デュアルコアで勝負するTI/加速するLINEのSNS化/ドコモ通信障害の原因と対策石野純也のMobile Eye(8月6日〜24日)(2/2 ページ)

» 2012年08月24日 18時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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ドコモが相次ぐ通信障害の原因と対策を発表

photo NTTドコモ 代表取締役副社長 岩崎文夫氏

NTTドコモは7日に、spモードおよび国際ローミングで発生した通信障害に対する説明を行った。

 spモードの障害は7月25日に起こっており、異なるユーザーの設定画面にアクセスできてしまったというもの。原因は、ソフトウェアのバージョンアップ時に書き込むファイルを誤ったところにあるという。spモードの各種設定はA面、B面と呼ぶ2組のシステムを並列で運用しており、それぞれに800万のユーザーを収容している。A面、B面へのユーザー割り当てはスマートフォンの電源投入時に行われる仕組みだ。本来はA面にはA面のユーザーだけが、B面にはB面のユーザーだけがアクセスできるようになっているが、ソフトウェアのバージョンアップを誤った結果、B面のユーザーがA面を参照できてしまった。

photo アップデート時の適用ファイルを間違えたことで、spモードシステムの参照先が変わってしまった。

 これだけなら設定のトップページにアクセスされるだけで済むが、spモードパスワードが初期設定で「0000」になっていることが問題を大きくした。7月27日の決算会見でドコモの代表取締役社長、加藤薫氏が述べていたが、初期設定の「0000」のままになっていたユーザーは「過半数を超える」という。本来B面のユーザーがA面にアクセスし、パスワードも同じだったため、他人の設定を変更できてしまったわけだ。結果として、メールアドレスやパスワードを変更された約780人、迷惑メール関連の設定を変更された約4600人に影響が及んだ。

 障害の発端はファイルのアップデートミスで、今後は「ファイルを確実に区別するために、中味の違いまでチェックしていく」(代表取締役副社長 岩崎文夫)ように管理手順を変更。パスワードの変更も、案内していく方針だ。ただ、ユーザーを識別するためのIDを自分で設定できない以上、初期値が「0000」では同じようなトラブルが起こる可能性もある。ネットワーク暗証番号と同じように、店頭で任意の値を決めるようにした方が安全ではないだろうか。また、ドコモのスマートフォンにはネットワーク暗証番号、spモードパスワード、docomo ID、端末暗証番号があり、ユーザーが覚えなければいけないパスワードが多すぎる。管理できないと初期値のまま放置してしまうことにもつながるため、ぜひ整理、統合してほしいところだ。秋にはspモードのクラウド化も予定されているため、このタイミングでの抜本的な対応に期待したい。

 もう1つの障害は国際ローミングサービス「WORLD WING」に関するもので、8月2日に発生した。この影響で、関東甲信越、東海、開催地域で契約したFOMAとXiも利用しにくくなった。海外キャリアに接続して国際ローミングを行う場合、NTTコミュニケーションズの通信網を経由してドコモ網に接続する。このネットワークの制御などを行う回線が混雑によって輻輳。ユーザーの居場所を確認するための「IP-SCP」と呼ばれる装置に要求が集中し、処理能力が大幅に低下した。IP-SCPは国内ユーザーも共通で使っている。海外だけでなく、日本でも障害が発生したのは、そのためだ。対策として「8月中旬に新しいソフトを適用する」(岩粼氏)といい、NTTコミュニケーションズとも連携して議論して再発防止に努めたいとした。

photo NTTコミュニケーションズのネットワークで輻輳が発生し、ユーザーの居場所を管理する「IP-SCP」の処理が低下。同設備で国内外両方のユーザーを扱っていたため、国内サービスにも影響が及んでしまった

 国際ローミングで海外キャリアに接続できないという障害は、8月13日から15日にかけても発生している。23日時点で、原因はまだ調査中とのこと。お盆休みで海外旅行中のユーザーも多かったことから、影響を受けた可能性があるユーザーは8万人にも上っている。筆者が気になったのは、ドコモのサイト上にある「ドコモからのお知らせ」に翌日まで障害発生の一報がなかったことだ。国際ローミングが利用しにくくなったのは13日18時24分ごろから。ドコモからのお知らせには8月14日になって、ようやくこの障害の件が掲載されている。国際ローミング専用のページにある「不通情報」には当日中にお知らせがあがっているのを確認しているが、通常のお知らせと分けて掲載する意味はないように思える。海外のような不慣れな場所では、通信手段がなくなってしまったときの不安も大きい。原因の究明や再発防止はもちろんだが、障害をゼロするのは難しい以上、発生した後の効果的な告知方法も再検討する必要があるのではと感じた。

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