日本マイクロソフトがソフトバンクと戦略的パートナーを締結 ━━LTE対応Surface 3はiPadのようにスタートダッシュを決められるか石川温のスマホ業界新聞

» 2015年05月29日 11時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 5月19日、日本マイクロソフトはNew Surface Press Conferenceを開催した。終了後、樋口泰行社長の囲みが行われた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年5月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


━━ 世界で初めてのLTEモデル発売となるが、このあたりは相当、こだわったのか。

樋口社長 「日本の場合、ネットワークをバンドルしたモデルの出荷が多い。日本ではきっちりとやっていかないと台数が広がらない」

(★ 通信料金と組み合わせて、分割で売れるのは魅力かと)

━━ WindowsPhoneはどういった考えなのか。

樋口社長 「いつもご指摘いただいていますが、全体のエコシステムをテコにしないと行けないので、まずはSurfaceでフットプリントを固めて、それをテコに相乗効果で進めていきたい。

 今回、Windows10で同じカーネルで展開できるようになり、AndoridやiOSのアプリもマイグレーションしやすくなった。これで他社のエコシステムをテコにできる環境が整ったので、我々にとっても、チャンスが出てくるのではないか」

(★ Surface3が売れたら、可能性はさらに出てくるのだろうか。いま、HTC One M8 for WindowsでWindows10を使っているけど、意外とちゃんとしていた)

━━ Windows10になって以降というイメージか。

樋口社長 「そうですね。それをテコに本格的に進めていきたい。追いかけるのは大変ですよね。ジワジワと」

(★ 追いかけても追いつくのは難しそうなので、独自で新しい市場を作っていくべきかと)

━━ 今回、ドッキングシステムでデスクトップのように使えるというのはビジネス向けを意識しているのか。

樋口社長 「やはり我々は過去の流れでお客様を保全するかたち、ソフトウェアもそうですし、周辺機器もそうですし、それを大事にしてきますので、Windows PC時代のエコシステムをしっかりとお客様に活用していただきながら、新しい世界にもいける。

 これはマイクロソフトならでは。さらにコンシューマー、パーソナルライフとビジネスライフの両方の解決策を提供できる。これは一貫した方針だと言える」

(★ マイクロソフトはこの現状にこれまで甘えてきた気がする。ここ最近は変わりつつあるから、結構、怖い存在かも)

━━ その点でいうと、今回、個人向けはWi-Fi版がなく、LTE版に一本化したのはなぜか。

樋口社長 「今回はかなり戦略的なパートナーシップでもありますし、この関係を最大限にブレイクさせるための意味合いがある」

(★ Wi-Fi版は残しても良かったような気もするが。法人向けにはあるわけだし)

━━ マイクロソフトとしては、はじめからこうした戦略的パートナーシップを求めていたのか、それとも結果的にこういうかたちになったのか。

樋口社長 「両方ですね。チャレンジャーの立場ですので、あまねくチャネルを持ってやるというよりも、本当に同じ気持ちで、ブレイクに向かってやるというパートナーがいれば、ぐっとフォーカスを当てる方がチャレンジャーとしては正しい選択かなと思う」

━━ 円安基調ということもあり、キーボードとペンをつけるとかなり割高に感じるように思えるが。

樋口社長 「為替というのはどうにもコントロールができない部分でもある。日本という市場だけを考えた場合、競争している相手も同じ条件にいる。ユーザーもそのなかでの比較ですので、あくまでそのなかで価値を追究していく」

(★ ホント、最近はスマホ、タブレット、パソコンが高くなった感があり、購買意欲を削がれてしまう)

━━ キャリアとの提携はソフトバンクと独占的に行われているのか。

樋口社長 「戦略的パートナーシップですね。細かい話になりますが、法律的なエクスクルーシブというのには当たらないです」

━━ ソフトバンクを選んだ理由を改めて教えて欲しい。

樋口社長 「チャレンジャーとして、後追いとして、ブレイクするという思いが合致した。エリック(・ガン)さんのパッション、命がけと言っていましたが、我々もそういうところを求めて、一緒にやっていきたい」

(★ 売ってくれるという点ではソフトバンクグループと組んで正解かも)

━━ 今回の提携はどちらから声をかけたものなのか。

樋口社長 「当然、製品情報をこちらから開示するまでは、先方は知る手段がありませんので、お声がけはこちらからということになります。エリックさんの熱意は最初から強かった」

(★ Nexus Playerを扱ってみたり、Surfaceを導入したりと、Apple Watchも世界で唯一扱うキャリアになるなど、ソフトバンクグループは手当たり次第という感もある)

━━ 法人向けの市場は大きいと捕らえているのか。

樋口社長 「日本の場合はコンシューマーのほうが新しいテクノロジーに飛びつくのが早く、法人のほうが周回遅れになることは多い。短期的にはコンシューマーのほうがボリュームが大きくなるとは思いますけど、長期的には法人向けがキャッチアップすると思う。ニーズとしては、会社のなかでWindowsアプリが動かないといけない、セキュリティがしっかりしてないといけない、管理性も求められるが、そこはWindowsがご評価いただいているので、根底にあるニーズの強さは法人ユーザーにある」

━━ いままで法人向けモデルはディストリビュータが拡販していたが、今回はそれらもすべてソフトバンクが扱うと言うことになるのか。

樋口社長 「ソフトバンクとの提携はLTEバージョンのみ。Wi-Fi版は従来と同じ。ソフトバンクがディストリビュータのひとつとして追加される」

━━ 法人向けでのWi-FiとLTE版との比率はどれくらいになりそうか。

広報担当 「開示はしていないが、三井住友銀行がWi-Fi版400台、LTE版600台という台数なので、LTE版の人気が高いのではないかという社内では分析している」

(★ 確かにLTE版は人気が出そうな感はある)

━━ 今後発売させる製品も、キャリアを絞るような売り方になるのか。

樋口社長 「そこはまだ何も決まってませんし、今回のパートナーシップの結果を踏まえた形になると思います。まだ何とも言えませんね」

━━ 法人から「回線はドコモがいい」というオーダーが来ても対応できないということか。

広報担当 「LTEについてはソフトバンクのネットワークのみとなります」

(★ ドコモで使いたいというニーズはありそう。何か裏交渉でドコモSIMで使えるルートがありそうな気もするけど)

━━ 企業向けだとドコモ回線のニーズもあるようだが、それはどうなんでしょう。

樋口社長 「仰るとおり、要望に対応しようとすると、あまねく対応することになる。チャレンジャーで、まだまだシェアが低い状態で、全部対応するというよりも、まずは一点突破というかたちですね」

━━ ワイモバイルで扱うと言うことで、どれくらい販路が広がるイメージになるのか。

樋口社長 「キャリアショップという意味では初めてになりますね。量販店のなかのキャリアショップというのも初めてになります」

━━ 家電量販店のパソコン売り場にもワイモバイルと一緒に置いておくのか。

樋口社長 「ありますね、LTEバージョン。違う場所にWi-Fiバージョンが置かれる可能性が将来的にはあるかもしれないが、当面はないです」

広報担当者 「キャリアさんの売り場となると、家電量販店の1階にあるので、お客さんの目に触れることが増えると思います。通常、パソコン売り場はもっと上の階なので」

━━ Surface Pro3とSurface3、どのように売り分けていくのか。

樋口社長 「よりパワフルなCPUを使って大画面というのが一番、大きく違うところ。細かいところでは向こうは無段階で、こちらは3段階(に開く)など、あとはペンが標準で着くか着かないかなどですね」

(★ Surface Pro3のLTE版も出たりしないのかな)

━━ どちらかをフォーカスして法人に売るというのは考えていないのか。

樋口社長 「そうですね。負荷が高いものを動かすとなるとProということになりますし、細かい数字を扱うとなると大画面が必要になるのではないか。

 従来のRTバージョンのような区分けは無くなりますね。インテルチップの上位・下位バージョンということになります」

■取材を終えて

 「ワイモバイルがSurface3を取り扱う」と聞いて、意外な感じもしたが、よくよく考えると、前身のウィルコムは長らくW-ZERO3シリーズを扱っていたし、イーモバイルも「EM・ONE」なんて機種があった。つまり、ワイモバイルをたどれば、マイクロソフトと仲が良かったというわけだ。

 宮内社長も「PHSユーザーをスマホに乗り換えさせたい」というならば、是非ともWindows PhoneでW-ZERO3シリーズを復活させて、かつてウィルコムを使っていたユーザーに訴求すればいいのではないか。

 Windows10デバイスをシャープが作ったりすると、面白いことになりそうなのだが。

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