どこまで完成度が上がった?――「ARROWS NX F-06E」の実力を徹底検証(1/3 ページ)

» 2013年05月22日 21時51分 公開
[石野純也,ITmedia]

 クアッドコアやLTEをいち早く採用し、スペックでは常にほかの端末をリードしてきた富士通のARROWSシリーズ。フィーチャーフォンで培ったノウハウを生かした指紋センサーや、ヒューマンセントリックエンジンも、このシリーズの魅力と言えるだろう。

 一方で、最先端を突き進んだゆえに、ARROWSシリーズは、発熱や不具合、バッテリー消費の早さといった問題にも悩まされてきた。ARROWSシリーズを投入した当初は、グローバルメーカーほどAndroidというプラットフォームに慣れていなかったのも原因の1つだ。こうした反省を生かし、品質面の改善を最重要課題に挙げて開発したのが、富士通は夏モデル「ARROWS NX F-06E」だ。関係者によると、開発も従来より前倒しで行い、その分、不具合が起こらないよう、チューニングに時間をかけたという。

photo 富士通がこの夏、満を持して送り出す「ARROWS NX」

 また、ARROWSシリーズと言えば、ベースバンドチップに「サクラチップ」や「ANT30(通称:COSMOS)」を採用してきたことも有名だが、今回採用しているベースバンドチップはQualcommの「MDM9215M」。アプリケーションチップも同じくQualcomm製で、「Snapdragon 600」に相当する「APQ8064T」を採用した(CPUはクアッドコア、クロック数は1.7GHz)。採用メーカーが多い“こなれた”チップを使うことで、品質の向上を図ったというわけだ。サクラチップやANT30を開発しているアクセスネットワークテクノロジ社は富士通が筆頭株主であることを考えると、これも大胆な方向転換と言えるだろう。それだけ、ARROWS NXの完成度を上げたかったという意図も見て取れる。

 こうした前情報を見聞きすると、本当に富士通が言うように、新しいARROWSは完成度が高くなったのか確かめてみたくなる。まさに「見せてもらおうか、新生ARROWSの実力とやらを」といった心境だ。幸い、今回、富士通から事前にレビュー用の端末を借り、数日間ではあるが実際に使用することができた。今回は、その試作機で、使用感や性能などをレビューしていきたい。なお、製品版とはややチューニングが異なる可能性もある点は注意してほしい。

5.2インチと大画面ながら横幅はスリムに、ボディの剛性も高い

 まずは、ARROWS NXの外観やスペックをチェックしていきたい。ディスプレイは5.2インチで、解像度は1080×1920ピクセルのフルHD。ドットピッチは、約423ppiとなる。採用例の多い5インチフルHDディスプレイの場合、ドットピットは443ppiとなり、画面が大きい分、ARROWS NXの方がやや数値は低くなるが、肉眼では区別がつかない程度だ。5.2インチと大画面だが、サイズは70(幅)×139(高さ)×9.9(厚さ)ミリに抑えられている。ここで特筆したいのが、横幅が70ミリであること。春モデルとして大ヒットした「Xperia Z SO-02E」が71ミリ、夏モデルで“ドコモのツートップ”に指定された「GALAXY S4 SC-04E」が70ミリで、どちらもディスプレイのサイズは5インチ。一方のARROWS NXは、これらの端末より0.2インチ分のディスプレイは大きいが、ボディの設計でうまく吸収していることが分かる。狭額縁設計で、ギリギリまで液晶を大きくしたというわけだ。

photophoto 「Xperia Z」と比較。ディスプレイは5.2インチで、ハイエンドで主流の5インチよりやや大きい(写真=左)。一方で、狭額縁設計のため、横幅は7ミリに抑えられている(写真=右)

 背面の左右が斜めにカットされたような形状になっているため、手に取っても5.2インチの大きさを感じさせない。持ちやすさという点では、5インチ端末と比べてもそん色ない仕上がりになっていると言えるだろう。もっともこの印象は、筆者が常用している端末が、Xperia Zであることも考慮に入れなければ公平な見方とは言えない。5.0インチの端末に慣れたあとで持つと「0.2インチ大きくても意外と持ちやすい」と言えるが、初めて5インチオーバーのスマートフォンを持つユーザーにはちょっと大きいと感じるかもしれない。手の大きさも影響するため、持ち心地は実際に店頭で確認してみることをオススメしたい。実際、画面が大きいため、片手持ちして親指で通知を下に引き出す際には、少々持ち位置を変える必要がある。手が小さい人だと、そもそも親指が届かないかもしれない。

photophoto 背面は左右が斜めにカットされたような形状で、持ちやすい

 もっとも、ARROWS NXには、片手でも操作がしやすいようソフトウェアでの工夫も取り入れられている。ソフトキーの右端にある「↓」をタップすると、画面全体が下方向にスライドする仕組みだ。当然、下にあるアイコンなどは隠れてしまうが、通知を引き出すときなど一時的に使うには便利。標準の「予定表」アプリのように、AndroidのUIガイドに従って作られたアプリも、上に操作用のアイコンやボタンが並んでいることが多いため、この機能が役に立つだろう。

photophoto 画面全体を下に引き下げるボタンを搭載している。このほか、キーボードもサイズと位置を変更できる

 次に、ボディを見ていきたい。ARROWS NXはBlackとWhiteの2色展開で、どちらもマットなツヤ消し加工が施されている。側面にはアルミのフレームを採用していており、この部分の質感は非常に高い。これまでのARROWSシリーズと言えば、素材はプラスチックが多く、握るときしむようなこともあったが、こうした過去の不満点もしっかり解消されている。特にBlackは、色調が異なるアルミのシルバーが挿し色になっているため、側面がデザイン上のアクセントにもなっている。一方で、こうした素材を採用しているためか、重量は約163グラムで手に取るとズッシリとした重みを感じる。ここは、質感とトレードオフになっている部分だ。

photophoto 背面はマットな加工が施されており、指紋が目立ちにくい。側面はアルミ素材で、質感が高いのも好印象だ

 ちなみに、本体は防水仕様だが、イヤフォン端子がキャップレスになっているのも便利なポイント。欲を言えばMicro USB端子のカバーもなくしてほしかったが、ここは次機種以降に期待したいところだ。

photo 防水ながらイヤフォン端子がキャップレスなのもうれしいポイント
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