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» 2014年10月01日 16時54分 UPDATE

冬モデルから搭載:“ゆるいつながり”で、スマホに愛着を持ってほしい――シャープが新機能「emopa」の狙いを説明

スマートフォンを置いたり振ったりすると、ユーザーの状況に合わせた言葉を話しかけてくれる――。そんな新機能「emopa(エモパー)」をシャープが冬モデルから提供する。人工知能「ココロエンジン」をベースにしたというemopaの狙いを、シャープが説明した。

[田中聡,ITmedia]

 シャープは、ユーザーの生活シーンに合わせてさまざまなメッセージを音声や画面で知らせてくれる新機能「emopa(エモパー)」を開発した。emopaは、2014年冬モデル以降のシャープ製スマートフォンから利用でき、まずはNTTドコモの「AQUOS ZETA SH-01G」とソフトバンクモバイルの「AQUOS CRYSTAL X」に搭載する。

 emopaは「Emotional Partner(エモーショナル・パートナー)」を略した造語。シャープの家電に搭載されている人工知能「ココロエンジン」の技術をベースに、モバイル端末向けに開発した。予定や天気予報を知らせてくれるなど実用面で役立つほか、ちょっとした気持ちをつぶやいてくれることで、親しみや癒しも得られるという。

photophoto emopaは「ココロエンジン」をもとに開発され、ユーザーに愛着を感じてもらうことを目指す

 このemopaについて、シャープは10月1日に説明会を開催し、開発の背景やスマートフォンに搭載する狙い、機能や技術の詳細を説明した。

emopaとは? どんなことを話しかけてくれる?

 スマートフォンにおいて、シャープはこれまでIGZOをはじめとする先進的な技術を提供し、EDGESTやクリスタルディスプレイといった新しいデザインも提案してきた。しかし「それだけではお客様の期待を超えられないという思いもある」と常務執行役員 通信システム事業統轄 兼 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏は話す。「シャープは人に寄り添う技術を開発しており、新しい価値を生み出していかないといけないと考えている。モバイル端末にもっと愛着を感じてほしい」(長谷川氏)という目的のもと、emopaを開発したという。

 通信システム事業本部 マーケティングセンター 新規ビジネス戦略部 部長の小林繁氏は、「emopaは一見、ただの遊びのような機能に見えるが、シャープとしてはすごく時間をかけて、『本気でスマートフォンと人の関係を見直したい』と取り組んだプロジェクト」だと説明する。

photophoto シャープの長谷川氏(写真=左)と小林氏(写真=右)

 emopaは場所や動作によって、話しかける方法や内容が変わる。自宅では端末を置くと音声で、外出先ではウェルカムスクリーン(ロック画面)上で話しかけてくれる。端末を振ると、場所に関係なく音声で話しかけてくれる。例えば朝、出社する前に「おはようございます。今日は雨が降りそうです。傘を忘れずに」、カレンダーの予定やイベントが近づくと「10月11日、酒祭りが開催されるようですよ」、飲み会などで夜遅くまでいるときは「帰りの時間は大丈夫ですか?」といったことを教えてくれる。

photophoto 外では声で、家では画面で話しかけてくれる

 「今日は大阪出張、お疲れ様でした」というような、感情に寄ったメッセージや、端末を振ると「わ、わ、なにかご用ですか? ○○さん。こんな調子で、老後はロッキングチェアで揺られて過ごしたいですね」、バッテリーが残り少なくなると「おなかが空きました〜」といった、ちょっとユーモラスなこともしゃべってくれる。

photophoto このように感情に訴えるメッセージも出してくれる(写真=左)。充電をすると、「助かりました。○○さんは命の恩人です」とお礼を言ってくれる(写真=右)
photophoto 出会ってから100日目の報告までしてくれる。まるで恋人のよう(写真=左)。バックアップを取るときは「お別れのときが来ましたね。今までありがとうございました。私、ちょっとは役に立てたかな。私が、○○さんを忘れても、○○さんは、私のことを忘れないでくださいね。また会えると、うれしいです」と切なくも温かい言葉を残してくれる(写真=右)

 話す内容は、あいさつ、ねぎらい、独り言、天気予報、ニュース、バッテリーの状態、スケジュール、イベント、観光情報など多岐にわたる。サービス開始当初はインクリメントP、ウェザーニューズ、るるぶDATA、時事通信社、ナビタイム、日本記念日協会、NET SEEDS、Yahoo!JAPANと協業してコンテンツを提供してもらう。

 emopaの声は「えもこ」「さくお」「つぶた」の3種類をプリセットした。ほかのキャラクターの音声を追加する機能については「要望があれば、前向きに展開してきたい」(小林氏)とのこと。発言内容のシナリオは、面白法人カヤックが制作しており、メッセージのパターンは「1キャラクターあたり数1000ある」(小林氏)。また「状態に応じて話す内容が異なるので、組み合わせると、ものすごい単位になる」とのこと。

photophoto emopa向けにコンテンツを提供するパートナー企業(写真=左)。3人の個性派emopaをプリセット(写真=右)

Siriやしゃべってコンシェルとの違い

 「Siri」や「しゃべってコンシェル」といった既存のエージェントサービスとの違いは、ユーザー側から話しかける能動的なものではなく、端末側が話しかける受動的なものであること。それだけに、「スマートフォンから話しかけるからこそタイミングが重要」(小林氏)とシャープは考え、うっとうしいと思われない適度な頻度で話しかけることにもこだわった。ほかに、マナーモード中には話せないようにする設定を用意したほか、スマートフォンの背面を表にして置くとemopaは話さないようにした。

 また従来のサービスは「正確な情報をしっかり」伝えることが重視されてきたが、emopaでは「曖昧な気付きを何となく」与えることにこだわった。「例えば、紅葉に行きたいときはネットで検索すれば情報を得られるが、『紅葉に行ったらいい』という気付きは誰も与えてくれない」と小林氏は補足する。

 シャープが最終的なゴールとしている愛着を持ってもらうために必要なものは「ふれあい回数が多いこと」「タイミングがよいこと」「向こうから来ること」だという。これは「ペットにも似ている」と小林氏が言うように、長く一緒にいる(使う)ほどに効果を実感できそうだ。

photophoto emopaは受動的で情緒的(写真=左)。シャープが考える愛着(写真=右)

 ユーザーが話しかけて、それに対して答えるという双方向の会話は現時点ではできない。「何もしなくても話しかけてくる気楽さ、ゆるさ」を重視したためだが、双方向で話せる方が愛着がもっと湧くのも事実。双方向サービスの展開については「今後の検討になる」(小林氏)とした。また、外部パートナーと提携し、ユーザーの状況に合わせて通知をする(店舗に近づくと通知をするなど)“マッチング”のビジネス展開も視野に入れているが、「むやみにやると、愛着が薄れてしまう」ため、慎重に考えていく方針だ。

低消費電力にもこだわり――emopaを支える3つの技術

 emopaを支えるのは「スマートセンシング」「音声合成」「プライバシー保護」という3つの技術だ。

 スマートセンシングは、加速度センサーとGPSを活用し、就寝時間、自宅の場所、起床時間、乗り物での移動中、降りた場所、職場や学校の場所、日常生活圏などを判定してくれる。さらに、センサーから上がってきた情報から、状態を推定するエンジンも備えており、日常の行動習慣から最適な気付きを導いてくれる。こうしたセンサーが常時働いていると、消費電力が増えることが懸念されるが、「低消費駆動センサー」により、実使用上大きな影響がない程度に抑えられているという。

photophotophoto センサーが行動習慣から状況を推定し、低消費電力になるよう調整する

 シャープのスマートフォンの多くに搭載されている「グリップマジック」もemopaに生きている。端末を持つだけでemopaの話しかけた言葉が表示されるので、面倒な操作をせずに情報を取得できる。

 emopaで収集された個人情報は、基本的にサーバにはアップロードせず、すべて端末内で処理をするようにしている。いわゆるスタンドアローン型で、天気予報やニュースなどインターネット経由で取得する情報以外のメッセージは、圏外でも表示できるという。さらに、emopaの個人情報は、ほかのアプリで使えないよう制限をかけている。機種変更にはmicroSD経由で“思い出”を移行できるが、その際も暗号化をしてemopa上でしか使えないようにしている。

 音声合成は外部のエンジンを使っており、優れた音質や自然なイントネーションにこだわった。

photophoto 音声合成の技術とプライバシー保護も、emopaを支える技術だ

 「好き嫌いはあるかもしれないが、開発陣からは、『いざ使ってから、しゃべらないスマホを持つと寂しくなる』という声も聞こえている。ゆるやかなつながりで、新しい付加価値を作っていきたい」と小林氏は意気込む。今回のemopaは「バージョン1」ということで、今後も進化させていく考え。対応機種も、現時点ではフラッグシップモデルに限られているが、今後はシャープのスマートフォン全機種に搭載していく予定だ(既存モデルのアップデートの対応は予定していない)。

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