スマートフォンとケータイの垣根をなくす――auのスマートフォン戦略:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2010年04月15日 10時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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グローバル展開のメリットと、日本市場のニーズのバランスを取る

―― IS seriesでは、スマートフォンにも日本のケータイ機能を積極的に搭載していくことを表明していますね。

Photo 「これからスマートフォン市場が拡大するにしても、日本のケータイが当たり前にできることを(スマートフォンでも)できないと、ユーザーがハードルを越えられないのです」

重野 ええ。キャリアメール、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイなどは、日本市場のスマートフォンとして必須の機能だと考えています。IS01ではキャリアメール(Eメール)とおサイフケータイが間に合いませんでしたが、キャリアメールは夏頃に遅れてソフトウェアのバージョンアップで対応する予定です。おサイフケータイについては、IS01のコンセプトそのものが2台目向けなので見送りましたが、今後投入する1台目向けのスマートフォンでは対応します。

―― IS seriesでは、基本的にそれら日本のケータイ機能に対応していく計画なのですか?

重野 むろん、すべてではありません。最終的にはメーカーとの調整になります。IS02のようにグローバルモデルとの共通性が高いモデルも今後導入していきますから、グローバル仕様に近いスマートフォンのラインアップも増えるでしょう。しかし、我々としては、日本のスマートフォン市場には、主要なケータイ機能を移植したモデルが必要である、と考えています。

―― auのスマートフォン戦略は、ドコモやソフトバンクに比べると、「ケータイの延長線上」をより重視している印象ですね。グローバルモデルをそのまま持ってくるのではなく、きちんと日本市場に合わせたローカライズされたスマートフォンを投入していく、と。

重野 日本では「iPhone以外のスマートフォンは売れていない」のです。これはなぜかと考えますと、日本のケータイはやはり世界でも進んでいて、iPhoneぐらい独自の魅力や訴求力がないと、ごく一般的なユーザーにスマートフォンを使っていただくことは難しいのです。特に1台目としてスマートフォンを持っていただくには、今のケータイに比べて足りない機能がいっぱいあります。これからスマートフォン市場が拡大するにしても、日本のケータイが当たり前にできることを(スマートフォンでも)できないと、ユーザーがハードルを越えられないのです。

―― 日本市場で見ると、ケータイとスマートフォンのいいところが融合していくことが重要ですね。

重野 もちろん、ケータイ機能の何もかもをスマートフォンに移植するというわけではありません。日本特化の機能ばかり詰め込んだら、オープンプラットフォームのよさが損なわれてしまいます。しかし、最低限、必要なものはケータイからスマートフォンに持ち込まないといけません。重要なのは両者のバランスで、ここは1か0かといった白黒がはっきりつくことではないから難しいのです。

―― あのiPhoneでさえ、日本できちんと売れるようになるには、Appleだけではどうしようもありませんでした。ソフトバンクモバイルと共同で、キャリアメールや絵文字、ワンセグといった“日本のケータイ”の基本要素を取り込むことで、一般ユーザーの食指が動くものになった。

重野 そのとおりです。オープンプラットフォームのよさや、グローバル展開のメリットと、日本市場のニーズをどのようにバランスさせていくか。この見極めが、今後のスマートフォン市場において重要になるでしょうね。

スマートフォンを「新しいカテゴリーのケータイ」に

―― auとしては、今後のスマートフォン市場にどのような姿勢で臨むのでしょうか。

重野 我々が一番やりたいのは、一般の、ごく普通の人たちが「使いたい!!」と思うようなスマートフォンを作ることです。今は“スマートフォン”という特別な言葉でケータイと区別していますけれど、いずれはそのような言葉がなくなるくらい、(スマートフォンは)普通の端末になっていきますし、そうならなければならない。

 一度スマートフォンに触れたら、多くの人が、これまでのケータイの世界は窮屈でもう戻りたくないと感じるでしょう。この点が、スマートフォンの、今のケータイより優れている部分なのです。このよさは生かしながら、今のケータイの世界の方が先行している部分は、しっかりとスマートフォンに取り込んでいく。スマートフォンとケータイの“いいとこ取り”をしていくことで、(スマートフォン市場に)普通の人が当たり前に使える「新しいカテゴリーのケータイ」を育てていきたいですね。

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