インタビュー
» 2014年11月04日 11時40分 UPDATE

MVNOに聞く:データ増量でサービスを強化する「OCN モバイル ONE」――目指すは大手キャリアに並ぶ選択肢 (1/2)

「OCN モバイル ONE」でデータ通信サービスを提供しているNTTコミュニケーションズが、10月1日から4つのプランでデータ通信量を増量したほか、3日で366Mバイト通信した場合の速度規制を撤廃した。こうした改定の狙いと今後の展開について、NTTコムに聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 このところ、MVNO各社がデータ通信プランの容量を増量する動きが活発だ。MVNOが提供する単体のSIMカードではトップシェアを誇るNTTコミュニケーションズも、10月1日から「OCN モバイル ONE」の4コースでデータ通信量を増量。料金は据え置きで、月額900円(税別、以下同)の50MB/日コースを70MB/日コース、月額1380円の80MB/日コースを100MB/日コース、月額1100円の1GB/月コースを2GB/月コース、月額1450円の2GB/月コースを4GB/月コースとした。これに合わせて、3日間で366Mバイト以上通信した際の速度規制を撤廃し、より大容量の通信を心おきなく使えるよう改善された。

photo 「OCN モバイル ONE」の、10月1日からの改定内容

 これらの改定は、タイミングとしてはIIJがデータ量を増量した直後だったが、どのような狙いがあったのか。NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 販売推進部門 担当課長の新村道哉氏に聞いた。

増量する準備はいつでもできていた

photo NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 販売推進部門 担当課長 新村道哉氏

―― 10月1日からデータ通信量を増量しました。なぜこのタイミングになったのでしょうか。やはりIIJが動いたことがきっかけになったのでしょうか。

新村氏 正直に言うと、いつでも上げられる準備は整っていました。おかげさまでユーザー数も着々と伸びて、シェアナンバー1と言わせていただいています。その中で販売数も他社さんよりも多く、相当伸びてきているので、設備上も(通信容量を)上げていいと思っていました。

 IIJが動いていたというのもあり、低価格SIMで1位を維持したいと思っていたので、そこで「待ちました」になると、よくない。また、うちが動くとほかも動くだろうと思っていましたが、そこは想定内の範囲でした。

 今までの格安SIMは、かなり通信制限がされているという印象が拭えなかったと思うのですが、そこを払しょくする狙いもありました。今回、実は1日50Mバイトを70Mバイトに変えるよりも、月2Gバイトを4Gバイトに変える方が大きいと思っています。今まではどうしても安かろう悪かろうのイメージでしたが、(今回の改定でキャリアと並ぶ)選択肢の1つになると思っています。

―― 3キャリアの新料金プランと比べても、4Gバイトで1450円というのは、競争力があります。新料金プランでは3社とも2Gバイトで3500円ですからね。

新村氏 あと、3日間で366Mバイト制限も、それほど引っかかっている人がいないんです。実際に今のユーザーの利用状況を見ると、バースト的な使い方をしている人はそれほどいません。ユーザー数が増えてきたので、例えば極端な話、1日でいきなり4Gバイト使う人が現れても、耐えうる設備構築はできています。制限がかかっている印象があるよりは、ない方がいいですよね。

 もう1つの理由は、そもそも366Mバイトで制限をかけると、(4GB/月コースを選んだ人が)月に4Gバイトまで通信できないことです(笑)。

―― 今回の増量は、タイミング的にIIJへの対抗色が強かったと思いましたが、設備投資などの準備も終わっていたと。

新村氏 ええ。制限がないサービスに変えていきたかったので、そこをいつやるかというだけの話でした。

―― かなりドラスティックな変更だと思います。

新村氏 うちは(ドコモから)ギガ単位で卸してもらっていますので、どーっと使う人がいたとしても大丈夫です。うまく使う人たちが集まっているのも、ユーザーの利用動向を見て分かってきました。

―― 「うまく使う」とは?

新村氏 固定回線だと、1人が「Winny」とかでぐわーっと使って引っ張って、その人のおかげで周りが何もできなくなってしまいますが、モバイルだとそういうのがなくなっている。当初はモバイルでもWinnyやP2Pなどで引っ張られてしまうイメージがあったのですが、最近はこのコースを使いながら、派手なトラフィックを出す人が出てこなくなりました。利用する人たちも、そこのスキルは上がってきていると思います。

 もしかしたら、そういう人たちがまた出てくるのかもしれませんけど、「いつか出てくるから規制をしましょう」というのは、違うと思うので。OCNの正式名は「オープンコンピューターネットワーク」で、オープンにしていこうというコンセプトがあります。極力規制をかけないのが、目指したい姿です。

―― 接続料は変わってくるのでしょうか。

新村氏 接続料はトラフィックに応じて支払うので、今回の増量を魅力としてユーザー数が増えればいいと思っています。1日50Mバイトを70Mバイトに上げて、利用形態が変わるかというと、変わらないと思います。以前よりも動画を見る人が増えることは想定していますけど、利用形態自体が変わるとは思っていません。若干増えるかなというくらいの想定です。

 実は、ドコモさんとの接続容量は毎月上げています。そうしないと間に合わないので。恐らく、他社さんはトラフィックの利用状況を見て増やしているのだと思いますが、うちは毎月増やしています。

―― 極端に支出が増えるとか、利益に影響が出るようなことにはならない。

新村氏 支出が増えることは想定していますが、ユーザーさんが満足度を上げて、新規加入が増える方を想定しています。

―― プラン改定でどれだけユーザー数が増えるかのシミュレーションもしているのですか。

新村氏 そうですね。

1日50Mバイトから70Mバイトの変更に対する反響が大きい

―― 今回の改定で最も反響が大きいのは、1日50Mバイトを70Mバイトに変えたことでしょうか。

新村氏 一番お客さんから喜ばれているのは、50Mバイトから70Mバイトへの改定ですが、けっこう使われている方からすると、2Gバイトから4Gバイトも大きいようです。1日50Mバイトから月4Gバイトのコースに移ろうという意見もありました。僕も今使っているのが2.数Gバイトくらいなので、これ(4Gバイト)で足りちゃうんですよ

 これが月2000円や3000円を超えると、大手キャリアさんより安いとはいえ、何か違うなと思います。1台目のスマホを今までどおり使ってもらいながら、タブレットやiPhone 6 Plusなどを2台目として使ってもらうには十分かなと。iPhone 6 Plusは自分も使っていますけど、デジタル新聞が読みやすいので便利ですね。1台目はドコモのiPhone 5sですが。

―― iPhone 6/6 Plusが発売されたことで、OCN モバイル ONEの契約数にも影響は出ていますか。

新村氏 設定プロファイルをWebサイトに公開していますけど、けっこうダウンロードされているので、ご利用いただけているかなと。

―― iPhone 6/6 PlusはOCN モバイル ONEに対応していますよね。

新村氏 しています。弊社で設定方法を正式に公開しています。

―― iOS 8で使えなくなってしまうMVNOもありますが……。

新村氏 うちは、今のところそこで止めましょうとはなっていません。iOS 8でも問題なく使えます。

―― 増量してから、トラフィックへの影響はありますか。

新村氏 今見ている限りだと、すごい増えたという感じはありませんね。

―― ユーザーが申し込んでいるプランは、やはり1日70Mバイトが多いのでしょうか。

新村氏 70Mバイトが6割強くらいですが、以前よりは下がってきています。以前は80〜90%のころもありました。プロモーションで月900円と言っているので、この増量によって、一番安い900円(1日70Mバイト)に張り付いてしまう傾向は強まるかもしれませんが、もう少しシンプルな機能強化をしていきたいと思っています。

500kbpsコース(7GB/月)はゲーマーに人気

―― 月7Gバイトのコースもありますが、こちらは500kbpsに制限されたままです。

新村氏 ここはお客さんの意見を聞きながら考えたいと思っていますけど、現状はフルスピードで月7Gバイトのプランを提供することは予定していません。

―― 月7Gバイトのフルスピードプランは、それほど要望は多くないのですか?

新村氏 そうですね。IIJさんも、そこ(月7Gバイトの「ファミリーシェアプラン」)がすごい売れているという印象は持っていません。うちは500kbpsコース(7GB/月)を出しているので、フルスピードの7Gバイトプランを出すと、そのすみ分けが難しくなります。プランを複雑にしないために、お客さんの意見を聞きながら検討していきたいですね。ジャストアイデアですが、極端な話、今の4Gバイトのプランの容量を(7Gバイトに)上げるという形になるかもしれません。

―― やみくもにプランを増やすのではなく、今あるプランを改定していくことが大事であると。

新村氏 そうですね。「日別のプランも3つにしないんですか?」という意見もありますが、3つにすると分かりにくくなると思っています。安くて、ある程度通信できるものと、けっこう通信できるもの。このくらいの選択肢がいいと思っています。

―― 500kbpsコース(7GB/月)を使っているのはどんなユーザーなのでしょうか。

新村氏 ゲーマーは当初からいますね。ある方からは「“艦これ”にぴったりですよ」と言われました(笑)。

―― 主要なゲームが問題なく通信できるかは検証したのでしょうか。

新村氏 それは調べさせていただきました。500kbps出ると、YouTubeやニコ動の動画もある程度見られます。高画質ならフルスピードの方がいいけど、標準画質なら、500kbpsでも問題なく見られます。あと、7Gバイトにしたのは大手キャリアさんが旧プランで設けていたしきい値だったのが理由です。

200kbpsでも速度がしっかり出るように設計している

―― 最近、(スペック上)1Mbps未満の低速SIMも増えていますが、500kbpsは、その中では数字的には高いですよね。

新村氏 500kbpsはけっこう出ますよ。でも200kbpsでもだいぶ出ますので。画質を下げれば、YouTubeも見ようと思えば見られますからね。

―― 200kbpsでもLTEを使っていることが大きい?

新村氏 というよりは、200kbpsがちゃんと出るように設計していることが大きいです。

―― 他社の200kbpsよりも速いのでしょうか。

新村氏 他社さんは、実効速度が100kbpsくらいになってしまうところが多いんですよ。これは制限されているトラフィックを優先制御するかどうかにかかっています。道路に例えると、歩行者をちゃんと通しましょうというイメージですね。他社さんは、車も歩行者も同じところを歩かせているから、車が混んでくると、200kbpsが100kbpsになったりします。

―― 数字で見えないところの配慮もしていると。

新村氏 OCNとして運用のノウハウがあるのは強みだと思っています。誰かが悪意を持って速度を下げることがなく、皆さんにうまく利用いただけるようなルーター設定をしています。

―― 通信容量の繰り越しはいかがでしょう。

新村氏 500Mバイトごとの容量追加した分は最大3カ月繰り越せますが、もともとのプランの容量を繰り越すことは、まだ考えていません。例えば100Gバイト分をため込んで、1日でどーんと使われる恐れがあるので、そこまではなかなか厳しいかなと。3カ月分ためて10数ギガ残っているというのも、少し不安になりますね。

 プリペイドは4カ月間有効ですが、1Gバイトを契約して、ほとんど使わずに放置している人もいます。

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