インタビュー
» 2009年11月26日 19時41分 UPDATE

「日本市場をリードしたい」――端末とインフラから見るHuaweiの“強み” (1/2)

高速データ端末やPocket WiFi、デジタルフォトフレームなど、国内メーカーとは一線を画する商品ラインアップで支持を集めている中Huawei。また同社は、HSDPAやLTEなどの基地局ベンダーとしても知られる。Huaweiは今後、日本市場でどのような展開を目指しているのだろうか。

[田中聡,ITmedia]

 中Huawei(華為技術)は2006年7月にイー・モバイルからHSDPA基地局の供給先に選ばれたのを皮切りに、ネットワークベンダーとして、そして端末メーカーとして日本市場で実績を残してきた。

 2007年6月には下り最大3.6Mbps対応のデータ通信端末「D01HW」を、同年12月には日本初の下り最大7.2Mbps対応のデータ通信端末「D02HW」をイー・モバイルに供給。さらに、2008年11月には上り最大1.4Mbpsに対応した「D21HW」、2009年4月には上り最大5.8Mbps対応の「D23HW」、そして同年7月には下り最大21Mbpsをサポートする「D31HW」を投入するなど、高速データ通信端末で業界をリードしてきた。音声端末は、2008年6月に折りたたみ型の「H11HW」、2009年2月にストレート型の「E.T.(H12HW)」がイー・モバイルから発売された。

photophoto 左から「D01HW」「D02HW」(写真=左)。左から「D21HW」「D23HW」「D31HW」(写真=右)
photo 無線LANアクセスポイントとして使える「Pocket WiFi」

 2009年11月には無線LAN機能を搭載した「Pocket WiFi」も発売され、通信端末の利用シーンを広げるアイテムとして話題を集めている。このほか、同社はデジタルフォトフレームも開発しており、ソフトバンクモバイル向けには「Photo Vision HW001」「Photo Vision HW002」、NTTドコモ向けには「フォトパネルO2」を供給している。

 Huaweiはメーカー名を前面に出しているわけではないので、日本のユーザーには馴染みが薄いかもしれないが、日本市場で着実に存在感を高めている。同社は今後、日本市場に対してどのような戦略で展開していくのだろうか。ファーウェイ・ジャパン ストラテジーマーケティング部 本部長のジェームス・チン(James Qin)氏に話を聞いた。

photo ファーウェイ・ジャパン ストラテジーマーケティング部 本部長 ジェームス・チン(James Qin)氏

子どもやシニア向けなど日本向けモデルも検討

ITmedia 日本市場ではデータ通信端末がラインアップの中心となっていますが、その理由を教えてください。

チン氏 弊社はインフラから端末まで、エンド・ツー・エンドのソリューションを得意としており、その中にデータ通信端末が含まれているということです。一般の音声端末については、日本企業が手がけた製品の方がニーズが高いのではないかと考えています。

ITmedia 今後もデータ通信端末が中心になるのでしょうか。

チン氏 将来の市場は予測しにくい面もありますが、デジタルフォトフレームやスマートフォンなど、データ端末以外の製品も豊富にそろえていきたいと考えています。またAndroid端末も増やしていきたいですね。

photo イー・モバイル向け音声端末「H11HW」(左)と「E.T.(H12HW)」

ITmedia H11HWやE.T.(H12HW)など、比較的シンプルな機能にこだわった端末も増やしていくのでしょうか。

チン氏 海外でも同様の製品を供給していることもあり、ローコストで提供できる端末を拡充する可能性はあります。

ITmedia 最近はSamsung電子やLGエレクトロニクスなどの海外メーカーが日本向けに特化したモデルを開発しています。御社からも日本発モデルが登場する可能性はあるのでしょうか。

チン氏 基本的には世界で統一したものを供給したいと考えています。ただ、まだ発表できる段階ではありませんが、子ども向けやシニア向け端末などは、日本に特化したものも検討しています。キッズケータイやシニアケータイは、海外にはない日本ならではのモデルなので、(日本市場では)需要があると考えています。

photo ソフトバンクモバイルの「Photo Vision HW001」

ITmedia 通信機能を備えたデジタルフォトフレームは、日本市場ではユニークな製品だと思います。この製品に着目した理由を教えてください。

チン氏 デジタルフォトフレームはM2M(Machine to Machine)モジュールを内蔵しているので、我々の得意分野でもあります。また、日本では3Gサービスが成熟しているので、新たにお客様を引きつける手段として着目しました。ちなみに、デジタルフォトフレームは海外でも供給しています。

キャリアが国際標準を採用すればチャンスが増える

ITmedia 日本の携帯市場はNTTドコモやKDDIが大きなシェアを占めていますが、基地局や端末事業の主なパートナーに、こうした大手通信事業者ではなくイー・モバイルを選んだ理由を教えてください。

チン氏 Huaweiは比較的新しく日本での歴史が浅いので、日本市場で長年展開されているドコモさんやKDDIさんから見ると、まだ認知度は低いといえます。ドコモさんとKDDIさんは先進的なサービスや端末、インフラを提供していますが、日本独自の基準で進めた結果、世界では受け入れられませんでした。日本は海外では特殊な市場といえます。また、日本のエンドユーザーの消費習慣や文化的な違いも大きく、サービスや機能など、ケータイに求められるニーズも海外とは異なります。

 一方、これら2社と比べて、イー・モバイルさんはオープンな国際標準を採り入れています。弊社は国際標準に沿ったソリューションの提供を得意としているので、イー・モバイルさんのニーズに合致したのだと思います。

ITmedia 現在も、日本の携帯事業者は先を進んでいるとお考えでしょうか。

チン氏 そうですね。世界も日本に追い付きつつありますが、特にドコモさんは止まることなく、どんどん先に進んでいる印象を受けます。ただ、WiMAXやLTEを展開するにあたり、日本の通信事業者もオープンになっています。日本がもっと国際標準を採り入れれば、海外メーカーにはさらに大きなチャンスとなるでしょう。日本ではMNP(番号ポータビリティ)以降、キャリア同士の競争が激化した結果、各社の利益が伸び悩んでいます。特殊な規格で作った端末はコストがかかるので、国際標準を採り入れる機運が高まっていると感じています。

ITmedia 日本の通信事業者が国際標準を採り入れれば、海外メーカーには大きなチャンスといえますね。

チン氏 ソフトバンクモバイルさんが、Androidなどスマートフォンの国際標準を採り入れて展開するという話を聞いたことがあります。ドコモさんも具体的な戦略は分かりませんが、同様の動きがあると考えています。

※編集部注:インタビューはドコモとソフトバンクモバイルの2009年度冬春モデル発表前に実施したものです。

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