「総務省の“天の声”で1事業者に決めていいのか」――携帯向けマルチメディア放送の行方:民主党が「勉強会」を開催(2/2 ページ)

» 2010年08月04日 10時11分 公開
[田中聡,ITmedia]
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2事業者で競争するのも1つの選択肢――小野寺氏

 最後に高井氏は、mmbiとMJP両社に「受託放送事業者を1社にすべきか」「マルチメディア放送はビジネスとして成り立つのか。ハードが決まってもソフトが流れない事態もあり得るのでは」と質問を投げかけた。

 mmbi陣営はドコモの山田氏が「お客さんの利便性と投資効率の観点から、1社がいい」と回答。「2方式にすると対応端末が2種類になるので、一方の放送が受信できなくなる。さらに、帯域が半分になるとコンテンツの量も減る」といったことを危惧した。後者の質問には、「甘くないけどしっかりやれば花が開く。マルチメディア放送は、地上放送の最後のメディア。新産業を立ち上げる大きなエポックメイキングだ」と力説した。

photo KDDI代表取締役社長兼会長 小野寺正氏

 一方、MJP陣営は「最終的にはお客さんの選択になるだろうが、2社でも参入したい」(増田氏)とのスタンス。小野寺氏も同意見で、「競争を生み出すことは1つの選択肢。ケータイもドコモとauでシステムが違う中で競争させてもらっている。国際競争力をみても、MediaFLOがいいか悪いかでなくて、日本のメーカーにとって、どちらが海外進出しやすいか。海外進出するならMediaFLOがいいとおっしゃっている日本のメーカーもいる」と話した。

 小野寺氏は「ビジネスの問題は非常に難しい」と言葉を選んだが、「放送と通信が融合することを考えると、いろいろな展開ができる」と期待を寄せた。ただ、総務省の「ベンチャー企業にも参加してもらいたい」という点は「非常に難しいのでは」とみている。「ある程度まとまった形でいろいろなコンテンツプロバイダーに入ってもらって展開する方がやりやすいと思う。今までの放送という枠にとらわれた制度設計では無理がある」

今から2事業者にするのは時間的に厳しい――山田氏

 勉強会後の囲み取材で山田氏は、2事業者にすること可能性について「不可能ではないが、帯域が半分だとサービスの魅力も半減する。我々は1事業者という前提で検討してきたので、その条件が変わることは普通はない。時間的にはもうギリギリの段階で、インフラの概略設計は水面下で行っている。2011年2月ごろにはアンテナを建てる予定。今から制度変更や電波オークションをするのは、時間的に苦しいのでは」とコメントした。

 ネットワークについては「東京スカイツリーから電波を吹くのはものすごく効率的。アンテナを付ける場所が520メートル上にあるので、かなり広範囲に照射できる」とアピールした。

 増田氏は山田氏が連呼する“リーズナブルな料金”について言及し、「BeeTVのレンジで300円という数字だけが1人歩きしている。コンテンツによっては1000円、100円、500円のものもあるだろうし、パッケージで1500円の場合もあるかもしれない。委託放送事業者として我々もシミュレーションしているし、ストリーミングだけを前提には考えていない」と話した。

 受託放送事業者が2社になった場合、ISDB-Tmmはドコモとソフトバンク、MediaFLOはKDDIが採用し、ユーザーのキャリア選択と利用したいコンテンツがずれることが起こりうる。増田氏は「ソフトバンクさんからは『絶対(MediaFLO端末の開発を)やりません』とは言われていないので、陣営が決まった上でのご判断になるだろう。キャリア選択も、最終的にはお客さんが判断することになる」と話した。


 これまで、マルチメディア放送の受託放送事業者は1社という前提で話し合いが進められてきたが、今回の勉強会では「2社が参入した方がいいのでは」という根本的かつ新しい論点が提起された。むろん、2社が参入することのデメリットもあるが、総務省の閉ざされた場所で決めるのではなく、消費者がサービスを選ぶ方が、ある意味で健全ではないだろうか。今回の意見交換が、「8月下旬」とされている受託放送事業者の決定にどのような影響を及ぼすのか、その動向を見守りたい。

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