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イー・アクセス買収 2.1GHzと1.7GHzの「ダブルエンジン」で加速するソフトバンクのiPhone 5&LTE戦略年度末のLTE基地局は約3万(4/4 ページ)

» 2012年10月02日 10時30分 公開
[平賀洋一ITmedia]
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イー・アクセスとソフトバンクはDNAが似ている――千本氏

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 続いてイー・アクセスの千本氏から、経営統合を受け入れた経緯などの説明が行われた。千本氏は「今後も(独自に)十分戦っていけるという十分な自信があった」とするが、孫氏の“熱意”にほだされたとも明かす。

 「イー・アクセスは、日本のインターネットを変えたい。できれば世界有数のインターネット環境を提供したいと立ち上げた会社。まったくゼロからのスタートで、孫さんとはADSLで大変な競争をした。またモバイル通信という、これから絶対伸びる市場でも、一緒に競争してきた。孫さんはボーダフォン買収という大変なリスクを取ったが、我々はいただいた1.7GHzで、ゼロからインフラを作ってきた。ソフトバンクはモバイル市場でも競争相手だったが、同時に最大の(MVNO)ユーザーでもあった。競争しつつも、大事な顧客関係を続けていきたい。今回の経営統合は、我々の成長オプションに追加された1つの可能性だった」(千本氏)

 「ソフトバンクだけでなく各社からの提案があった」と、ほかにも同様の買収提案があったことをうかがわせた千本氏。交渉相手としてソフトバンクを選んだ理由を「DNAが似ているから」と説明した。またiPhone 5の存在感や、LTEが持つ可能性の大きさも影響したという。

 「1.7GHz帯のLTEという世界標準のインフラと、iPhone 5という大変すばらしい端末の組み合わせは、今以上に高い価値を生み出すのではないか。と考えた。もちろん、イー・アクセスの経営陣としていろいろな悩みがあり、想いもあり、午後の緊急取締役会で話し合って経営統合を受け入れた。ソフトバンクの子会社となるからには、徹底的にソフトバンクと夢を共有して、インターネット革命をなし得たい。グループの一員として、業界のナンバーワンを目指したい」(千本氏)

 イー・モバイルのブランドは、ウィルコムと同じようにソフトバンクグループの中で当面残される。経営統合に伴う販売チャネルの有効活用などが発表されたが、イー・モバイルとしてiPhone 5を売ることはないという。「イー・アクセスとしてiPhone 5を取り扱うのは難しい。ただ代理店・販売店のレベルで、ソフトバンクの端末として取り扱う可能性はある」(千本氏)

 ブランドについては孫氏も、「ウィルコムは別ブランドで存続していて、ファンといえるユーザーも付いている。同じグループになって純減が純増になった。同じようにイー・アクセス/イー・モバイルにもブランドを評価しているユーザーが多い。それは尊重していきたい」と付け加えた。

 また株式交換の条件について千本氏は、「直近の株価については不満だった。不本意な株価だったので、今回の株式交換は、株主にとって妥当な値段だろうと思う」と感想を述べた。

 また、経営統合後のソフトバンクグループ内でどのような活動をするのかについて問われると、「私がソフトバンクの中でどう生きていくのか、これはなってみないと分からない。自分はともかく、イー・アクセスの社員には安定して、ワクワクできるような仕事ができる(経営統合の)契約にしてもらった。これについては感謝している」と話し、孫氏も「ウィルコムでは1人のレイオフもしなかった」と応えた。

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