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» 2010年02月24日 11時00分 公開

直販、店頭、旧機種の3台をガッツリ比較:“豪華すぎる”モバイルノート「VAIO Z」を徹底検証する(後編) (4/4)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]
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ボディ各部の表面温度

 パフォーマンスの向上で気になる動作時の発熱もチェックした。新旧3台のVAIO Zを樹脂製のデスクに離して設置し、ボディ各部で最も高温になる場所の表面温度を放射温度計で計測した。計測したのは、Windows 7の起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、そこからシステムに高い負荷がかかる3DMark06のデモを30分間実行し続けた場合の2パターンだ。

 VAIO ZにはACアダプタを接続し、グラフィックス機能はより温度が上がるように外部GPUを利用した。液晶ディスプレイの輝度は最大、ワイヤレス通信機能はオン、音量は半分(ヘッドフォン接続)に統一している。テスト時の室温は約23〜24度だ。

起動後30分間アイドル状態にした場合のボディ表面温度
システムに30分間高い負荷をかけ続けた場合のボディ表面温度

 テスト結果は新旧モデルで傾向が分かれた。新モデル2台はパームレストを樹脂製の別パーツで仕上げているため、内部の熱が表面に伝わりにくく、アイドル時はもちろん、高負荷時でも25〜27度と温度がほとんど上がらず、手のひらに不快な熱を感じることはなかった。

 ハイスペックな直販モデルのVPCZ11AFJは、全体的に店頭モデルのVPCZ119FJ/Sより少し発熱しやすく、触り比べてみると確かに温度の違いが分かるが、発熱量の差に目くじらを立てるほどではない。

 新モデルはキーボードやタッチパッドも含め、ボディの表側が旧モデルのVGN-Z73FBより総じて低温だったが、CPUや外部GPUが位置する底面の左側(排気口付近)は新モデル2台のほうが熱くなりやすかった。

 机上で使う場合は問題ないが、ヒザの上などで長時間利用すると、体温がPCを温めてしまい、よりボディが高温になりがちなので注意したい。特に夏場のモバイルシーンなどでは環境温度もかなり上がるので、軽量ボディに高性能を凝縮し、Core i5/i7のIntel Turbo Boost Technologyにも対応したVAIO Zでは、普段から排気口周辺をふさいだりせず、高温の環境で長時間使い続けないよう心がけたほうがいいだろう。

 今回のテスト結果から、新型VAIO Zはパフォーマンスの向上やボディの薄型化を実現していながら、優れた放熱性も兼ね備えているといえる。

動作時の騒音レベル

「VAIOの設定」でファン制御は3段階に調整できる

 新型VAIO Zでは、放熱強化のために薄型で冷却効率の高いファンを新たに採用している。そこで、VAIO Zをデスクに置き、一定の距離から騒音計で動作時の騒音レベルを計測してみた。

 騒音計のマイクは、使用時におけるユーザーの耳の位置を想定し、ボディ中央から約30センチ離し、設置面から約50センチの高さに固定している。室温は約23〜24度、環境騒音は約28デシベル(A)で、周囲の雑音がほとんど聞こえない静かな環境で計測した。計測は、Windows 7の起動から30分間アイドルで放置した状態と、システムに高い負荷がかかる3DMark06のCPUテストを30分間実行し続けた状態の2パターンで行っている。

 VAIO Zの計測条件は発熱のテストと同様だ。ACアダプタを接続し、グラフィックス機能は外部GPUを利用している。「VAIOの設定」ではファン制御を3段階に調節できるが、初期設定の「バランス」(3段階の中間)とした。

騒音テストの結果

 テスト結果は、新モデル2台が旧モデルより静かだった。VPCZ11AFJとVPCZ119FJ/Sはアイドル時にファンが低速で回転し、注意しなければファンノイズが気になることはない。エアコンなどの家電が動作している室内では、環境音にかき消されてしまうほどの回転音だった。もちろん、データストレージにSSDを採用しているため、ファンの回転音を除くと、ほぼ無音だ。

 一方、旧モデルのVGN-Z73FBはアイドル時でも新モデルより高速にファンを回していたため、動作音が大きくなっている。それでも利用していて不快になるレベルではなく、十分静かだった。

 高負荷時ではファンが高速回転するため、3台の新旧モデルで騒音レベルに差は付かなかった。今回集めた3台は、ファンが高速回転することで風切り音は大きくなるものの、耳障りな異音が鳴るようなことはなかった。新型VAIO Zは高い放熱性に加えて、静音性についても不満がないといえる。

“旧Z”の高いハードルを乗り越えた“新Z”

 2回に渡って新型VAIO Zをレビューしてきたが、その高い完成度にはうならされた。2008年に初代VAIO Z(VAIO type Z)が登場したとき、次の世代でこれを超えるフラッグシップモデルを生み出すのは難しいだろうと感じたが、それを見事に成就させた開発陣の苦労には敬意を表したい。

 切削加工のアルミを用いたボディデザイン、Core i5/i7やデュアル/クアッドSSD、NVIDIA GeForce GT 330Mを組み合わせた圧倒的なパフォーマンス、広色域かつフルHDにも対応する高品位なワイド液晶ディスプレイ、独自のサウンドチップやノイズキャンセリング機能など音へのこだわり、使いやすいバックライト付きキーボードとタッチパッド、多くのユーザーにとって満足できるであろうバッテリー駆動時間、VAIO独自のソフトウェア群、そして優れた熱設計と、どこを見ても質が高く、VAIOの最上級モバイルノートPCにふさわしい風格がある。

 VAIO Zで1つ大きな問題を感じるとすれば、その豪華な仕様が跳ね返ってくる価格面だろう。店頭モデルの実売価格は24万円前後で、直販モデルの最低価格は15万9800円と意外に安いが、今回テストした機材の構成では31万6800円となり、直販モデルでハイエンドな構成にすると40万円を軽くオーバーしてしまう。しかし、同じボディサイズや重量の製品は数あれど、VAIO Zに匹敵するパフォーマンスが得られるモバイルノートPCは皆無なのだから、この価格には説得力がある。

 昨今はNetbookブームに続き、より高い性能をリーズナブルな価格で提供するCULVノートPCが国内外のメーカーから多数発売され、ここ2〜3年でモバイルノートPCの価格は驚くほど下がったが、スペックが画一化しがちで面白みのある製品は逆に少なくなった印象も受ける。こうした中にあって、ハイエンド志向を極限まで追求したVAIO Zはキラリと光る存在だ。

 実際、これほどハイパフォーマンスなPC環境をどこへでも持ち出せるという痛快な気分は、ほかではなかなか味わえない。パフォーマンスとモビリティの両方をハイエンドの水準で満たしてくれるノートPCが欲しいならば、VAIO Zは間違いなく購入候補の筆頭に挙げられる。


Sony Style(ソニースタイル)
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