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» 2012年07月13日 18時34分 公開

未成年のスマホユーザー、フィルタリングの設定率が低下傾向デジタルアーツが調査(2/2 ページ)

[平賀洋一,ITmedia]
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スマホは1人1台の小さなPC

photo 弘前大学の大谷教授

 今回の調査を監修した弘前大学教育学部教授の大谷良光氏は、「スマートフォンは子供にとって、1人1台の小さなPC。キャリアが提供するフィルタリングは3G回線のみで、Wi-Fiでもネット接続ができるスマホはフィルタリング設定の遅れが懸念される」と警鐘を鳴らした。

 大谷教授は、2009年から同大教育学部の「ネット・ケータイ問題」研究プロジェクトの代表を務め、50人以上からなる「ネットパトロール隊」も組織。県内小中高校で起きる“ネット上のいじめ”などを監視し、教育現場とともにその対策に当たっている。大谷教授はケータイで起きた問題はすべてスマホでも起きるだけでなく、ソーシャルゲームによる高額な課金や、悪質なアプリ(マルウェア)の被害に遭う危険が増えると解説する。

 「スマートフォンは画面が大きく、画像や動画を鮮明に表示できる。スマホ向けソーシャルゲームは画像も凝っており、内容も多様化して非常に射幸性が高い。これは高額課金のトラブルの原因になる。また6月には、アダルト動画が見られることを装い、架空請求の画面を表示し端末をフリーズさせるスマホ向けウイルス(マルウェア)が摘発された。この事件では実際に現金を振り込むなど直接の被害が出ている」(大谷氏)

 今回の調査結果でも子供全体の4割が有害サイトの閲覧経験があり、高校生では5割に達している。大谷教授は「ネットのアダルト動画はアダルトショップなみのひどさ。時にはモザイクがないものもある。男子中高生が見てみたくなるのも当然で、だからこそフィルタリングが重要だ。これはアダルト以外の有害サイトでも同様で、同じようなワナがしかけられている可能性が高い」と話す。

 大谷教授らが活動する青森県内では、フィルタリングの設定率が全国平均よりも高い。これは、大谷教授らが教員や教育関係者にネットの危険性を認識させる講演や講習を実施していることや、卒業式・入学式などの機会を活用した保護者への働きかけを行っていること、そして日常的な子供たちへの呼びかけが功を奏しているという。

親のネット教育も重要

 また発表会では、デジタルアーツ経営企画室の工藤陽介氏と大谷教授、そして+D Mobileの連載「ケータイの力学」でおなじみのコラムニスト小寺信良氏によるクロストークが行われた。

photophoto 小寺氏(写真=左)と工藤氏(写真=右)

 小寺氏は未成年のユーザーが増えているLINEについて、「端末にあるアドレス帳の内容をサーバーにアップし、知人友人がLINEを使っているとサジェスチョンしてくれる。事前の承諾画面は表示されるが、果たして未成年ユーザーが正しく理解しているのか疑問」と指摘。また同様の無料通話アプリである「カカオトーク」についても触れ、「これはユーザーの承諾を取らずにアドレス帳の内容をサーバーにアップするなど、さらにひどい。またアプリストアのレビュー欄が出会い系の様相を呈しており、まったくの手つかずになっている」と批判した。

 調査結果でケータイ・スマホでYouTubeを利用する未成年が多いことについては、「YouTubeは動画を見るための1つのチャンネルに過ぎず、YouTubeで未成年が何を見ているかが問題でそこを知りたい。また、どうやって目的の動画にたどり着いたのか、その情報のつながり方を知りたい。おそらくYouTubeのアプリやサイトから自分で検索するユーザーは少なく、メールなどで動画のリンクを教えてもらうことが多いのではないか」と、動画サイトの使われ方の実体解明を求めた。

 小寺氏はMIAU(インターネットユーザー協会)の代表理事という立場から、「ネットユーザーのリテラシーを上げることで、本当はフィルタリングがない世界を目指したい。我々は黎明期からインターネットを使ってきたが、これまでにひどい目に遭うこともあった。だからといって子供たちにネットを使わせないのではなく、自転車の練習と同じように、フィルタリングという補助輪を付けてネットの使い方を覚えさせたい。それには、我々保護者がネットのリスクとメリットを正しく理解し、子供に教えられるようになることが大事だ」と語った。

photo 左から、小寺氏、大谷教授、工藤氏

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