秘めたるは“日本の魂” 「HTC J ISW13HT」の魅力とインパクトとは?:神尾寿のMobile+Views(1/2 ページ)

» 2012年05月14日 19時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 スマートフォン時代になって、海外のグローバルメーカーの存在感が増したのは紛れもない事実だ。その代表格はiPhone/iPadを擁するAppleであるが、最近ではグローバル市場でAppleと覇を競うSamsung電子も日本市場での存在感とシェアを高めている。フィーチャーフォンからスマートフォンの移行期にあたり、彼ら“黒船の存在”が大きくなっているのは間違いないだろう。

Photo HTC J ISW13HT。ボディカラーはレッド、ホワイト、ブラックの3色

 そのような中で、グローバルメーカーの1つであるHTCが、KDDIとともに初の“日本専用仕様のスマートフォン”を日本に投入する。4月30日に発表された「HTC J ISW13HT」(以降、HTC J)だ。同機はグローバルモデルの「HTC One S」をベースにしつつ、日本市場に合わせて専用デザインと機能が与えられたもの。HTCが新たな強みとするカメラと音楽機能へのこだわりを持ちつつ、おサイフケータイをはじめとする“日本市場のニーズ”にきちんと対応することで、日本の一般ユーザーが選びやすいものになっている。

 筆者は今回、発売前のHTC Jの試作機を借りてテストする機会を得た。同機はHTCにとって日本市場本格開拓の戦略モデルだが、その実力や使い勝手がどれほどのものか。インプレッションを交えながら評価していきたい。

シンプルでエレガントなデザインと、すばらしいUIの両立

 誤解を恐れずに言えば、これまでのHTC製スマートフォンは「無骨」だった。それはけっしてデザイン性が悪かったというわけではない。金属を巧みに配したユニボディは高級感があり、高性能なディスプレイやカメラをアピールしたデザインは、“ハイエンドなスマートフォン”であることを全身で物語っていた。質実剛健。そういった無骨さに好感を覚えるハイエンドユーザーは、少なくなかったはずだ。しかし、その一方で、その剛健かつ無骨なデザインが、女性をはじめとする一般ユーザー層向けとしては“堅すぎた”のも事実である。

 その点、今回のHTC Jは違う。同機のデザインは全体的に角が取れて丸みを帯びたフォルムとなっており、ディスプレイパネルには3次元成形の立体的なガラスが用いられた。パッと見は“一般的なスマートフォンのシルエット”だが、細部までこだわって作られている。シンプルなデザインながらiPhoneに似ることなく、独特のエレガントな佇まいを実現している点は高く評価できるだろう。ボディは金属ではなく樹脂だが、塗装やコーティングの質感は高く、安っぽさは微塵もない。全体的に曲面を帯びたフォルムと相まって、手に吸いつくような“しっくりとした持ちやすさ”となっている。

 そして電源を入れると、UIデザインもまたすばらしいことが分かる。

 HTCは以前からHTC Senceと呼ばれるUIデザインを開発・投入してきたが、HTC Jはその最新版の「HTCSense 4.0」を搭載。さらにKDDI側からの要望で、同社が今夏のスマートフォンから導入する「auウィジェット」のプリセットと、“日本のユーザーにとって使いやすい”UIデザインの拡張が行われている。HTCとKDDIの合作となっているわけだが、実際に使ってみると、その美しさと使いやすさの絶妙なさじ加減に、とにかく舌を巻く。

PhotoPhoto スリープ状態からの解除では、アプリアイコンをリング内にドラッグすることで高速ワンタッチ起動ができる。特にカメラの立ち上がりの速さは便利である

 そのセンスのよさを最も強く体験できるのが、初期状態の「デスクトップ画面」である。

 Androidのデスクトップは、アプリアイコンだけでなくさまざまなウィジェットが利用できる多機能さがiPhone/iPadなどiOSに対する優位性とされてきたが、これまではそれが「iOSに比べて煩雑で分かりにくいデスクトップ画面」となってしまうケースがほとんどだった。しかし、HTC Jは違う。画面写真を見てもらえば分かるとおり、デスクトップ画面上にL字型にアプリアイコンとウィジェトを配置し、すっきりとした美しさと機能性をうまくバランスさせている。しかも気の利いたことに、この配列だとアプリやウィジェトがデスクトップピクチャと重なることがない。これならば、“家族や恋人、ペットなどの写真をデスクトップに表示する”という日本のケータイ文化を継承できるだろう。

PhotoPhotoPhoto
PhotoPhotoPhoto HTC Jの基本UIも、HTCのセンスのよさがよく現れており、使いやすくてスタイリッシュだ

 そして、もう1つ。筆者が高く評価したのが「auウィジェト」である。これはauが提供するウィジェトに対して、プッシュ型でコンテンツを提供するもの。ニュースや天気といった基本的なものはもちろん、位置情報に基づいた周辺情報や、各種SNSと連携したコミュニケーションやシェア機能のウィジェトが用意されている。

 このようなキャリアが提供するウィジェット型のコンテンツサービスは、すでにNTTドコモがウィジェト版「iチャネル」や「iコンシェル」「ドコモ地図ナビ」を提供しており、auウィジェットはコンセプト的には後発になる。しかし筆者がauウィジェットをいたく気に入ったのが、そのデザインが洗練されており、HTC JのUIデザインにも違和感なく溶けこんでいたからだ。ウィジェットは普段よく目にする部分だけに、機能的に便利なだけでなく、デザインがどれだけシンプルで美しく、端末全体のUIデザインを損なわないか、というのは重要なポイントだ。その点でauウィジェットは、とても優れた仕上がりになっている。見た目が美しいだけでなく、機能性をうまく表したUIの文法やなめらかな動きもすばらしい。かつて「デザインのau」と言われたKDDIの面目躍如である。

PhotoPhotoPhotoPhoto HTC JのUIは、HTCとKDDIのデザインの強みがうまくミックスされ、とても使いやすく洗練されたものになっている。KDDIが提供する「auウィジェット」も、このようなキャリア提供サービスの中ではずば抜けてデザイン性が高い

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