日本のあらゆる無線局の周波数データを調べられるiPhoneアプリ「周波数帳2012」が配信されている。同アプリは、三才ブックスが発行している書籍「周波数帳2011-2012」に掲載されている周波数データをアプリに収めたもので、全国14万件、26ジャンルの周波数データが収録されている。書籍版は重さ1.3キログラム、厚さ63ミリという電話帳並みのボリュームで手軽に持ち出しにくいことから、iPhoneアプリが開発された。
アプリの販売価格は85円で、初期状態では「ラジオ」「アマチュア無線レピータ」という2つのジャンル(計5000件)が収録されている。これにアプリ内課金を利用することで、消防/救急、警察/署活系、航空、鉄道、バス、タクシー、海保/自衛隊など、他ジャンルの周波数データベースを購入できる。2800円の全国データ一括パックと、地域ごとに800円または1200円のデータパックが販売されている。
周波数は現在地、都道府県、ジャンル、フリーの4つから検索ができる。現在地ではGPS機能を利用し、近くの周波数が一覧表示される。フリーでは周波数、キーワード、エリアなどを指定した複合検索が可能。聴取した通信内容の録音機能、Twitterへの投稿やメール送信できる連携機能、アプリ内にテキストデータを保存できるメモ機能も用意されている。なお、iPhone自体には受信機能はないので、周波数帳2012で調べた電波を受信して音声を聴いたり、アプリの録音機能を使うには専用の受信機が必要。
1月24日に三才ブックスが開催したツアーに参加し、同アプリ経由の無線受信を体験してきた。最初に立ち寄った羽田空港 国際線展望デッキでは航空無線を検索し、ヒットした「東京国際空港」の周波数「128.800MHz」に受信機のチューニングを合わせたところ、管制塔から発信された気象情報(英語)を聴取できた。その後、羽田空港付近のリムジンバスや消防庁の無線も調べて聴取できた。ここには書きにくいが、“普段はまず聴けない音声”が流れている電波をキャッチしてしまうこともあった。
筆者は「自分で無線通信を受信して聴くこと」自体がほぼ初めてだったので、新鮮な体験だった。受信機を別途用意する必要があるのでゼロから楽しむにはハードルが高いが、ディープな無線世界を垣間見られた気がする。趣味や仕事など何かしらの形で無線通信に携わっている人には、周波数帳2012アプリが活動の一助になってくれるはすだ。
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