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» 2009年06月24日 11時11分 公開

元麻布春男のWatchTower:HPの力作ワークステーション「HP Z600」をチェックした (2/2)

[元麻布春男(撮影:矢野渉),ITmedia]
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ベンチマークテストのスコアは64ビット版が良好

 さて、このZ600シリーズでも前回同様のベンチマークテストを実施してみた。評価機の構成は下の表に示した通りだが、PCI Expressスロットにホストアダプタを装着し、SASのHDDを利用しているのが、標準構成と大きく異なる部分だ。15000rpmのSASドライブは7200rpmのSATAドライブより確実に高速だが、評価機では64ビット版Windows Vista Business(SP1)のWindowsエクスペリエンスインデックスの計算が、HDDのところで終了してしまう問題が発生した(一般的な使用に際して特に問題は生じなかったが)。オンボードにSASインタフェースを持つZ800では生じなかったこと、コントローラチップは同じLSI Logic製であることを考えると、ファームウェアが異なることが理由かもしれない。

 前回とのもう1つの大きな違いは、利用したOSが64ビット版であることだ。プリインストールはダウングレードの64ビット版Windows XP Professional(SP2)だったが、ダウングレード前の64ビット版Windows Vista Business(SP1)に戻した状態でテストを実行している。

テストに試用した構成
項目 Z600(評価機の構成) Z800(評価機の構成) 比較用PC
CPU Xeon X5560(2.8GHz)×2 Xeon W5580(3.2GHz)×2 Core i7 Extreme 965 (3.2GHz)
マザーボード HPオリジナル Intel DX58SO
チップセット Intel 5520 Intel X58 Express
メモリ 4GB×4(ECC付きDDR3-1333) 1GB×4(ECC付きDDR3-1333) 1GB×3(DDR3-1333)
グラフィックス NVIDIA Quadro FX 1800(G94コア) NVIDIA Quadro FX 4800 (GT200GLコア) ATI Radeon HD 4850
グラフィックスメモリ GDDR3 768MB GDDR3 1.5GB GDDR3 512MB
SAS I/F LSI 3041E(PCI Expressカード) LSI Logic(オンボード)
HDD SAS 147GB×2(富士通 MBA3147RC) SAS 147GB(富士通 MBA3147RC) Serial ATA 500GB(HDS725050KLA360)
光学ドライブ 日立LGデータストレージ GH40L
OS 64ビット版Windows Vista Business(SP1) 32ビット版Windows Vista Business(SP1)

 テストの結果は、おおむねZ800シリーズの結果を少しづつ下回る、という状態だ。これは、CPUのクロックが3.2GHzから2.8GHzに下がっていることからも納得できる。SPECviewperf 10.0のスコアが下がっているのは、グラフィックスカードがハイエンド3DのQuadro FX 4800から、ミドルレンジのQuadoro FX 1800になっていることも影響しているだろう。

 また今回は、せっかくの64ビットOSということで、利用できるものに関しては64ビット版も実行してみたが、おおむね64ビット版OS上で32ビット版のテストを実行するよりもよい結果が得られた。利用可能なメモリ容量1つを考えても、ワークステーション用OSとしては64ビットOSを主流に据えたいところだが、性能的にも64ビットOSを中心に考えたい。64ビット版での互換性が問題となりがちなコンシューマー用途と異なり、ワークステーション用途であれば、メインアプリケーションの対応さえ確認できれば移行は比較的容易だと思われる。

PCMark05のテスト結果
PCMark Vantageのテスト結果
CrystalMark 2004R3のテスト結果

CINEBENCH R10のテスト結果
SPECviewperf 10.0のテスト結果その1
SPECviewperf 10.0のテスト結果その2

Z800とのすみ分けがやや微妙だが省スペース性や静音性は魅力

Z800(奥)とZ600(手前)

 Z600シリーズで難しいのは、上位のZ800シリーズとのすみ分けだ。本機の最小構成での標準価格は16万8525円から(OSなしモデル)で、同等のCPUやグラフィックスオプションを選択した最小構成のZ800シリーズとの価格差は3万5000円程度に過ぎない。この差額によりZ800のユーザーは、より大きな性能上のヘッドルーム、TDP130ワットのCPU、2倍に相当する12本のメモリスロット、4つのHDDベイ、ハイエンドグラフィックスカードのSLIにも対応可能な強力電源(1110ワット)といったスケーラビリティを手にすることができる。もちろん、冷却効果を高めるフェアリングなど、スペックには表れない部分の差もある。

 一方Z600シリーズの利点は、価格が若干安い以外に、省スペースであること、動作音が静かであることが挙げられる。Z800の動作音は、ファン数や拡張性を考えれば静かであるものの、Z600の動作音はそれより確実に低い。一般オフィスにPCと混在させる場合、より違和感が少ないのはZ600シリーズだろう。

 Zシリーズは、拡張性と長期に渡る動作安定性、高性能を高い次元でバランスさせることを念頭に置いて開発されたワークステーションだ。ボディ1つをとっても、HPが本気を出して開発にあたったことが見て取れる。その割には、最小構成の価格は比較的リーズナブルで、例えばアップルのMac Proよりも手を出しやすい。

 唯一残念なのは、上位のCPUを選択したり、2ソケット構成を選択したりした場合に価格が跳ね上がることだろう。これはインテルの出荷価格のこともあり、日本HPだけでは解決しない問題なのかもしれないが、もう少し手の出しやすい価格設定が望まれる。ユーザーとしては、日本HPが定期的に行うキャンペーンなどをうまく利用したい。9月30日まで開催されている「HP Z600/CT Workstation 七福神プラス 大黒キャンペーンモデル」ならば、最小構成の価格は12万9150円から購入可能だ。

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