タブレットなどLTEのデータ専用端末がドコモ回線へ在圏登録する場合は、音声利用する場合の在圏登録と異なる。LTEに在圏登録する場合、データ端末はデータ通信だけできればいいので、3G-CSに在圏登録はせず、LTE回線が使えてそれが継続される。この端末が3Gに在圏登録する場合は3G-PSに接続し、データ通信が維持される。
このデータ端末がau回線に接続するとどうなるか。LTEの在圏登録をすると、データだけ使えるという返答が返ってくる。3G-CSの在圏登録はしないので、LTEのデータ接続が維持される。このようにデータ専用端末の場合は、必ずしもVoLTEの実装は必要ない。
もう1つの問題が、auが利用している2GHz帯(Band1)だ。この上り周波数帯がPHSの周波数帯と隣接しているため、干渉しないよう「帯域外発射(スプリアス発射)」を抑える必要がある。そのためには一定の「ガードバンド」が必要だが、通信速度を上げようとすると十分なガードバンドが確保できないという問題がある。
PHSの周波数とKDDIの周波数の間にある隙間が「ガードバンド」だ。KDDIは20MHzの帯域を使えるようになっており、割り当ての際に4MHzのガードバンドを確保しているが、通信速度を上げるために帯域幅をたくさん使おうとすると、PHSへの帯域外発射を規制値内に収められなくなる。
この問題に対しKDDIは、端末の送信電力を制限したり、利用可能な上り周波数帯を一部制限したりしている。端末側も、PHSへの帯域外発射が規定値内に収まるよう設計をして技適を通す必要がある。ただ、送信電力を抑えると、端末から基地局に出す電波が弱くなるので、基地局のカバーエリアが狭くなる。また、周波数帯を制限すると上りの速度が遅くなる。
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