通話定額サービスを含めた「トータルコスト」が安い格安SIMは？

[小林誠，ITmedia]

　MVNOは、さまざまな通話定額サービスを提供しており、こちらの記事でその詳細をまとめた。

• →格安SIMでもたくさん通話したい！　MVNOの通話定額オプションを整理する

　この記事でも述べたように、MVNOの通話定額は多くがオプションだ。そのため実際はオプションの料金以外に、基本料金（音声通話やデータ通信）も発生する。そのためオプションが安くても、トータルコストでは異なる場合もあり得る。

　そこでデータ通信容量は考慮せずに、単純に通話定額を安く使えるプランを各社で探し、トータルコストをサービスタイプ別にまとめた。大手キャリアであれば「基本プラン＋データ通信＋インターネット接続料」、MVNOであれば「音声付きプラン＋オプション」といった形でトータルコストを計算している。なお長期割引やシェア割引、端末購入割引は考慮に入れずに計算している。価格は税別。

通話定額トータルコスト（大手キャリアの最安プラン）

キャリア	基本プラン名	月額料金	通話定額内容	トータルコスト	備考
au	スーパーカケホ	1700円	1回5分	4900円	データ容量1GB
ソフトバンク	スマ放題ライト	1700円	1回5分	4900円	データ容量1GB
NTTドコモ	カケホーダイライト	1700円	1回5分	5500円	データ容量2GB
ソフトバンク	スマ放題	2700円	24時間定額	5900円	データ容量1GB
NTTドコモ	カケホーダイ	2700円	24時間定額	6500円	データ容量2GB
au	カケホ	2700円	24時間定額	6500円	データ容量1GB

通話定額トータルコスト（プレフィックスサービス）

MVNO	オプション名（プレフィックス）	月額料金	通話定額内容	トータルコスト	備考
FREETEL	だれでもカケホーダイ（1分）	299円	1回1分	1279円	他社組み合わせ（500MB）
b-mobile	通話3分定額オプション（b-mobile電話向けオプション）	500円	1回3分（1日50回まで）	1800円	おかわりSIM（1GB）
FREETEL	だれでもカケホーダイ（5分）	840円	1回5分	1820円	他社組み合わせ（500MB）
もしもシークス	かけたい放題ライト	850円	1回5分	1830円	データ容量500MB
イオンモバイル	イオンでんわ5分かけ放題	850円	1回5分	1980円	データ容量500MB
DMM mobile	5分かけ放題	850円	1回5分	1990円	ライトプラン（200kbps）
BIGLOBE SIM	BIGLOBEでんわ　3分かけ放題	650円	1回3分	2050円	データ容量1GB
BIGLOBE SIM	BIGLOBEでんわ　通話パック60	650円	無料通話60分	2050円	データ容量1GB
楽天モバイル	楽天でんわ5分かけ放題	850円	1回5分	2100円	ベーシックプラン（200kbps）
mineo	5分かけ放題サービス	850円	1回5分	2160円	データ容量500MBのAプラン
IIJmio	通話定額オプション（3分）	600円	1回3分（家族は10分）	2200円	データ容量3GB
nuroモバイル	nuroモバイルでんわ5分かけ放題	800円	1回5分	2200円	データ容量2GB
U-mobile	でんわパック 60	800円	無料通話60分	2280円	ダブルフィックス（1GB以下時）
IIJmio	通話定額オプション（10分）	830円	1回10分（家族は30分）	2430円	データ容量3GB
OCN モバイル ONE	10分かけ放題オプション	850円	1回10分	2450円	データ容量110MB/日
FREETEL	だれでもカケホーダイ（10分）	1499円	1回10分	2479円	他社組み合わせ（500MB）
もしもシークス	かけたい放題フル	1800円	24時間定額	2780円	データ容量500MB
スマモバ	スマート通話定額プレミアム	850円	1回10分	3330円	データ容量5GB
U-mobile	3分50回かけ放題オプション（U-mobile MAX用オプション）	500円	1回3分（1日50回まで）	3380円	データ容量25GB
楽天モバイル	楽天でんわ　かけ放題	2380円	24時間定額	3630円	ベーシックプラン（200kbps）
J-mobile	Jmoba10分かけ放題	850円	1回10分	3830円	データ容量1GB
J-mobile	Jmoba Premiumかけ放題	1980円	1回120分（月300回まで）	4960円	データ容量1GB

通話定額トータルコスト（IP電話の定額サービス）

MVNO	オプション名（IP電話）	月額料金	通話定額内容	トータルコスト	備考
TONE	IP電話かけ放題オプション	500円（キャンペーン時/通常700円）	1回10分	1500円	データ容量無制限（500〜600kbps）
イオンモバイル	050かけ放題	1500円	24時間定額	1980円	データ容量1GB
NifMo	NifMoでんわ	1300円	24時間定額	2900円	データ容量1GB

通話定額トータルコスト（キャリア回線を用いた通話定額サービス）

MVNO	オプション名（通常回線）	月額料金	通話定額内容	トータルコスト	備考
J:COM MOBILE	かけ放題5分	850円	1回5分	1830円	データ容量500MB
スマモバ	スマート通話定額60	398円	1回1分（1日50回まで）	1978円	データ容量1GB
DTI SIM	でんわかけ放題	780円	1回5分	1980円	データ容量1GB
mineo	通話定額30	840円	無料通話30分	2150円	データ容量500MBのAプラン
mineo	通話定額60	1680円	無料通話60分	2990円	データ容量500MBのAプラン

通話定額トータルコスト（料金プランに含まれる通話定額サービス）

MVNO	料金プラン名	月額	通話定額内容	トータルコスト	備考
FREETEL	スマートコミコミ+（プレフィックス）	999円〜（契約期間、機種、データプランにより異なる）	1回10分	999円	データ容量100MBまで（1年目）
楽天モバイル	コミコミプラン（プレフィクス）	1880円（1年目）、2980円（2年目）〜	1回5分	1880円	データ容量2GB
UQ mobile	おしゃべりプランS（通常回線）	1980円（1年目）、2980円（14カ月目以降）	1回5分	1980円	データ容量2GB
UQ mobile	ぴったりプランS（通常回線）	1980円（1年目）、2980円（14カ月目以降）	無料通話60分（26カ月目以降は月30分まで無料）	1980円	データ容量2GB
Y!mobile	スマホプランS（通常回線）	1980円（割引適用1年目）、2980円（2年目）	1回10分	1980円	データ容量2GB

FREETELの「スマートコミコミ＋」が最安だが……

　FREETELの「スマートコミコミ＋」は、月額999円〜の料金に1回10分の通話定額サービスが含まれており、この中では最もお得。ただし月額999円はデータ通信は100MBまで、セット端末に「Priori 4」を選んだ場合。データ通信1GBまでだと月額1180円、3GBまでだと月額1580円、5GBまでだと月額2180円……という形で増えていく（上限は20GBまでで月額5480円）。

FREETELの「スマートコミコミ＋」が月額999円で最安だが、条件を考えると現実的ではない

　広く利用しやすい通話定額となると、FREETELの「だれでもカケホーダイ」のトータルコストが月額1279円で安い。このオプションはFREETEL以外の音声プランとも組み合わせができるので、月額980円の音声プラン（もしもシークス／データ容量は月間500MB）と組み合わせたと想定した。

　FREETEL内の料金プランで組み合わせるなら月額999円の音声プラン（データ容量100MBまで）があり、この場合は月額1298円だ。ただし、いずれも「1分かけ放題」を選択した場合なので万人向けではない。

3分〜10分定額で安いところ

　1回3分以上の通話定額であれば、プレフィックス方式の「b-mobile」（1回3分まで）、FREETEL（1回5分まで）、「もしもシークス」（1回5分まで）、あるいはIP電話方式の「TONE」（1回10分まで）、通常回線を使う「J:COM MOBILE」（1回5分まで）が安い。

　特にTONEは月額1500円で1回10分の通話定額なので抜きん出ている。他社は月額1800円程度で1回3分か5分の通話定額だ。ただしTONEの場合、前述したように使用できるスマホは「TONE m15」のみなのがネックとなる。

　またJ:COM MOBILEもスマホセットが必須で、今回は折りたたみ型Android端末の「LG Wine Smart」を選んだ場合のトータルコストを出した。

24時間通話定額で安いところ

　24時間通話定額となると、プレフィックス方式のもしもシークスが月額2780円、IP電話方式であれば「イオンモバイル」が月額1980円でお得。特にイオンモバイルはデータSIMとも組み合わせられるので料金を抑えられる。ただし緊急通報等ができない点や通話品質に注意。また、もしもシークスの場合も、月間データ容量は500MBしかないプランで計算している。

　このようにトータルで見ると、どの通話定額も一長一短がある。お金がある人は大手キャリアの24時間定額を選べば間違いないが、節約しつつ通話定額を使いたいのなら、やはりMVNOになる。

　だが「安く、大容量のデータ通信ができて、操作も簡単、通話品質もよく、話し放題」などという都合の良いサービスはない。毎月の通話頻度、そして毎回の通話時間を自分で確認し、自分の通話スタイルに最適なプランを選ぶことが結局節約になり、満足度も高いはず。その助けになれば幸いだ。

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