格安SIM徹底レビューの第2回では、初回の「IIJmio」に続いて「OCN モバイル ONE」を取り上げる。料金プランや使い勝手、実行速度など、購入の決め手になりそうな要素を中心に点数制で評価していく。
評価するのは「料金プラン」「基本機能」「端末ラインアップ」「販売場所」「サポート体制」「通信速度」の6項目で、独自の基準で加点/減点し、各項目10点満点で採点していく。端末はHuaweiの「Ascend Mate 7」を使用して検証した。
記事中の価格はいずれも税別。
○料金プラン:10項目各1点(条件付きで減点あり)
音声サービスを提供:1、MNPに対応:1、3つ以上のプランを提供:1、900円以下で2Gバイト以上、または900円未満で1Gバイト以上のプランを提供:1、月7Gバイト以上、および無制限のプランを提供:各0.5で合計1、通信規制なし:1 (高速通信・低速通信のどちらかの場合は−0.5)、SIMカードの追加:1、データ容量のシェア:1、通話料金の割引:1、固定回線とのセット割:1
○基本機能:7項目計10点
翌月繰り越し:2、高速/低速通信切り替え:2、データ容量追加:2、オリジナルアプリ:1、バースト転送:1、Wi-Fiスポットの提供:1、留守番電話:1
○端末ラインアップ:10項目各1点
動作確認済み端末の掲載:1、Androidに対応:1、iOSに対応:1、SIMカードとのセット販売:1、端末ラインアップ3機種以上:1、タブレットを販売:1、モバイルWi-Fiルーターを販売:1、独自端末を販売 :1、LTE端末を販売:1、割賦販売:1
○販売場所:5項目各2点
オンラインでの対応:2、実店舗での対応:2、実店舗5店舗以上:2、MNPの即日対応:2、独自店舗:2
○サポート体制:10項目各1点
会員専用Webページを用意:1、よくある質問の掲載:1、SIMの設定方法の掲載:1、専用問い合わせフォーム:1、電話窓口:1、電話24時間対応:1、電話365日対応:1、チャットでサポート:1、端末の修理・交換受付:1、訪問or店頭サポート :1
○通信速度:高速通信の下り/上りの平均速度(あらかじめ設定された5カ所での測定)を算出。点数は以下の通り。
下り:平均1Mbps未満:0、平均1〜5Mbps未満:1、平均5〜10Mbps未満:2、平均10〜15Mbps未満:3、平均15Mbps以上:5
上り:平均0.5Mbps未満:0、平均0.5〜2.5Mbps未満:1、平均2.5〜5Mbps未満:2、平均5〜7.5Mbps未満:3、平均7.5Mbps以上:5
OCN モバイル ONEは、NTTグループの1つであるNTTコミュニケーションズが、MVNOとして提供しているモバイル通信サービスだ。NTTドコモの回線を使用している。
NTTコミュニケーションズといえば、個人向けでは固定回線プロバイダーの「OCN」、無料通話アプリの「050 plus」でおなじみ。法人向けを見ると世界規模で高品質なクラウド、データセンターなどのネットワーク、システムを手がけ、その一方で中小企業や個人事業主向けにネット回線やテレビ会議システムを提供していたりと幅広い。
誰もが一度はかけたことがあるであろう「0120」の通話料無料のフリーダイヤルも、NTTコミュニケーションズのサービスだ。同社はICTインフラ全般をサポートする企業だといえる。
OCN モバイル ONEの提供は2013年に開始。もともとはその前年から提供していた「OCNモバイルエントリーd LTE 980」をリニューアルする形で始まった。
NTTグループということもあり、信頼感は高いようで、3月30日発表のMMD研究所「格安スマホに関する意識調査」では、利用している格安スマホとして「OCN モバイル ONE」がトップだった。MM総研が2014年12月に発表したリポートによると、独自型SIMサービスのシェアではIIJを押さえて1位となっている。
OCN モバイル ONEには「音声対応SIM」「データ通信専用SIM」「プイリペイドSIM」の3種類のサービスがあるが、音声対応SIMとデータ通信専用SIMの料金コースはほぼ同じ内容。プリペイドSIMについては今回は省いた。
通信容量が1日ごとに決められているコースと、1カ月ごとのコースがあり、どちらも最大通信速度は下り150Mbps。月900円の110Mバイト/日コースと、月1380円の170Mバイト/日コースがある。
月コースでは月1100円の3Gバイト/月コースと、月1450円の5Gバイト/月コース、さらに最大通信速度を500kbpsに抑える代わりに月15Gバイトも使える、月1800円の500kbpsコースを用意している。
日コースと月コースともに容量の追加が可能で、日コースでは1回500円で申し込んだ日に限り使い放題となり、月コースでは0.5Gバイトごとに500円となる。
データ通信の月額料金に+700円で音声通話が利用できる。さらに、音声対応SIMでは月額300円の格安通話アプリ「050 plus」が無料で使えるので、活用すれば通話料を下げることが可能だ。データ通信の月額料金+120円で、SMSに対応したSIMカードも利用できる。
音声対応SIMのみ、6カ月の最低利用期間が設けられており、この期間に解約すると、8000円(不課税)の違約金が発生する。データ通信専用SIMには最低利用期間はない。
AndroidのSIMロックフリー端末ではテザリングが可能だが、NTTドコモの端末ではテザリングが利用できない。これはほかのドコモ系MVNOでも同じだ。
SIMのサイズは標準、micro、nanoの3種類。OCNのマイページからSIMカードの追加を申し込むと、通信容量のシェアが可能になる。データ通信専用SIMカードの場合、追加手数料は1枚1800円、音声対応SIMの追加手数料は1枚3000円だ。
固定通信とのセット割として「OCN光モバイル割」があり、OCN光サービスを利用している場合、OCN モバイル ONEの月額利用料が200円割り引かれる。最大5契約、合計1000円までの割引となる。
プラン名 | 110MB/日コース | 170MB/日コース | 3GB/月コース | 5GB/月コース | 500kbpsコース |
---|---|---|---|---|---|
月額料金 | 900円 | 1380円 | 1100円 | 1450円 | 1800円 |
初期費用 | 3000円 | ||||
最低利用期間 解約金 |
なし | ||||
通信速度 (超過後通信速度) |
150Mbps(110Mバイト超過時は200kbps) | 150Mbps(170Mバイト超過時は200kbps) | 150Mbps(3Gバイト超過時は200kbps) | 150Mbps(5Gバイト超過時は200kbps) | 500kbps(15Gバイト超過時は200kbps) |
データ通信量 (上限/期間) |
110Mバイト/日 | 170Mバイト/日 | 3Gバイト/月 | 5Gバイト/月 | 15Gバイト/月 |
SIMサイズ | 標準 micro nano |
||||
プラン名 | 110MB/日コース | 170MB/日コース | 3GB/月コース | 5GB/月コース | 500kbpsコース |
---|---|---|---|---|---|
月額料金 | 1600円 | 2080円 | 1800円 | 2150円 | 2500円 |
通話料 | 20円/30秒 | ||||
無料通話分(月間) | なし | ||||
通信速度 (超過後通信速度) |
150Mbps(110Mバイト超過時は200kbps) | 150Mbps(170Mバイト超過時は200kbps) | 150Mbps(3Gバイト超過時は200kbps) | 150Mbps(5Gバイト超過時は200kbps) | 500kbps(15Gバイト超過時は200kbps) |
データ通信量 (上限/期間) |
110Mバイト/日 | 170Mバイト/日 | 3Gバイト/月 | 5Gバイト/月 | 15Gバイト/月 |
SIMサイズ | 標準 micro nano |
||||
初期費用 | 3000円 | ||||
最低利用期間 解約金 |
6カ月 8000円(不課税) |
||||
高速化/容量追加オプション(価格/容量) | 500円/回 | 500円/0.5Gバイト | |||
MNP転入/転出 | ○/○(3000円) | ||||
音声通話オプション | 留守番電話(月300円)、キャッチホン(月200円)、国際ローミング(0円、以下同)、転送電話、迷惑電話、遠隔操作、着信通知、050 plus | ||||
備考 | 容量シェアのSIMカード追加は5枚まで可能 | ||||
※2015年5月11日時点。 |
評価:8.5/10
音声サービスを提供:1
MNPに対応:1
3つ以上のプランを提供:1
1000円以上で2Gバイト以上、または900円未満で1Gバイト以上のプランを提供:1
月7Gバイト以上、および無制限のプランを提供:0.5(月7Gバイト以上のみ)
通信規制なし:1(輻輳制御のみ)
SIMカードの追加:1
データ容量のシェア:1
通話料金の割引:0
固定回線とのセット割:1
本レビューの評価対象外ではあるが、設定方法を紹介しておこう。SIMカードを入手してから最初に行うのがAPN(アクセスポイントネーム)の設定。Androidの場合、APNを新規作成し、以下の通りに設定する。
APNの設定は、Ascend Mate 7の場合、「設定」→「その他」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」からアクセスできる。Ascend Mate 7は初期状態で主なMVNOのAPNがプリセットされており、「OCN モバイル ONE(LTE)」を選ぶだけでLTE通信が可能になる。
iPhoneの場合はあらかじめWi-Fiに接続し、「LTE端末用構成プロファイル」をダウンロードしてインストールする。ダウンロードはこちらのページから。端末ごとにファイルが用意されており、詳しい設定方法もこのページで確認できる。
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