XPの採用によるバッテリー駆動時間の変化もチェックした。VAIO type Pはスリムボディを実現するため、薄型のリチウムイオンポリマーバッテリーを採用する。標準バッテリーは容量が7.4ボルト 2100mAh(重量約145グラム)で、別売の大容量バッテリーパックLは7.4ボルト 4200mAh(重量約263グラム)だ。バッテリーパックLを装着すると、重量は約118グラム増え、本体後部が約11ミリ盛り上がり、キーボードに角度が付く。
公称のバッテリー駆動時間は、店頭向けのVistaモデルが標準で約4.5時間、大容量で約9時間、店頭向けのXPモデルが標準で約4時間、大容量で約8.5時間と30分ずつ短くなっている。これはVistaのほうがXPより省電力機能に優れているからだ。
ここではできるだけ同条件で、標準バッテリーとバッテリーパックLの駆動時間を比較した。テストにはBBench 1.01(海人氏作)を使用している。BBenchの設定は、10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行うというものだ。電源プランは「VAIO標準設定」、ワイヤレス通信機能はオン(ワイヤレスWANはオフ)、ディスプレイの輝度は最大、音量は半分(ヘッドフォン装着)といった状態で、満充電からバッテリー残量がなくなり自動で休止状態に移行するまでの時間を計測した。
テスト結果は公称値とは異なり、店頭向けXPモデルのVGN-P50/Gが最も長時間のバッテリー駆動が可能だった。標準バッテリーで2時間50分、バッテリーパックLでは6時間を超える連続駆動が行えたため、バックライト輝度を下げて省電力効果が高い設定にすれば、外出先での長時間運用にも十分対応できそうだ。Vistaモデルに関しては、XPより詳細な電力設定に対応しているため、もっと省電力を重視した設定にすれば、XPモデル以上の連続駆動も行えるだろう。Atom Z550(2.0GHz)と128GバイトSSD搭載のハイエンドな構成は、さすがに駆動時間では分が悪かった。
VAIO type Pのメリットの1つにファンレス設計が挙げられる。これにより、動作音は非常に静かで、SSD搭載機はほぼ無音となるが、ファンがないぶん、放熱は周囲の温度の影響を受けやすい。OSやパーツ構成の違いでボディの表面温度にどのような変化が生じるのか、表面温度を放射温度計で計測してみた。
計測したのは、起動から30分間アイドル状態で放置した状態、そこからシステムに高い負荷を30分間かけ続けた状態の2パターンだ。電源プランは「VAIO標準設定」を選び、スクリーンセーバーはオフに設定し、アイドル状態から一定時間経過してもディスプレイの表示やストレージの電源がオフにならないように設定した。
ボディの部位は、キーボードの左半分/右半分、スティック型ポインティングデバイス、クリックボタン、底面の左半分/右半分を計測した。各部で最も高温になる部分を探して、温度を計測している。テスト時の室温は約25〜26度だ。従来機のテスト時より室温が少し高いため、ボディの温度も少し高めに推移している。
ボディの発熱は、アイドル時でXPモデルが少しだけ高いという結果になった。大きな差ではないが、Vistaとの電源管理の違いが多少は現れたと思われる。高負荷時では、ハイエンドな構成の直販モデルのほうがやや熱くなった。Atom Z550(2.0GHz)のTDP(熱設計消費電力)は2.4ワットとAtom Z520(1.33GHz)より0.4ワット高く、フラッシュメモリ両面実装の128GバイトSSDを備えていることから、やはり発熱量に差がある。
全体の傾向としてはVistaモデルもXPモデルも変わらず、通常時でもボディ全体が温まりやすく、システムの高負荷時にはキーボードの左手前から中央部と、底面の左側から中央部が熱くなりやすい。これからの季節は気温も上がってくるので、周囲や設置場所の温度には気を付けたほうがいいだろう。
次のページでは、これまでの検証結果を総括する。
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