マルチタスクにセンサーAPIの統合――Mango for WP7の新機能やパフォーマンスを動画でチェックMIX11(2/2 ページ)

» 2011年04月15日 20時48分 公開
[柚木十三,ITmedia]
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そのほかのMangoアップデートにおける強化点

 そのほかのアップデート内容に注目してみよう。マルチタスクと同じくらいユーザーにとって大きな変更といえるのが、端末の機能とさらに連携したアプリ開発の実現だ。具体的には、アプリ側からカメラのRAWデータを取得したり、各種モーションセンサーを使ったアプリの開発が行いやすくなった。(携帯電話の処理速度が許す範囲で)端末のハードウェアスペックを使い切るような、より高度な機能を持ったアプリを利用できる環境が整った。

 MIX11で紹介された1つが、USAAという米軍関係者向けに銀行サービスを展開している企業のアプリだ。このアプリで小切手の両面を撮影して送信すると、銀行の窓口に出向かずとも金額の預け入れが可能になる。このアプリを起動するとディスプレイ内に枠が出現し、そこに収まるよう小切手を撮影すると、撮った画像がUSAAのサーバへと転送されて預け入れ処理が行われる。USAAは、同様のサービスを2年前にiPhone向けに提供している。

photophoto カメラのRAWデータにアクセスできるなど、ローレベルAPIが提供されたことで携帯電話の基本機能と連携したアプリの開発が容易になった(左)。写真はUSAAのモバイルバンキングアプリの例で、小切手の裏表イメージをカメラで取り込んで送信することで、わざわざ銀行に行かずとも小切手の口座への預け入れが可能になる(右)

photo WP7のアプリ実行基盤であるSilverlightも機能を強化。日本ユーザーにとっての大きなポイントは多言語のサポートだろう

 それ以外では、SilverlightとXNAアプリの同時実行が可能になった点が面白い。WP7では、アプリの実行基盤として通常アプリ向けの「Silverlight」とゲームアプリ向けの「XNA」の2種類を用意している。今回のMangoアップデートでは、XNAで実行されるキャラクターが画面で動きつつ、Silverlightで実行される画面コントロール(ボタンやメニュー)などがフロントメニューに出現し、双方が重なり会った形で動作するようなアプリを構築できる。

 従来であれば、XNAでゲームを作った場合、メニュー画面などは独自UIで構築する必要があった。今後は、SilverlightのUIを流用することが可能になる。これは、同じOSのアプリ同士でUIを統一するという意味で、大きな効果だろう。

photophoto やや地味だが、ゲームアプリの実行環境であるXNAと、通常のアプリを実行するSilverlightを同時に呼び出して実行可能になった。具体的には、XNAで動作するゲームやアニメーションをバックグラウンドに、操作メニューはSilverlightの標準コントロールを利用するなど、オーバーレイのような形で画面が重なり合って両者が共存している

 また前回も紹介したが、アプリ開発のデバッギングツールやエミュレータも高性能化しており、開発者にとっては利用しやすい環境が整いつつあるといえる。WP7向けには開発ツール自体も無償提供されており、後発ながらiOSやAndroidに比べてもアプリ開発環境は充実しつつあるだろう。

 こうした開発者向けの機能追加は、ユーザーが直接恩恵を受けることではない。しかし、利用できるアプリの増加というメリットがあるため、今後数年先が楽しみだといえる。

photo 開発ツールにおける強化点。前回のリポートでも紹介したが、加速度センサーやGPSなどハードウェア依存のセンサー機能をエミュレーションで再現できるほか、高解像度でのスクリーンショット取得、強化されたデバッグツールなどが特徴

Silverlightもアップデート

 Mangoアップデートの影に隠れる形となってしまったが、MIX11ではSilverlight自体のアップデートも発表され、最新バージョンであるSilverlight 5β版の提供がアナウンスされた。アップデートの内容は主にパフォーマンスの改善と地味だが、次いで3D APIやハードウェアエンコーダのサポートなど、メディア配信プラットフォームとして広く利用されているSilverlightならではの特徴をさらに強化した。

photo Silverlight5における強化点。パフォーマンス増強のほか、3D API群の追加やビデオ再生の強化が図られた

 デモを見ていただくと分かるが、3Dモデリングされた画面を高速移動できるなど、より高まったパフォーマンスの一端を垣間見ることができる。

 なお、WP7のMangoアップデートにはSilverlight5は含まれず、OSをアップデートしてもSilverlight4のままだ。だがMicrosoftによれば、Silverlightの実装はPC版とモバイル版などプラットフォームごとに大きな差異があり(例えばモバイル版では印刷機能の実装が異なるなど)、正確には同じバージョンながら異なるプラットフォームと考えるのが正しいという。

 ただバージョンごとにコントロールやAPI実装が区分けされており、アプリを実行する際の目安にはなるという。そのため、Silverlight 5向けに開発されたアプリは、Silverlight 4上で動かなくなるといったことが発生する。

photo メディア再生における新機能。ハードウェアアクセラレーションに加え、トリックプレイ(倍速再生など)、リモコンなど外部コントロールのサポートが挙げられる
photo 3D APIの強化により、モデリングした家の中を高速アニメーションで歩き回るといった視覚効果が実現できる。動作は非常にスムーズだ

 だがSilverlight 5の正式版が提供されるのはMangoアップデートより先になり、Ver.5専用のアプリが登場するのもまだまだ先とみられる。前述のプラットフォームごとの違いもあり、WP7の実行環境がSilverlight 4のままであることは、あまり気にする必要はないのかもしれない。

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