コラム
» 2011年12月07日 17時30分 UPDATE

通信事業者を選べない?――au版iPhone 4Sの国際ローミング、パケット代に注意 (1/2)

「iPhone 4S」はGSM/W-CDMAに加えCDMA2000方式にも対応しており、世界中の事業者でローミングを利用できる。ただし渡航先によっては「海外ダブル定額」が適用されない事業者を選択してしまい、高額請求になる恐れがある。

[山根康宏,ITmedia]

 KDDIが提供している「海外ダブル定額」は、海外でも1日2980円でパケット定額が利用できる。だが「iPhone 4S」を利用する場合、この定額サービスが適応されないケースもあるので注意が必要だ。

au版とソフトバンク版で異なる事業者選択メニュー

 日本ではソフトバンクモバイルとKDDIから販売されているiPhone 4Sは、GSM/W-CDMA方式に加えてCDMA2000方式にも対応しており、海外の広いエリアで利用できる。両社の製品はハードウェアとしては同等のものであり、ソフトウェアやサービスの対応などに一部の差がある。

 その中でも設定メニューには細かい差がいくつか見られる。大きな違いは利用できる通信事業者の設定だ。ソフトバンク版iPhone 4Sは利用する事業者を自動・手動で切り替えられるのに対し、au版iPhone 4Sでは事業者切り替えは自動のみであり、手動選択はできない。

photo ソフトバンク版(左)とau版(右)のiPhone 4Sの設定画面。ソフトバンク版には「キャリア」の項目があり、ここから事業者を手動で設定できる

 普段日本でiPhone 4Sを利用しているときは事業者選択メニューを利用することはないだろう。ソフトバンクで購入したiPhone 4Sはソフトバンクの回線しか利用できず、au購入のiPhone 4Sも同様にau回線でしか利用できないからだ。つまり日本国内にいる限り、事業者選択メニューの有無は実用上問題にはならない。

 だが海外にiPhone 4Sを持ち出して利用する場合はこの事業者選択が重要な機能となる。というのも、国際ローミングで接続できる海外の通信事業者は複数存在するからだ。音声通話をする際は事業者は自動設定にしておいてもよいが、問題はパケット通信の利用だ。ソフトバンクの「海外パケットし放題」、auの「海外ダブル定額」は、いずれも海外での利用中に1日最大2980円でパケットが使い放題となるが、両社の海外定額サービスを利用するには、現地で特定の通信事業者に接続する必要がある。

 2011年12月現在、ソフトバンク、auどちらも海外では100カ国以上で国際ローミングを利用できる。だがパケット通信を定額で利用できるのは一部の国だけであり、しかもその国の中の特定の通信事業者のみでしか利用できないのだ。海外に行けばすべて定額になるわけではないことに留意しておきたい。

  • →ソフトバンクの「海外パケットし放題」の案内(外部リンク
  • →auの「海外ダブル定額」の案内(外部リンク

 では海外でiPhone 4Sを使う際、通信事業者の設定がどのようなケースで必要になるのだろうか。両社のiPhone 4Sを海外に持ち出して使ってみた。

photo ソフトバンク版とau版のiPhone 4Sを海外数カ国で試してみることにした。au版には透明なカバーを装着している

韓国ではau iPhone 4Sも安心して定額利用できる

 まずは韓国・ソウルでソフトバンクとauのiPhone 4Sを使ってみた。日本から韓国までのフライトは2時間弱なので、まるで国内を移動しているようだ。そのため飛行機を降りてから入国審査を行い、荷物を受領後税関検査を抜けても海外に到着したという感覚は薄い。だが到着ロビーにあふれるハングル文字の山を見れば、ここが日本ではないことを確実に感じさせられる。

photophoto ソウルの仁川国際空港に到着。ハングル文字の山はここが日本ではないことを表している。さっそく2台のiPhone 4Sの電源を入れてみた

 両社のiPhone 4Sの電源を入れるとネットワークの検索を開始し、自動的に現地の通信事業者に接続される。ソフトバンク版iPhone 4Sは「SKT」が表示された。これは現地事業者のSK TelecomのW-CDMAネットワークで、海外パケットし放題の対象事業者だ。またアンテナマークが立つと同時にSMSが自動的に届く。内容は海外パケットし放題の事業者に接続されたというもので、現在の定額利用の可否を自動通知してくれる。空港に到着した時点で事業者を手動でSK Telecomに変更しておくといいだろう。

 au版iPhoneは画面に「Roaming」と表示された。これはCDMA2000事業者で国際ローミングに接続されたことを意味する。CDMA2000事業者の場合は事業者名は表示されず、この「Roaming」だけが表示されるわけだ。韓国でRoaming表示がされた場合は、SK TelecomのCDMA2000ネットワークに接続されたことになる。なおSMSによる通知は一切ない。

photophoto ソフトバンク版iPhone 4SはSK Telecomに接続。画面の事業者表示および設定画面からも確認できる。接続するとパケット定額事業者であることがSMSで通知される(写真=左)。au版iPhone 4SはCDMA2000事業者のネットワークをつかむとRoaming表示となる。SMS通知はない(写真=右)

 韓国の場合、ソフトバンクはSK TelecomとKTのW-CDMAが利用でき、パケット定額はSK Telecomのみ利用できる。一方、auはSK TelecomのCDMA2000とKTのW-CDMAが利用でき、どちらもパケット定額の対象事業者だ。

 さてソウル市内を移動中、au版のiPhone 4Sは常にRoaming表示のままで、他の通信事業者に接続することはなかった。おそらくSK TelecomのCDMA2000の電波状況が非常に良いのだろう。どこかで自動的にKTのW-CDMAネットワークに切り替わったとしてもそちらも定額対象事業者であるから、事業者を手動で変更できなくても、安心して1日2980円でデータ定額利用ができる。

 一方ソフトバンク版のiPhone 4Sは、エリアによっては画面に「olleh」の表示がされることがあった。これはKTのサービスブランド名称で、この表示に切り替わった際はKTのネットワークをつかんでいることになる。ソフトバンク端末でKTのネットワークを利用する場合はパケット通信は従量料金となってしまう。だがネットワークが切り替わると、自動的に「海外パケットし放題の非対称事業者に切り変わった」とのSMSを受信する。そのため、このSMSを受け取った場合は設定画面から手動で事業者を検索してSK Telecomに接続し直せばよい。

 このように韓国・ソウルではau版iPhone 4Sは特に意識することなくパケット定額が利用できる。またソフトバンク版iPhone 4Sの場合は、非対象事業者に接続されても通知SMSが来るので安心できる。

photophoto ソフトバンク版iPhone 4Sで自動的にKT(olleh)へ切り替わるとSMS通知がされる(写真=左)。「設定」→「キャリア」から手動で事業者をSK Telecomへ切り替えればよい(写真=右)
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