HPが投入する、“契約済み”3G通信機能内蔵PCの可能性「すぐネット接続できないのに“Netbook”などと呼ばないでほしい」(2/2 ページ)

» 2009年08月06日 00時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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専用の3G網を利用し、その場でチャージ可能

 本人確認とチャージ用クレジットカード情報の初回登録と今後のチャージ手続きは、インターネット網を通らない日本通信の3Gユビキタス専用線を用い、付属ユーティリティソフト「HP Mobile Access」上で行う。

 1分10円、1000円で1時間40分利用可能──という利用料金は、利用者によって既存の通信事業者が用意する定額料金より割高になる可能性もあるが、この点は、複雑な契約や月額基本料金が必要なく、データ通信量でなく利用時間で換算する「シンプルで分かりやすい」メリットを望む、潜在的に幅広く存在するユーザーを獲得し、便利さをアピールしたい考えが伺える。3Gデータ通信以外に、NTTコミュニケーションズ「HOTSPOT」やソフトバンクテレコム「BBモバイルポイント」などの有料公衆無線LANサービスも併用(1日300円)することで、通信料金を抑えつつ利便性を上げる機能も併設する。もっとも、対ユーザーの通信サービスそのものは日本HPがMVNOとなって提供する形態のため、今後、法人顧客も含めたユーザーニーズに応じた料金制度(例えば定額プランなど)の追加や通信料金の変更などもありえるだろう。

photophotophoto PCの初回起動時よりユーティリティソフト「HP Mobile Access」も起動し、1000円分のプリチャージとともに、FOMAネットワークを用いたモバイルインターネット通信が“即”利用できる。追加チャージはセキュアな3G専用回線を用いてPCから直接行う。おサイフケータイなどの電子マネーチャージに似た感覚で実施できるだろう。同サービスは法人ユーザーの利用を大いに見込むが、領収書の発行は仕組み上難しそうだ。クレジットカードの明細を提出/チャージ明細の画面プリントアウトするなどの手段が考えられるが、法人ユーザーに対しては個別対応なども検討するという
photophotophoto チャージ額は1000円、2000円、3000円、4000円、5000円、1万円から。3G通信の利用料金は1分10円の時間従量制で、HP Mobile Accessに利用できる残り時間も表示される。現時点、オートチャージ機能は備わらず、チャージ額が尽きるとインターネット接続も遮断される仕組み。ただ、その場ですぐチャージできる。有料の公衆無線LANも1回1日300円で利用可能。ホットスポットやBBモバイルポイントは、Web認証のIDなどもHP Mobile Accessに保存しておける。3Gと無線LANのシームレス切り替えは行えず、ユーザーが手動で切り替える仕組みだ(ただ、オートチャージやシームレス切り替え機能はソフトウェアの仕様変更のみで実現可能とのことで、ニーズに応じて実装する可能性はあるという)

 このほか、搭載する3G通信モジュールとUSIM(FOMAカード)はロックなしの状態で提供し、契約済みの別USIMに差し替えることにより、海外を含む複数のキャリアの通信も利用可能とする展開も想定する。ちなみにHP Mobile Broadbandモデルに付属するUSIMは、例えばドコモ端末の「A2502 HIGH-SPEED」に入れて利用することも可能だ(HP Mobile Accessでチャージした金額分通信できるという)。さらに、日本通信との提携を軸に、ほかの通信キャリアも利用できるようにする事業展開も積極的に推進していきたいとしている。

 こういった“垣根が低い”手段は、ユーザーにとって大きなメリットだ。NTTドコモを中心とする既存通信事業者が同様のサービスをPCメーカー向けに展開するほど歩み寄るとは現時点では思いにくいものの、日本通信と日本HPの取り組みは、今後の通信業界に波紋を投げかける一手ともいえる。進展次第ではサービスの向上や通信料金の値下げなどをともなう競争も期待できるだろう。

 PCメーカーにとっても、コモディティ化(日用品化)が進み、際限のない価格競争のみに陥りがちな傾向もある現状において「これがあるから、このメーカーの製品を選ぶ」と思わせる高い付加価値になる。モバイルWiMAXやSuper3G、WILLCOM CORE XGPなどといった次世代の通信規格以外に、このような手段の実現も「明るい次世代インターネットの幕開け」(三田社長)が近いことを示すといえそうだ。

photophoto 「通信業界とPC業界は、“縛り”でなかなか融合が進まなかったが、発想の転換で新たな事業モデルが生まれた」と日本通信三田社長
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