高精細+大画面でもバッテリー長持ち――Huaweiが「Ascend D2」「Ascend Mate」を発表2013 International CES(2/3 ページ)

» 2013年01月08日 17時30分 公開
[田中聡,ITmedia]

Ascend Mateは手袋をしたままでも操作可能

 Ascend Mateのサイズは85.74(幅)×163.5(高さ)×9.9(厚さ)ミリ、サイズは198グラム。OSはAndroid 4.1。チップセットは、HiSilicon Technologiesのアプリケーションプロセッサー「K3V2」(1.5GHzクアッドコアCPU)と、ベースバンドチップにIntel の「XMM6260」を採用。

photo GALAXY Note IIの3100mAhよりも大きな4050mAhのバッテリーを装備

 「最も大きなスクリーンのスマートフォン」と紹介されているとおり、6.1インチのHD液晶が大きな特長だ。フルHDでないのが惜しいが、ディスプレイが本体に占める割合は73%に及び、69%のGALAXY Note IIよりも高い。バッテリー容量は4050mAhと大きく、「通話、ブラウザ、動画再生の連続時間はGALAXY Note IIよりも長い」(ユー氏)。タッチパネルに搭載した「マジックタッチ」と呼ばれる新しい技術も興味深い。これは手袋など素手以外のもので触れてもタッチを認識するというもの。会場ではユー氏が手袋を付けたまま、また同氏のネクタイからタッチ操作をするデモを披露した。

photophoto 現行のスマホでは最大の6.1インチ液晶を搭載(写真=左)。ディスプレイの占める割合も高い(写真=右)
photophoto 手袋を付けたままでもタッチパネルを操作できる「Magic Touch」

 大画面を生かした便利機能も用意する。「Guiding Wizard」では、AR(拡張現実)技術を用い、アウトカメラで実際の経路を映しながら目的地までのナビを利用できる。このほか、ブラウザ上で選択した単語の意味を調べたり翻訳をしたりできる「Smart Reading」、ほかのアプリの利用中にメモ/メール/電卓/動画再生を小さなウィンドウで表示する「Easy Panel」も用意する。片手で操作できるよう、キーボードやダイヤルパッドを左右の端に寄せられる「One-hand UI」も取り入れた。

photophoto ARを用いたナビ機能「Guiding Wizard」(写真=左)。選択した単語の意味を調べられる「Smart Reading」(写真=右)
photophotophoto メモや電卓などを小さなウィンドウで表示できる「Easy Panel」(写真=左、中)。文字を片手で打ちやすくするUIも用意する(写真=右)

独自の省電力技術も搭載、iPhoneを意識したUIも

 ユー氏は、2機種に共通する特長も説明した。その1つが消費電力を抑える技術「QPC(Quick Power Control)」と「ADRX(Automated Discontinuous Reception)」で、Huaweiが20年以上にわたって培ってきた、通信機器のノウハウを生かしているという。QPCはデータ通信をしていないときに基地局側の通信を制御し、ADRXはネットワークの状況に応じて通信の頻度を抑えるというもの。これらの技術を活用することで、30%の省電力が可能になるという。充電スピードも速く、Huaweiの調べでは、フル充電までの時間はGALAXY S IIIよりもAscend D2の方が25%短いという。

photophotophoto 通信しないときに基地局側との接続を切る「QPC」により消費電力を10%抑えられる(写真=左)。通信の頻度を抑える「ADRX」により消費電力を20%抑えられる(写真=中)。充電の速度も上がった(写真=右)

 無線LANアンテナを2つ内蔵する「Dual Wi-Fi Receivers」により、Wi-Fi接続時の通信速度が150Mbpsまで向上し、「1Gバイトの動画を1分以内に受信できる」(ユー氏)という。また無線LANの信号が弱い場所でも(比較的)通信しやすくなる。このほか、ステレオマイクを2つ搭載することで、録音できる音声の品質も上がり、「人々がいろいろな場所から話しているように聞こえる」とユー氏は説明する。

photophoto Wi-Fiの通信速度が2倍に向上する

 UI(ユーザーインタフェース)については「EMOTION UI」と銘打ち、よりシンプルな操作性を追求した。Androidにおける操作性の問題を200以上解決したほか、ユーザー体験を向上させる100以上の改善を施したという。一般的なAndroidのUIと大きく異なるのが、アプリをまとめて見られるアプリトレイがなく、ホーム画面上にすべてのアプリがあらかじめ配置されている。アプリを長押ししてゴミ箱に移動すると、アプリのアンインストールができる(確認のメッセージが出る)。iPhoneのホーム画面にウィジェットを配置できるようになった……と考えれば分かりやすいか。ただユー氏は「iPhoneよりも使いやすい」と自信を見せる。

photophoto シンプルなオリジナルUIを採用する
photophoto アプリトレイのないホーム画面。フォルダやウィジェットは従来どおり使える
photophoto 左端の矢印をタップすると、画面下部のキーが隠れる。下から上にフリックするとキーが復活する
photophoto ホーム画面上でアプリを長押ししてゴミ箱にドロップすると、アンインストールするか聞かれる

 2機種とも発表会場に展示されていたものは3G版だったが、「発売する地域によってはLTE通信もサポートする」(説明員)とのこと。

Mobile World Congress 2013でさらに革新的な製品を発表する

 今回のプレゼンテーションで印象的だったのは、iPhone 5、GALAXY S III、GALAXY Note IIなど世界でも特に売れている競合製品と比較して、Ascend D2とAscend Mateの優位性をアピールしていたこと。一方でHuaweiならではの独自性が薄いようにも感じた。Ascend D2とAscend Mateは、順当にスペックを向上させた正統進化のモデルと言えるだろう。ただ、ユー氏は2月にスペイン・バルセロナで開催予定の「Mobile World Congress 2013」では「これら2機種よりも革新的な製品を2つ発表する予定なので、ぜひ見に来てほしい」と予告しており、Ascend D2とAscend Mateが2013年の“本命”ではないようだ。Huaweiがさらに我々を驚かせてくれることを期待したい。

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