従来の通話やほかのVoIPアプリとの違いは?――「VoLTE」の“ここ”が知りたい(2/2 ページ)

» 2014年05月15日 00時05分 公開
[田中聡,ITmedia]
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既存のVoIPアプリとは何が違う?

 SkypeやLINE電話などもパケット通信で通話ができるサービスだが、VoLTEとは何が違うのか。まず、VoLTEでは従来どおり090/080/070の電話番号を使って通話ができる。当然だが、SIMなしではVoLTEは利用できない。

 VoLTEでは一定の通信速度を保障する「QoS(Qualify of Service)制御」によって音声のパケット通信を優先している(帯域保障をしている)ので、ネットワーク環境に左右されやすいほかのVoIPアプリと比べ、安定した品質で通話ができる。通信環境にもよるが、VoLTEなら音声が途切れることは少ないだろう。

 既存のVoIPアプリで緊急通報は利用できないが、VoLTEでは利用できる。

料金は? カケホーダイは適用される?

 VoLTEの料金には、従来のXi向け音声通話プランが適用され、従量課金の部分は20円/30秒(税別)と変わらない。カケホーダイの対象にもなるので、同プランに申し込んでいれば定額で使い放題となる。通話料の据え置きはキャンペーン的な施策ではなく、今後も有料化する予定はないとのこと。

 ビデオコールで映像を送受信するデータ分に対しては、発信側も着信側もパケット通信料が課金されるが、2015年9月までは通信料無料で利用できる。

対応機種は? 従来のスマートフォンでも使える?

 5月14日時点でVoLTEに対応しているのは、スマートフォンが「GALAXY S5 SC-04F」「Xperia Z2 SO-03F」「AQUOS ZETA SH-04F」「ARROWS NX F-05F」、タブレットが「AQUOS PAD SH-06F」「Xperia Z2 Tablet SO-05F」で、ソフトウェアアップデートで利用可能になる。アップデートの時期はスマートフォンが6月下旬〜7月、タブレットが7月以降の予定だ。

 既存機種は、残念ながらVoLTEは利用できない。これは「チップセットがVoLTEに対応していないため」(ドコモ担当者)だという。

バッテリーへの影響は?

 LTEネットワーク上で通話をする……というと、端末に高い負荷がかかることが懸念されるが、従来の回線交換式の通話よりもVoLTEでの通話の方がバッテリーへの負荷は若干少ないという。回線交換式の場合、通話中は回線を常に占有する状態が続いているが、パケット通信で音声データを送受信するVoLTEでは、「定期的に音声データを送る形になる」(ドコモ担当者)ので、負荷が少ないようだ。

 端末ごとのVoLTE利用時の連続通話時間は、サービス開始時に公開される予定だが、3G通話よりも長くなることが見込まれる。

移動中にLTEから3Gエリアに移ったら通話はどうなる?

 例えば電車や車での移動中にVoLTEで通話を開始し、移動中にLTE圏外になって3Gに切り替わると、通話自体は維持されるが、「コンマ何秒か途切れる場合がある」(ドコモ担当者)という。また、いったん3Gに切り替わって再びLTE圏内に移っても、通話はVoLTEには復帰しない。これは仕様上の問題のようだ。

 ビデオコールの通話中にLTEエリアから3Gエリアに入った場合、通話は切断される(音声通話に切り替わることもない)。

他キャリアのVoLTEサービスとの互換性はある?

 ドコモに続き、KDDIやソフトバンクモバイルなどの他キャリアがVoLTEによる通話サービスを開始した場合、ドコモのVoLTEと相互接続はできるのか。残念ながら現時点ではできない。これは、電話をつなげるために必要な「POI(Point Of Interface)」と呼ばれる相互接続点を、現在の回線交換式からIPベースのものに切り替える必要があるためだという。

 相互接続に向けた取り組みは「まずは他社さんがVoLTEのサービスを提供されてから考えたい」(ドコモ担当者)とのこと。

海外でもVoLTEで通話できる?

 VoLTEによる通話サービスは韓国でも提供されているが、現時点でVoLTEのローミングサービスは提供しておらず、VoLTEでの通話を利用できるのは日本国内のみだ。

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