―― 販売台数が少ないと、メーカーとしては、なかなかそこまでリソースを割けない事情もあるのかと思います。
岡野氏 もちろんいろいろな考え方があります。でも逆にLGさんがすごいのは、グローバルに端末を投入しているのに、1万5000台のために、これだけのリソースを割けること。ここまでできるメーカーは、LGさんしかいないと思います。
許氏 LGさんは良い物を出しいただいていますけど、日本市場では苦戦してらっしゃるので、これを機に、良い物を作っている会社さんだと認識してもらいたいですね。
鹿島氏 本当にすごい気が利いてるんですよ。アイコンのカスタマイズとか、他のメーカーさんにはない機能もあります。
岡野氏 アイコンカスタマイズを最初に採用したのはLGさんですね。PRADA Phoneから利用できます。
鹿島氏 ホーム画面のアイコンを非表示にして、完全に壁紙だけにすることもできるんですよ。(描き下ろしの承太郎の壁紙を表示させて)この絵だけを表示させて、いつも端末(試作機)を机に飾ってます。
岡野氏 ボリュームが取れる端末じゃないと作らないという考えも、もちろんあります。ドコモでも同様に、大きいパイを取っていく商品もあります。一方で、ジョジョスマホのように……僕は「最小公倍数の商品」と呼んでいるんですけど、3万台しか売れないけど、3万台確実に買っていただける市場がある。それを1つずつ埋めていくのがコラボレーションであったり、企画商品などの位置づけだと思っています。こういうものが得意なメーカーさんもいるし、そうじゃないメーカーさんもいる。
―― LGさんとのやり取りは、Optimus Vuよりも密にやっていたんでしょうか。
岡野氏 相当やっています。コラボモデルは通常モデルの3倍以上、手間がかかると思っていただいて結構です。コラボモデルの後に普通のモデルを担当すると、本当に楽なんです(笑)。
―― コミックをテーマにしたスマホは、日本以外の国ではない?
岡野氏 ないでしょうね。取られたくないですよね、日本人として。マンガは日本のものですから、こういうものこそ日本発で行きたい。
―― 逆に海外からの反響はありましたか?
岡野氏 ジョジョもある程度はありますが、ヱヴァの方が大きかったですね。作品の認知度が高いので。LGさんにも、こういうものを海外で出していただけると面白いのではないでしょうか。
―― 冒頭の話にも関連しますが、オプション品としてカバーなどのオリジナルグッズを今後発売する予定はありますか?
岡野氏 考えていたんですが、「荒木先生が描いた絵の上に何かをかぶせる」というのが、最終的に難しかったんです。コミックの表紙デザインのカバーを別オプションとして作るとか、いろいろなアイデアはありましたが、やっぱりこのまま持ちたいよねと。この素晴らしい絵が描いてあるので、結果的にオプション品は用意しない方向にしました。
―― でも、ヱヴァスマホには2種類のカバーが用意されています。
岡野氏 リアカバーを外せれば、ヱヴァみたいにカバーの着せ替えもできたんですけど、外側から着せ替えると、ただでさえ大きな幅がさらに増してしまいます。
―― 確かに、ジョジョスマホはリアカバーが外せないですからね。
岡野氏 ケータイを作っている側としては、外側にカバーを付けてほしくないんですよ。デザインも含めて頑張って作っているので。付けるのなら、正規オプション品として作りたい。でも万人が好きなものにはならないでしょうし、ドコモ基準を満たそうとして作ると(価格が)すごく高くなってしまう。だから裸で持ってもらう方がいいんじゃないかなと。
→TO BE CONTINUED...
(第3部では、販売台数が1万5000台となった理由や、プロモーションの狙いなどを聞く)
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