既報の通り、PCビジネスにおいては、VAIOが新たに海外市場へ進出することを発表した。
米国では豊富な実績を持つtranscosmos Americaと販売代理店契約を結び、マーケティングならびに販売、サービスを委託する(それ以外をVAIOが受け持つ)。クリエイターが多数存在する米国市場を見据え、高性能Windowsタブレット「VAIO Z Canvas」を投入するという。販路はtranscosmos AmericaのECサイトをはじめ、全米のMicrosoft Store実店舗およびオンラインストアで、販売開始は10月1日となる。
一方、ブラジルでは現地でオリジナルPCの製造、販売、サービス全般を手掛けるPOSITIVO INFORMATICAとパートナーシップを結び、VAIOの商標を付けたPCの製造、販売、サポートまでを含めたビジネス全体の委託契約を取り交わした。
投入するモデルは現在調整中で、詳細は9月中にPOSITIVO INFORMATICAから発表される。大田氏によれば、まずは現行のVAIO製品が投入される見込みだ。
このように、米国とブラジルではビジネス形態が全く異なる。これについて大田氏は「海外展開は適切なパートナーと組むことで“自社で全てをやらない”というのが基本方針。米国についてはOEMによる正攻法なビジネスとなるが、不慣れなブラジルではリスク管理の観点から、製造、販売、サポートまでを委託する、リスクを負わないブランドロイヤリティビジネスになる」と説明した。記者会見では、リスク管理について特に強調している印象だった。
今後の海外展開については、適切なパートナーが見つり次第、アジアを中心に販路を拡大する予定という。
今回、VAIOの代表取締役社長となった大田氏は、1952年生まれ。1976年に総合商社のニチメンに入社後、ニチメンと日商岩井の統合会社である双日株式会社の常務執行役員中国代表を務める。その後、双日ロジステイクス副社長(2008年)、サンテレホン社長(2010年)、ミヤコ化学社長(2014年)などを歴任し、企業再建の実績を持つ。
IT業界はVAIOが初めてとなる大田氏だが、「会社経営に関する私のモットーは、いいものを伸ばし、悪いものを治すということ。VAIOは、ソニー時代から培った高い技術力、ブランド力があり、注目度も高い。非常にやりがいを感じている。いい点と悪い点がハッキリしており、シンプルに立ち上げができるのではないか」と、自信をのぞかせた。
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