1月23日、秋葉原の中央通りで2年7カ月ぶりとなる歩行者天国が試験的に実施された。スタートの午後1時前から中央通り付近には大勢の人が集まり、歩行者天国が開始されてからは中央通りを埋め尽くす往来が夕暮れの午後5時まで続いた。
秋葉原の歩行者天国は2008年6月に起きた連続殺傷事件以降中止されていたが、既報の通り、関係者の努力によって試験的な実施に至った。そうした背景もあって、歩行者天国周辺には警察官と警察車両だけでなく、消防車も待機するなど、厳重な体制が敷かれていた(関連記事:2010年アキバまとめ(ホコ天編):絶望視された「アキバ歩行者天国」復活の裏側)。
心配されていたパフォーマンスや写真撮影会の類は“ほぼ”行われず、千代田区の佐藤氏も「コスプレしている人はちらほらみかけまずが、まあパフォーマンスをしていないですから。あとはちょっとしたけんか騒ぎと、自転車やスケボーで乗り入れようとした人がいるくらいで、おおむね問題なし、といったところです」とほっとした表情を浮かべていた。
往来のほとんどは特別な格好をしていない“普通の人々”で、子連れの家族やベビーカーを押す人が多かったのも印象的だ。そうした人の流れは、秋葉原駅からみて向こう岸となるPCパーツショップ密集エリアにも及んでおり、クレバリー1号店は「売り上げは分かりませんが人通りが普段以上に多いのは確実です」と話していた。フェイス秋葉原本店も「歩行者天国の影響は大きいと思います。これを機に自作PCに興味を持つ人が増えれば最高ですね」と忙しいなかコメントしてくれた。
また、殺傷事件のあった現場付近に花束や折り鶴を手向ける人が多数現れたのも印象的だ。ある男性は「これで復活といっても、あの事件は秋葉原に来る人みんなが忘れないようにしないといけないと思います」と神妙な面持ちで語っていた。
ただし、中止以前のような人だかりが皆無というわけでなく、まれに何かを催した人々の周囲を観衆が取り囲む様子も見られた。とはいえ、そうした人だかりも長くは続かず10数分で散会していった。コスプレしながら終日街を歩く人も、目立ってはいたが立ち止まってパフォーマンスを始めるといったことはほぼなかった。
あるコスプレイヤーは歩きながら「本当はパフォーマンスしたいですけど、仕方ないのは分かっています。今はただ歩行者天国を歩いているだけでいいですよ。来週も来ると思います。まあ、“パンチラ写真”みたいなヤツが出ないように目を光らせています」と話していた。
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