皆さんは覚えているだろうか。場の勢いに任せて発売日購入した筆者の「Surface 3」に、ドコモとKDDI(au)のSIMカードを差してみたことを。
この検証で、ソフトバンク(Y!mobile)のネットワークに最適化されているというSurface 3は、ドコモの3G(FOMA)・LTE(Xi)ネットワークやauの4G LTEネットワークでも使えることは確認できた。
キャリア | Band 1(2.1GHz帯) | Band 3(1.7GHz帯) | Band 8(900MHz帯) |
---|---|---|---|
Y!mobile (ソフトバンク) |
○ | ○ | ○ |
NTTドコモ | ○ | ○ | × |
au(KDDI) | ○ | × | × |
キャリア | Band 1(2.1GHz帯) | Band 8(900MHz帯) |
---|---|---|
Y!mobile (ソフトバンク) |
○ | ○ |
NTTドコモ | ○ | × |
au(KDDI)※ | × | × |
※auは3Gの通信規格が異なるため、周波数帯が合致していたとしても通信不可 |
本稿では、ドコモ・au・Y!mobileのモバイル回線を利用して“快適”に通信できるかどうか、東京都内4カ所で行ったスピードテストを通して検証する。ネット接続サービスは、ドコモ回線は「mopera U」、au回線は「LTE NET for DATA」、Y!mobileは「スマホプラン」に付帯するネット接続サービスを利用した。
利用したスピードテストは、Studio Radishが提供する「Radish Network Speed Testing」を利用した。このテストは、Javaアプレットで計測するものとしては定番だ。計測サーバーは東京、精度は「高」、データは「圧縮効果低」を選択した。計測は各キャリアで3回実施し、下り(受信)速度が一番良好だった回の結果を掲載している。
順当に行けば、“最適化”されているY!mobileが一番快適――なはずだが、結果はいかに?
まずは、平日の11時30分ごろの「Cafe ルノアール ヨドバシAkiba横店」で計測した。筆者は、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaで買い物をする(よく考えたら、このSurface 3もここで買った……)のだが、買い物後の休憩はたいていこのお店に入るから、という理由でチョイスした。
落ち着いた雰囲気の客が多い中、あくせくSIMカードを入れ替えつつ計測した結果は、以下のとおり。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
---|---|---|
ドコモ(mopera U) | 32.58 | 3.886 |
au(LTE NET for DATA) | 16.12 | 4.209 |
Y!mobile(スマホプラン) | 19.15 | 20.61 |
下り通信速度はドコモ、上り通信速度はY!mobileが一番となった。ただ、3キャリアともに実用的な通信速度は確保できている。これだけ速度が出れば、メールやWeb閲覧でストレスを感じることは、ほぼない。
次に、東京都港区にあるアイティメディア本社6階の窓際で速度を計測してみた。“花の金曜日”という雰囲気をみじんも感じさせない17時30分前後に、社内のミーティングスペースで誰かから気にとめてもらうことなく計測した。結果は、以下の通り。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
---|---|---|
ドコモ(mopera U) | 14.94 | 4.541 |
au(LTE NET for DATA) | 21.22 | 6.998 |
Y!mobile(スマホプラン) | 18.55 | 20.23 |
下り通信速度はau、上り通信速度はY!mobileが一番となった。ここでも、各キャリアともに実用的な通信速度を確保できている印象だ。Y!mobileは、上りに力を入れている、と言わんばかりの好成績である。
次に、東京都足立区にある筆者の自宅でテストしてみた。筆者は、生まれてこの方冷房設備のある家に住んだことがない。Surface 3はファンレス構造である。となると、筆者宅では熱によるパフォーマンス低下がすごく気がかりだ。そこで、扇風機でSurface 3を冷やしつつ計測してみた結果は、以下のとおり。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
---|---|---|
ドコモ(mopera U) | 29.62 | 28.27 |
au(LTE NET for DATA) | 33.16 | 11.85 |
Y!mobile(スマホプラン) | 30.41 | 27.31 |
下りはau、上りはドコモが一番となった。ただし、言い飽きてきた感もあるが、どのキャリアも実用的な通信速度は確保できている。
最後に、世間の子どもたちは夏休みということで、行楽地を代表して東京都荒川区の「あらかわ遊園」で速度を計測してみた。あらかわ遊園は、日本一“遅い”ジェットコースター「ファミリーコースター」で有名だが、さすがにジェットコースターで計測するのは難しいので、観覧車にひとりで乗って速度計測をしてきた。各キャリアそれぞれ、観覧車が1周する間に計測を行った。その結果は、以下の通り。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
---|---|---|
ドコモ(mopera U) | 19.66 | 13.53 |
au(LTE NET for DATA) | 5.799 | 11.78 |
Y!mobile(スマホプラン) | 13.96 | 13.38 |
下り・上りともにドコモが一番良好な結果を残した。auは下りの通信速度が若干厳しい結果となった。メインのBand 18(800MHz帯)を利用できないことが、ここに来て初めて響いたのかもしれない。ただし。Y!mobileは、速度計測中に接続が不安定になる場面があり、一度計測をやり直している。
テスト前、筆者はSurface 3の対応周波数帯的に「Y!mobile優位・ドコモ次点・au圧倒的不利」という結果になるのではないかと予想していた。しかし、計測を実際にやってみると、ドコモやauでも比較的快適な通信ができることが判明した。この様子なら、Surface 3を“単品”で購入して、キャリアショップに持ち込んで新規契約、あるいはMVNOの「格安SIM」と組み合わせて使うことも十分あり得る選択肢となりそうだ。
ただし、今回のテストは、携帯電話のエリア整備が比較的進んでいる都内で計測した点には注意したい。山間部などでは、いわゆる「プラチナバンド」で利用できるY!mobileの方が使い勝手が良いはずだ。対応周波数帯と、エリアマップと“にらめっこ”して、契約するキャリアを選択すると良いだろう。
最後に、対応するWebサイト(サーバー)が増加傾向にある「IPv6」に対応しているかどうか確認してみた。現在のところ、IPv6のみ対応しているサイトはめったにないので、非対応でも困ることは特にない。しかし、将来的にIPv6専用サイトが増えることを見据えると、対応していた方がより良いことは言うまでもない。
今回利用したネット接続サービスのうち、mopera UとLTE NET for DATAは、サービス紹介ページにIPv6対応が明記されている。Y!mobileのスマホプランについては、Webページ、サービスガイドなどを参照する限り、IPv6への対応は明記されていない。
Surface 3のSIMカードスロットに、各社のSIMカード(厳密には「UIMカード」または「USIMカード」)を挿入して、ネットワークのステータスからIPv6接続できているか確認してみよう。まずは、ドコモから。
問題なくIPv6接続が確立できた。次に、au回線で接続してみよう。
au回線も問題ない。それでは、次にY!mobile回線を。
残念ながら、Y!mobileではIPv6接続できないようだ。どうしてもIPv6対応のモバイル接続が必要ならば、回線の選択肢は、以下のとおりになる。
繰り返しだが、今のところIPv6未対応でも、現状のインターネットにおいてほとんど問題は起こらない。あくまで参考情報として心にとめておいてほしい。
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