HPの力作ワークステーション「HP Z600」をチェックした:元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2009年06月24日 11時11分 公開
[元麻布春男(撮影:矢野渉),ITmedia]

Z800の弟分となるZ600シリーズ

「HP Z600 Workstation」

 日本ヒューレット・パッカード(HP)の「HP Z Workstation」シリーズは、高負荷・長時間連続稼働という、ワークステーション本来の使われ方を念頭に置いて設計・開発されたシステムだ。その頂点に立つのが前回取り上げたZ800シリーズだが、そこまでの拡張性やヘビーデューティを求めないユーザー向けに用意されるのが、ミドルレンジのZ600シリーズである。ミドルレンジといっても、NehalemアーキテクチャのXeonプロセッサの2ソケット構成に対応し、セルフチェック機能付きの高効率電源(80 PLUS BRONZE)など、Z800シリーズのエッセンスを色濃く受け継いだ弟分的な存在となっている。

 外観上の大きな違いは、Z600のボディサイズが165.3(幅)×440(奥行き)×445.1(高さ)ミリと、横幅および奥行きが小さくなっていること。パッと見には2ソケットのワークステーションとは思えない、スリムなプロポーションだ。これに伴い標準構成時の重量も約16.9キロと、Z800の約21キロから4キロあまり軽量化された。とはいえ、標準的なタワー型PCが10キロ程度であることを考えると、十分にヘビー級であり、Z800同様、ボディ上部に設けられた埋め込み式のハンドルが設置時、あるいは持ち運び時にありがたい。

 ボディの両側面が厚手のアルミパネルで構成されており、向かって左側のパネルが自動車のドアのようなラッチで取り外し可能な点は、上位モデルのZ800と同じだ。違いはサイドパネルを開けた内部にある。

Z800に比べて横幅がスリムになった
奥行きも85ミリ短くなり、Z800にあったフェアリングも省かれている
前面からアクセスできる5インチベイが3基から2基に減った

Z800とZ600にはケース上部に2つのハンドルが用意されている
ハンドルがボディから出っ張らないスマートなデザインだ
重量は約16.9キロあるが、ハンドルのおかげで移動はしやすい

ミドルレンジながら十分な拡張性を備える

重厚感があるアルミ製のサイドパネル

 サイドパネルを開けてまず気がつくのは、Z800シリーズで目に飛び込んできた、ボディのほとんどを覆うフェアリングがないことだ。Z600シリーズではメモリモジュールの数(12→6)、HDDの搭載数(4→2)が減っており、発熱源が減少したことを受けてのものだろう。

 Z600シリーズでフェアリングと呼べるのは、ボディ最上部にあるメモリスロット用(冷却ファン内蔵)くらいだ。この下にはCPUソケットあたり3本、計6本のDIMMスロットがあり、ECC付きのアンバッファドメモリをサポートする。最大で4GバイトのDIMMを6枚利用して、24Gバイトまでメインメモリを搭載することが可能だ。

 メモリスロット直下にあるCPUソケットは、フェアリングを省略できるよう(前にあるCPUの排気が後ろにあるCPUを完全に直撃しないよう)、上下にずらして搭載されている。ハイエンドのZ800シリーズではTDP130ワットのハイエンドCPUまでサポートしていたが、このZ600シリーズがサポートするのはTDP95ワットのCPUまでだ。とはいえこのスペックで、2.93GHz駆動のXeon X5570を最大2基搭載できるのだから、よほどのことでもない限りCPUパワーに悩むことはないはずだ。

メモリスロットの上部に取り付けられた冷却ファン
2基のCPUを搭載できる
Xeon E5504(2.0GHz)〜X5570(2.93GHz)までのCPUを選択可能

 CPUソケットの前方にあるドライブベイは、HDD用の3.5インチベイと前面アクセス可能な5インチベイが各2つずつある。両方ともネジ回しなどの工具が要らない構造になっている。光学ドライブはベイの横にあるタブを引き上げることで、HDDはハンドルを引き下げることで、それぞれ取り外すことが可能だ。HDDのマウンタも含め、これらの機構はZ800とZ600で共通になっている。Z800との違いはドライブベイの数が4基から2基に減っていることと、それに伴ってHDDベイ後方の冷却ファンが省略されていることだ。

 ドライブベイ後方、CPUソケットの下には拡張スロットがある。グラフィックス用のPCI Express Gen2 x16スロット2本に加え、PCI Express x4スロットが2本(メカニカル的にはx8コネクタを採用)、そしてPCIスロットが2スロットの計6本だ。グラフィックス用スロットの対応は、3Dミドルレンジ(NVIDIA Quadro FX1800)までのSLIに対応し、3Dハイエンド以上(NVIDIA Quadro FX 3800/4800/5800、ATI FirePro V7750)は単体利用のサポートとなる。

HDDベイは2基用意される
アタッチメントを取り付けるだけで搭載可能だ
5インチベイのドライブもレバー操作だけで着脱できる

グラフィックスカードの取り外しも工具が不要だ(写真=左)。NVIDIA Quadro FX 4800を搭載したグラフィックスカードを選択できる(写真=右:ベンチマークテストはQuadro FX 1800で実施)

80 PLUS BRONZE認定の電源ユニットを採用

 こうしたスペックをサポートするZ600シリーズのマザーボードは、上位のZ800シリーズと同じIntel 5520チップセットを用いたもの。オンボードのSAS(Serial Attached SCSI)コントローラは省略されているため、SAS HDDを利用する場合はオプションのアダプタカードが必要となる。5インチベイの部分は、コネクタを斜めに配置して光学ドライブの奥行きを確保するなど、ボディと一体の設計がなされた専用品だ。

 Z600シリーズは、重量はともかく、このクラスとしては比較的コンパクトなボディサイズの割に内部の拡張性が高い。それを支える電源ユニットは、出力650ワットで80 PLUS BRONZE認定(電源効率85%)のもの。ボディの最下部に取り付けられており、単体でのセルフチェック機能を持つ。ハンドルで簡単に取り外せることはZ800シリーズの電源ユニットと同様だが、Z800の電源が一切のケーブル接続を必要としなかったのに対し、本機の電源はグラフィックスカードへの補助電源用にケーブルの接続が必要となる。

Intel 5520チップセットを搭載した独特な形状の専用マザーボードを採用する(写真=左)。Z800と違ってSASインタフェースをオンボード実装しない。こちらはマザーボードの裏面(写真=右)

電源ユニットは底面にあり、ハンドル操作だけで着脱できる(写真=左)。電源やHDDベイ、メモリや冷却ファンを省いた状態のケース側面(写真=右)

 次のページでは、ベンチマークプログラムを使ってZ600とZ800、および一般的なPCのパフォーマンスを比較しよう。

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