起動すると、換装したストレージがDドライブなどとして認識されているだろう。作業としてはこれで完了だ。光学ドライブに戻す場合も、やや面倒だが先ほどと逆の手順で付け替えればよい。
さて、VAIO Zは軽量さも特徴とするモバイルノートPCだ。装着されていたDVDスーパーマルチドライブの単体重量はステー込みで約85グラムだが、2nd SSD caddy+ストレージの重量はそれより重いので、運用時重量も若干重くなることは注意したい。
今回は、SSDにインテル「X25-V(SSDSA2M040G2GC)」(40Gバイト/Serial ATA 3Gbps)、HDDにSamsung「HM641JI」(640Gバイト/5400rpm/Serial ATA)を用いてみた。SSDは容量こそ少なめだが高速なデータ転送速度を実現、HDDは何よりストレージ容量を拡充するために用いる手段となるだろう。
標準バッテリー込みの運用時実重量は、光学ドライブ装着の標準時で1348グラム。対してSSD装着時で1413グラム、HDD装着時で1451グラムとなった。標準状態よりそれぞれ約50グラム、約100グラム増となり、特にHDD装着時は手にすると「あ、ちょっと右側が重くなっているっすよ」と気がつくであろう感じだ。とはいえ、スマートフォン1個分より軽いならそれでいいかなとしていい差ではある。
とりあえず装着時状態で計測したデータ転送速度は以下の通り。
RAID 0仕様の標準SSDはシーケンシャルリードが約246Mバイト/秒、同ライトが約192Mバイト。対してX25-Vは同リードが約192Mバイト/秒、同ライトが約44Mバイト、HM641JIは同リードが約82Mバイト、同ライトも約82Mバイトとなった。標準SSDは確かによい値だが、X25-Vも体感値はほぼ同様である。HDDは、転送速度というよりストレージ容量を数倍に拡充できる点が魅力だ。
さて、2nd SSD caddyは「VAIO ZのSSDモデルにしたが、光学ドライブは使わない。それより内蔵スタイルでストレージ容量を大幅に拡張したい」という人にぴったりだ。
装着手段や装着後状態に若干のクセがあり、バッチリぴったりボルトオン──でない可能性があるのは人によって微妙にデメリットだが、2011年5月現在、500Gバイト以上の2.5インチベアHDDが実売5000円前後より購入できることを考えると、若干割高の外付けポータブルHDDを購入するよりスマートに運用できる。
なお、5400rpmタイプであるHM641JIを1週間ほど普通に利用しているが、キーボード面に感じる不快な熱さや振動、騒音は今のところない。ただ、一応別の7200rpmタイプの高速モデルなどを用いた場合はどうかは(大丈夫とは思うが)予想できないので注意したい。加えて、HDDを内蔵してしまうので、SSDモデルならではのいわゆる「(いい意味での)雑」な運用を控えなければならなくなる必要は生じる。あと、あまり意味はないが……ストレージを装着せず、光学ドライブだけを取っ払った「ちょっと軽量化状態」にして運用するのもなしではない。
一方、SSDについては容量単価がHDDと比べるとまだ高価なので、数百Gバイト単位の容量を──となると初期コストがなかなかかさむのが難点である。
ちなみに1年前にテスト機器で検証したExpressCard/34型32GバイトSSD「EXC-32G」(約21グラム)は同リード約110Mバイト/秒、同リードが約38Mバイト/秒で、転送速度はそれほど悪くない値だった。2011年4月現在は(売っているところは少ないが)実売1万円前後で販売されているようなので、30G〜40Gバイト程度の増加であれば、X25-Vとどちらが楽だろうかねという気分だ。
さてさて、2011年5月5日現在、VAIO ZはソニースタイルでVAIO X、VAIO Pシリーズと同様に“販売終了”となってしまった。これでシリーズ終了なのだろうか、それとも“Sandy Bridge化”した新VAIO Zは出るのか。先日公表された2011年発売予定という「Ultimate Mobile PC」がどんなモノか、現VAIO Zユーザーとしては非常に気になるのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.