コラム
» 2016年05月06日 17時20分 UPDATE

ふぉーんなハナシ:SIMフリーの「iPhone SE」で香港・マカオのプリペイドSIMを使ってみた話

AppleのiPhoneシリーズは、1台で幅広い通信規格・周波数帯に対応しています。コンパクトな「iPhone SE」も当然例外ではなく、SIMロックフリーなら海外の幅広いプリペイドSIMを使えます。しかし、気を付けないといけないこともあるようです……。

[井上翔,ITmedia]

 SIMロックフリーの「iPhone SE」を購入してから、ひと月経過しました。購入してからというものの、ITmedia Mobileでの記事執筆のために使うことがほとんどでした。

 しかし、ようやく「私的」にSIMロックフリーのiPhone SEが活躍する時がやってきました。そうです、5泊6日の海外旅行に出かけることになったのです。

 今回の旅行先は香港、マカオと中国本土(深セン市・珠海市・広州市)で、いずれの地域もLTEネットワークが整備されています(マカオは2015年10月にサービスが始まったばかりです)。LTEに対応するプリペイドSIMカードも販売されています。日本で販売されている「A1723」は、1台でこれらの地域で使っている通信規格に対応できます。SIMロックフリーの本領発揮なのです。

いよいよ本領を発揮するSIMロックフリーな「iPhone SE」(私物) いよいよ本領を発揮するSIMロックフリーな「iPhone SE」(私物)

用意したプリペイドSIMカードは3枚

 香港用と中国本土用のプリペイドSIMカードは、まとめて香港で調達しました。香港用には3 Hong Kong(3HK)の「4G LTE 7-DAY Data SIM」(定価:88香港ドル【約1220円】)を、中国本土用には、香港での予備を兼ねてChina Mobile Hong Kong(CMHK)の「4G/3G China 10-day Data Prepaid SIM Card」(定価:148香港ドル【約2040円】)を購入しました。通信容量は前者が3.5GB/7日間、後者が1GB/10日間ですが、両者ともに容量を超過してもプランの期限まで上下128kbpsで通信できます。

 後者にはさらに、追加料金なしで中国本土においてデータローミングできるサービスが無料で付帯しています。「なぜ、中国本土用のSIMカードを香港で買う必要があるの……?」と思った方は、山根康宏さんの連載「海外プリペイドSIM導入マニュアル」にその理由が書かれていますので、ぜひ参照してください。

香港と中国本土で使ったプリペイドSIMカード 香港用に購入した3HKの「4G LTE 7-DAY Data SIM」(写真=左)と、中国本土(と香港での予備用)に購入したCMHKの「4G/3G China 10-day Data Prepaid SIM Card」(写真=右)

 一方、マカオ用のプリペイドSIMカードはCTMの「BEST 4G+ Speedy Prepaid Card」(定価:100パタカ【約1340円】)を購入しました。先述の通り、マカオではLTEサービスが始まったばかりで、このプリペイドSIMカードはLTE対応の新製品となります。プランは、480MBのデータ容量と480分の国内無料通話などが付いた「4G+ Smart Plan」が自動的に選択されました。説明書によると、いくつか選べるプランがあるようなのですが……。

マカオのプリペイドSIMカード マカオの通信事業者CTMの「BEST 4G+ Speedy Prepaid Card」は、同地域で始まったばかりのLTEサービスに対応

 利用にあたって、どのSIMカードも本人確認手続きは不要でした。3HKとCTMのSIMカードでは音声通話・SMS送信をするかダイヤラーでのコード入力をして有効化する必要がありましたが、CMHKのものはSIMカードを入れてしばらくすると自動で有効化されました。なお、いずれのSIMカードも、有効化手続きは諸事情からSIMロックを解除した「ARROWS NX F-04G」で行いました。iPhone SEじゃなくてスミマセン……。

3 Hong Kongの有効化完了通知CTMの有効化完了通知 プリペイドSIMカードの有効化完了通知。左が3 Hong Kongのもの、右がCTMのもの

プリペイドSIMカードは設定に注意が必要なことも

 iPhoneといえば、通信事業者に最適化された「キャリア設定」を本体内に持っています。既知の(iPhoneを取り扱っている)通信事業者のSIMカードを入れれば、基本的にはすぐに通信できるようになります。

 今回試した3社のうち、3HKとCMHKのプリペイドSIMカードは入れるだけですぐに通信可能になりました。LTEエリア内での通信インジケーターは、前者が「4G」、後者は「LTE」となります。モバイルホットスポット(テザリング)も問題なく利用できました。

CMHKのアンテナピクト CHMKのプリペイドSIMカードでは、LTEエリアで「LTE」と出る

 ところが、そう一筋縄では行かなかったのがCTMです。CTMの場合、SIMカードを挿入してしばらくすると「4G」表示が出るのですが、いくら操作をしてもデータ通信ができないのです……。

 実は、これはiPhone SEにプリセットされたCTM用のキャリア設定がポストペイ契約用だからです。CTMでは、ポストペイ契約とプリペイド契約でAPN(接続先情報)が異なるため、待てど暮らせどつながらなかったのです。

 であれば、APN設定を変えれば良いはず。CTMのキャリア設定では、APNを手動で変更できるようになっています。「設定」→「モバイルデータ通信」→「モバイルデータ通信のオプション」→「モバイルデータ通信ネットワーク」と進み、「モバイルデータ通信」のAPNを「ctm-mobile」から「ctmprepaid」に書き換えれば通信できるようになります。日本のキャリアも、APNの手動変更を許可すれば面倒な構成プロファイルのインストール(参考記事)が不要になるのですが……。

 ちなみに、プリペイドSIMカードのパッケージをよく見たら、iOSのAPN設定方法も書いてありました。暗に「設定を変えないとつながらないよ」と伝えるために書かれていたのだと、後から気付くのでした。

APNの書き換え CTMのプリペイドSIMカードでデータ通信をするにはAPNの修正が必要。構成プロファイルのインストールは不要で、端末設定からすぐできる
パッケージに書かれたAPN設定方法 プリペイドSIMカードのパッケージに書かれたiOS用の設定方法。「iPhoneだからすぐつながるでしょ」は通用しなかった……

 もう1つ、CTMのプリペイドSIMカードで注意すべき点があります。iPhoneではモバイルホットスポットを有効にできないのです。モバイルホットスポットの項目をタップすると「CTMにお問い合わせください」という旨のメッセージが出て有効にできません。テザリングで他の無線LAN(Wi-Fi)機器も一緒にネットにつなげたい場合は、SIMロックフリーのAndroid端末やモバイルルーターを別途用意することをお勧めします。

CTMのプリペイドSIMカードではiPhoneのモバイルホットスポットを有効にできない CTMのプリペイドSIMカードではiPhoneのモバイルホットスポットを有効にできない
F-04Gではテザリングできた 一緒に持っていったSIMロック解除済みのF-04Gに同じSIMカードを挿入してAPN設定すると、問題なくテザリングできた

 3地域でiPhone SEを使った限りでは、おおむね快適なLTE通信が可能です。ただし、雑居ビルの中や、都市間の農村地帯では3GやGSM(EDGE)に落ちてしまうことも少なくありませんでした。もっとも、3Gでつながれば通信が遅いと感じることはありません。しかし、GSMでつながった場合は……なかなかデータのやりとりが進まないことは覚悟した方が良いでしょう。

 ともあれ、5泊6日の旅行で、海外パケット定額を使えば1万7880円(税別)かかるところを約4600円で済ませることができたのは、SIMロックフリーの恩恵です。皆さんもぜひ、SIMロックフリーのiPhone片手に快適な通信を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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