性能だ。

 一方、Windowsやアプリケーションの起動、標準的なアプリケーションによるデータの読み書きなどをシミュレートするPCMark05/PCMark VantageのHDD関連テストでは、違った傾向が見られた。デュアル/クアッドSSD搭載の新モデル2台がHDD搭載の旧モデルを圧倒しているのは変わらないが、デュアルSSDとクアッドSSDのパフォーマンスに大きな差が出ていない。

 全般的にクアッドSSD搭載のVPCZ11AFJが優勢だが、データサイズが異なるランダムリード/ライトが頻繁に発生するような状況では、デュアルSSDでクアッドSSDに匹敵する(場合によっては上回る)性能が得られるケースもあるという結果になった。予算に余裕があればクアッドSSDは実に魅力的な選択肢だが、128GバイトのデュアルSSDでも新型VAIO Zらしいスピードは十分味わえるため、デュアルSSDは買い得感がなかなか高いといえる(ただし、購入後にクアッドSSD構成に増設することはできないので、ここは大きな悩みどころだ)。

 なお、試作機を使用した感覚としては、デュアルSSDのVPCZ119FJ/Sでも実に快適にOSやアプリケーションの操作が行えた。ハイスペックなデスクトップPCのように、モバイルノートPCでWindows 7がキビキビと動作するのは何とも心地がいい。さらにクアッドSSDのVPCZ11AFJでは、ファイルのコピーや解凍、アプリケーションの導入や削除といった操作が機敏で、まさにストレスフリーといった印象を受けた。


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