「値下がり」と「激速」に胸が熱くなった6月のアキバ5分で分かった気になる、6月のアキバ事情(2/2 ページ)

» 2010年07月02日 11時39分 公開
[古田雄介,ITmedia]
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FF14ベンチの登場で、高性能なグラフィックスカードが好調に売れる

ソフマップ秋葉原本館のFF XIVベンチマークデモ

 6月半ば、6月16日公開の「ファイナルファンタジーXIV(以下、FF XIV) オフィシャルベンチマーク」を走らせたデモ機が各ショップに展示されたのも、大きなトピックだ。FF XIV自体の具体的なリリース時期(9月30日発売予定)は6月の時点では明らかにされていなかったが、スクウェア・エニックスの定番MMORPG「FF 11」の後継ということもあり、デモ機は多くのユーザーの関心を集めていた。

 T-ZONE.PC DIY SHOPは「デモのスコアとマシン構成を見ていただければ分かるとおり、かなり高いスペックを要求するゲームです。普通にプレイする目安は3000スコアとなりますが、エントリークラスのグラフィックスカードではこれを超えるのは難しいと思いますね」と語った。

 その影響から、ミドルクラス以上のグラフィックスカードの売れ行きが上がったと語るショップは多かった。先のT-ZONE.PC DIY SHOPでは「複数アカウント用にRadeon HD 5850カードを3枚まとめて購入した人もいらっしゃいました。現状では、SLIやCrossFireに対応していないようで、シングルGPUの高性能タイプを買われる方が多いですね。また、FF XIVが動作するDirectX 9環境でパフォーマンスを発揮しやすいRadeon系が人気を集めているという傾向もあります」という。

 特に売れているのはRadeon HD 5770とHD 5850とのことだが、6月初旬からそうした高性能カードのバリエーションモデルが目立っている。HD 5770カードでは、初旬に登場したギガバイトのオーバークロックモデル「GV-R577SO-1GD」が話題を集めた。価格は2万3000円弱で、コアクロックを標準の850MHzから900MHzに引き上げている。クレバリー1号店は「1万円台後半が多いHD 5770カードとしては少し高価なモデルですが、HD 5000シリーズの中でも人気のGPUということもあり、探している人は多いと思います」と話していた。

 同じタイミングで、4GバイトのGDDR5メモリを搭載するRadeon HD 5970オーバークロックモデル「TOXIC HD5970 4G GDDR5」も話題をさらっている。価格は15万円前後と非常に高価ながら、標準でコア725MHz/メモリ1000MHzの仕様を850Mhz/1200MHzまで高めており、「間違いなくRadeon最強のカードでしょう。ここまでクロックを引き上げるのは難しいので、生産量はかなり少ないと聞いています。まあ、価格的に数量が出るモデルではないと思いますが……」(TSUKUMO eX.)といったコメントが複数聞かれた。

 一方、NVIDIAはGeForce 400シリーズの新GPU「GTX 465」を投入している。GTX470の下位モデルで、搭載カードは2万8000円から3万円強で各社から登場した。パソコンショップ・アークは「ミドルクラスなので、初回はそれほど売れないですね。価格が2万台半ばに落ち着いて、GeForce 200世代が品薄になってきたら定番化するんじゃないでしょうか」と長い目で見ていた。

ギガバイト「GV-R577SO-1GD」(写真=左)。Sapphire「TOXIC HD5970 4G GDDR5」(写真=中央)。パソコンショップ・アークに並んだGeForce GTX465カード(写真=右)

水冷キット2010年モデルにOffice 2010など……そのほかの注目パーツ

Larkooler「BA2-241」

 最後は、そのほかのジャンルで光った新製品を紹介したい。

 6月後半から夏本番に向けて冷却パーツの新製品ラッシュが始まっているが、その中でも月末に登場したLarkoolerの水冷キット「BA2-241」が話題を集めていた。12センチファンを2基備えたラジエーターとPC内蔵用のポンプ、CPUブロックをセットにした組み立て式のキットで、価格は1万3000円弱となる。ソフマップは「なかなかリーズナブルな価格で、モノとしても悪くないです。今年の夏を代表する水冷キットになってくれるとうれしいですね」と話していた。

 AV関連では、6月後半に登場したアイ・オー・データ機器のデジタル3波対応チューナーカード「GV-MVP/XSW」と「GV-MVP/XS」が、複数のショップで大きく扱われていた。2種類のトランスコードチップを搭載しており、MPEG2-TS形式での無劣化録画のほか、フルHD画質のままMPEG4-AVC形式で最大15倍速(容量を15分の1に圧縮)での録画にも対応する。価格はダブルチューナー型のGV-MVP/XSWが2万円弱で、シングルのGV-MVP/XSは1万5000円弱となる。

 ツートップ秋葉原本店は「PC向けチューナーはMPEG2録画が一般的ですが、今後はデジタル家電のようにMPEG4-AVC録画が一般化する可能性は高いですね。これまでもソフトウェアエンコードで処理できるものもありましたが、GV-MVP/XSWとGV-MVP/XSはハードウェアで直接変換できるのが強みです。チューナーカードでは久々のヒットモデルになるのではと予感しています」と期待を込める。

 また、同時期にマイクロソフトのオフィススイート「Microsoft Office 2010」各パッケージの販売もスタートしている。従来のOffice 2007よりも割安になっており、WordとExcel、Outlookの入った「Office Personal 2010」の通常版は、対応する前バージョンが4万5000円弱だったのに対し、3万円弱まで下がっている。Personal 2010にPowerPointとOneNoteを加えた「Office Home&Business 2010」も、通常版で3万5000円弱となっている。

 某ショップは「OfficeといえばPhotoshopと並ぶ高級ソフトというイメージがありますが、最新版は結構お買い得だと思います。2007で搭載したリボンなどの機能も洗練されましたし、乗り換えても損はないでしょう。さしずめ、2007がWindows Vistaで、2010がWindows 7といったところでしょうか」と笑っていた。

アイ・オー・データ機器「GV-MVP/XSW」と「GV-MVP/XS」(写真=左/中央)。マイクロソフト「Microsoft Office 2010」(写真=右)

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