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» 2012年05月25日 11時24分 公開

インドのムンバイで携帯電話を探してSIMカードを買う山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

[山谷剛史,ITmedia]
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文字が読めなくても使えることが必要なのです

 ムンバイ屈指のビジネスエリアでは、タブレットデバイスやiPhoneを使うエリートサラリーマンがほかに地域に比べて多い。ただ、ほとんどの場所ではスマートフォンよりフィーチャーフォンの利用者が多い。サラリーマンもフィーチャーフォンを利用している。

 IT関連の話題でインドに接する日本人のなかには、インド人の多くが英語を話せるイメージを持っているようだが、現実には、英語ができるどころか、識字率も60〜70パーセント程度といわれており、現在でも文字が読めない人も少なからずいる。ただ、そういう人たちも、文字はよく分からないけれど、携帯電話を所有して音楽再生は利用したいのは変わらない。

 フィーチャーフォンでは「GSMのみサポート、デュアルSIMスロット搭載、FMラジオ、音楽再生、カメラ付き」が人気で、さらに「懐中電灯代わりのLEDライト」があるとそのモデルを選ぶ傾向がある。QWERTYキーボード搭載モデルも人気だ。そんなムンバイにおけるユーザーの志向もあってか、Nokiaは、モノクロ液晶ながら音楽再生に対応するエントリーモデル「Nokia 103」を投入している。待受時間は、なんと「27日間」だそうな。

 Nokia 103の値段は日本円にして、約1700円だ。インドの携帯電話専門雑誌「MY MOBILE」では、携帯電話の価格帯を「〜2499ルピー」(〜4500円)のサブエントリーモデル、「2500〜5999ルピー」(4500〜1万800円)のエントリーモデル、「6000〜11999ルピー」(1万800〜2万1600円)のミドルモデル、そして、「12000ルピー〜」(2万1600円)のハイエンドモデルに分けている。なお、スマートフォンは「エンタープライズモデル」として、価格帯の区切りとは別にしている。

 混沌とした下町の携帯市場で、日本人が「安い携帯電話のないの?」と尋ねようものなら、いきなり高値をふっかけられ、こちらからWebページで事前に調べた価格を突きつけると店長も興奮して反論する。そうこうしていくうちに、興奮した日本人と店長の口げんかという、めったに見られない“イベント”に興味を持ったギャラリーが続々と集まるという、実に困った事態となる。

 ムンバイでこういうトラブルに巻き込まれることなく、平穏無事に携帯電話端末を“安く”買うにはどうすればいいかいうと、実は、見た目は富裕層限定という雰囲気を思いっきり出していたガラス張りのショップでも、割と安価なインドメーカーのフィーチャーフォンを売っているので、そういったところで「落ち着いて」買えばいいだろう。

カオスを乗り越えて買うプリベイドSIMカード

 携帯電話を購入できたら、次はSIMカードを手に入れよう。ムンバイで購入するのは可能だが、ほかのアジア諸国と比べるとSIMカードの入手は面倒だ。海外からムンバイを仕事や観光で“一時的に”訪れてSIMカードを入手する必要がある場合は、購入する時間は長めに見積もっておきたい。

 今回、ムンバイでSIMカードを利用するのに厄介なことが2つあった。1つは、州ごとに通信業者の展開状況が異なり、3Gにしても州ごとに利用できる通信会社が異なる点だ。ムンバイでは、有力な財閥が運営する「Tata」と、日本のドコモが共同で展開する「Tata DoCoMo」というキャリアがある。日本人としては、TaTa DoCoMoを選びたいところだが、ムンバイで「3Gサービスを利用したいのですが」と尋ねてみると、「ムンバイで3Gサービスはまだです」との回答だった。ちなみに、インドにおけるインターネット上の公用語は英語が主流だ。Tata DoCoMoのサイトにはチャットサポートがあり、やはり英語で利用できる。

 その、TaTa Docomoのチャットサポートは、「ムンバイでは2Gデータプランが利用できます。1日間5ルピー(8円)で50Mバイトまで、2日間11ルピー(20円)で150Mバイトまで利用可能なプランがあります」という。なんと、電車の切符代、チャイ大盛一杯程度で1日データ通信を利用できるのだから安い。ちなみに1カ月だと夜利用限定で33ルピー(60円)、時間問わず80Gバイトまで149ルピー(270円)だ。中級レストランの1食分で契約できるのだから安い。チャットサポートはムンバイにある大きなキャリアショップの場所まで教えてくれた。ありがとう。

ムンバイにある「TaTa Docomo」ショップ(写真=左)。ムンバイでは、AirtelやVodafoneが3Gサービスを提供している(写真=右)

 もう1つ、ムンバイで携帯電話を契約するのに厄介な点は、有効期間の長いパスポートを提出しなければならないことだ。これは、今回契約したTata DoCoMoだけでなく、Vodafoneといったほかのキャリアでも同様だ。日本人はインドの国際空港でビザを取得して入国できるが、この入国用のビザは有効期限が短いため、ムンバイで携帯電話の契約をする場合には利用できない。ムンバイでは、インターネットカフェを利用するときにもパスポートの提示を求められたこともある。今回も訪れたキャリアショップはパスポートをチェックして契約を拒否してきた(ただ、キャリアショップによって、対応が異なるという情報もある……)。

 キャリアショップで契約を断られた旅行者は、路上で屋台を広げている“SIMカード売りの青年”に、SIMカードを買いたいと聞くといい。ここでも、パスポートの提出を求められるが、キャリアショップのような厳格なパスポートチェックはない。とはいってもパスポートのコピーは取られてしまう。その上で、Tata DoCoMoのSIMカードを購入できた。ただ、市場価格よりもかなり高い。日本人の価格感からするとそんなに高い買い物ではないが、「ぼったくられるのは嫌」という場合は、地元に住む同行者に交渉してもらうか、(大抵の場合、そういう知り合いはいないと思うので)旅行者独特の“オーラ”を隠して交渉するかのいずれかを選ぼう。

路上でプリペイドSIMカードを売る青年たち(写真=左)。扱うキャリアは多種多様だ(写真=右)

 プリベイドのチャージはキャリアのロゴを掲げている店や屋台で簡単にできる。100ルピーを差し出して「100ルピーチャージよろしく」と英語でいえば、店員はさくっと手続きしてくれる。データ通信の設定は、チャージした後に、特定の電話番号に電話をかけると表示する設定画面でできる。事前にキャリアのWebページにあるユーザーサポートで確認するといい。

 いろいろと、厄介な事情を抱えたムンバイでの携帯電話とSIMカードの購入だが、「事前にキャリアのWebページで確認する」「旅行者オーラを出さない」が何よりも大事ということで。

屋台で購入したTaTa DocomoのプリペイドSIMカード(写真=左)。データ通信の設定やチャージ状況は特定電話の番号で行う(写真=右)

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